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【J1:第32節 清水 vs 名古屋】プレビュー:清水にとってはJ1残留に向けて最重要なホームゲーム。名古屋のストロングポイントを封じ、自分たちの戦い方を貫けるか(14.11.22)

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清水がJ1に残留するために、残り3試合でもっとも重要な戦い。それが今節の名古屋戦だ。今年は5チームで熾烈な残留争いをくり広げている中、清水はちょうどその真ん中の位置(15位)にいて、16位の大宮とは勝点2差。今節で勝てば最高で大宮との勝点差が5に広がって13位まで上がれる可能性があり、逆に負ければ再び降格圏に転落する可能性もある。ホームゲームは最終節も残っているが、その甲府戦を絶対に勝たなければいけない状況で迎えると、また別のプレッシャーがかかってくる。
また、今節ホームで勝って残留争いを良い状況に持っていければ、4日後に行なわれる天皇杯準決勝(G大阪戦)に、より力を注ぐことができる。そう考えると、この試合で勝つか負けるかは、とてつもなく大きな違いがある。

一方、名古屋は現在勝点41位で、大宮と9ポイント差なので残留はほぼ決まっているが、あと勝点1取れば残留が確定するため、早くスッキリさせたいという状況にある。また今シーズンは、まだ豊田スタジアムでの勝利がなく、次節でそれを実現するためにも良い流れを作っておきたいという思惑が強い。プレッシャーがあまりない中で、純粋に自分たちのサッカーを追求できるというのが、名古屋の強みだ。

そんな重要な戦いに向けて、清水のチームの状況はけっして悪くない。前節のアウェイ川崎F戦で勝てたことはチーム全体に大きな自信となっており、練習試合でも前線の流動的な動きによって相手の守備を崩し、点を取ることができている。川崎F戦で先に失点したときも、「自分たちのサッカーを続けて点を取ればいいという感じでみんな動揺は全然なかったし、お互いを信じていたし、練習でやっていることを信じていました」(竹内涼)という自信が、2度のビハインドを跳ね返し、逆転で勝ちきることにつながった。少なくとも攻撃に関しては、今の力を出せれば必ず点は取れるという自信が出始めている。
となると、あとは失点を減らすことができれば勝利の可能性はかなり高くなってくる。そのため、この3週間のインターバルでは、守備のブロックを整えたときでも「ひとつのボールにチーム全体が絡めるように、ボールに対して全体で圧力をかけられるように」(大榎克己監督)という部分に力を注いできた。これまでは「守備の形を整えることを意識すると、ただスペースを埋めるだけになって、ボールにプレッシャーに行かない状況が多かった」(大榎監督)という問題点があり、それを改善してきたわけだ。川崎F戦では、DFラインのコントロールで良い面が見られたので、それも合わせて、どれだけ組織的な守備が機能するかに注目したい。

一方、名古屋のほうは、直近6試合で2勝2分2敗と8、9月のような好調さは見られないが、名古屋ひと筋14年でリーグ戦通算341試合に出場してきた元日本代表MF中村直志(35歳)が16日に引退を表明し、良い形で彼を見送りたいという意識は強くなっている。もちろん、清水と同様に3週間のインターバルで戦術的な調整を続けており、コンディションも整え直すことができたのも、ベテランの多いチームにとってはかなり大きい。
また、疲れがたまっていた永井謙佑のコンディションが回復してきたことも大きく、それによって前線からのプレッシングの迫力が増すという部分はチームにとって大きなプラス。高い位置でボールを奪って速く攻めたいという思いは、清水と同様に強いチームなので、両者のプレス合戦という部分も大きな見どころとなる。
戦力面では、レアンドロ ドミンゲスの復帰はまだ難しそうそうだが、10月に天皇杯準々決勝で清水にPK戦で敗れたときと比べると、川又堅碁と田口泰士が加わることは大きな違い。清水の選手たちも、前回とは別のチームという感覚でとらえている。

そうした両者の戦いで注目されるのは、まずどちらが主導権を握るかという部分だ。清水が前からプレッシャーをかけて主導権を握ろうとしても、「川又選手がいる分、困ったら(ロングボールを)蹴ってくると思うので、そこをしっかりつぶすことと、セカンドボールを拾うことが大事になる」(平岡康裕)という難問がある。ロングボールで名古屋に起点を作られてしまうと、DFラインを高く保つことができなくなり、全体が間延びしてやりたいサッカーができなくなってしまうので、そこは清水にとって大きなポイントになる。

逆に、自由に長いボールを蹴らせないという部分も含めてロングボール対策がうまく機能すれば、ハードワークの面でも自信をつけてきた清水が主導権を握れる可能性は高い。そうなれば「(名古屋の守備陣は)高さはあるけど、裏はそんなに強くないと思うので、今の自分たちの攻め方でチャンスは作れると思います」(六平光成)という言葉通り、2列目から斜めに裏へ飛び出していくという今の良い面が生きてくるはずだ。もちろん、それを機能させるためには、その手前で名古屋のプレスに対して簡単にボールを失わないということも大前提となる。
ただし、名古屋のストロングポイントはセットプレーにもあり、今季は全得点の1/4以上をセットプレーで決めている。清水がどれだけ良い形で試合を進めていても、セットプレーで先に点を取られると名古屋が非常に戦いやすい状況になってしまうので、その対策も本当に重要になってくる。

というわけで、もし清水が優位に試合を進めたとしても、いつどうなるかわからないスリリングさのある試合。少しも気を抜けない戦いが続く中で重要になるのは、残留争いの経験もあるベテラン、ノヴァコヴィッチの言葉だろう。
「重要なのは、選手、スタッフ、クラブ、サポーターの全員で“団結”していくこと。うちは若いチームで残留争いを経験した選手は少ないかもしれませんが、今は何も言い訳できる状況ではありません。J1残留という目標に向けて全員が考え方や気持ちをひとつにまとめなめればいけない」(ノヴァコヴィッチ)。

自分と仲間を信じて、サポーターの応援を力に変えて、意識や戦い方を統一して最後まで全員で集中して戦い抜く。それができれば、勝利の女神が好む色もオレンジになっていくことだろう。

以上

2014.11.21 Reported by 前島芳雄
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