信頼と実績の『大分アカデミー印』の選手が、3年ぶりに誕生する。すでに2種登録選手としてトップチームの練習に参加し、ブラジルワールドカップのトレーニングパートナーとして帯同した“世界を知る”坂井大将と今季のU−18の躍進を引っ張った佐藤昴洋、姫野宥弥の3選手だ。
3人同時昇格は、2008年の清武弘嗣(独・、ハノーファー)、井上裕大(J2・長崎)、小手川宏基(J2・北九州)、石田良輔(東海リーグ1部・沼津アスルクラロ)の4選手昇格に続くもので、2002年に金聖吉がトップ昇格してから2012年に為田大貴、後藤優介まで14人もの選手を輩出してきた育成クラブの賜物である。
大分市出身の佐藤は小学1年、姫野は幼稚園年中からクラブのスクールでサッカーをはじめた『生粋のトリニータっ子』でもある。昇格内定記者会見で青野浩志社長が語ったように、幼い頃から彼らを知る大分市民、大分県民は、「わが子のように応援してくれるはずだ」。
「得点に絡み、魅力的なプレースタイルで試合に出たい」(坂井)、「スクールから入り、憧れのトップチームに昇格できて嬉しい。指導してくれた全ての人に恩返しするためにも、ナビスコカップで優勝した時のようにタイトルを獲りたい」(佐藤)、「持ち味の運動量と相手の攻撃を潰す自分のスタイルがどれだけ通用するか試し、チームの勝利に貢献できるように日々の練習からアピールしたい」(姫野)と、決意表明した新しいスター候補生。
育成はトップチームよりも成果が見えるまでのスパンが長い。それだけにクラブの姿勢や哲学が問われる部分でもある。これまで西川周作(浦和)や清武など日本代表選手を輩出してきたクラブだが、2009年にクラブの経営危機に陥り破綻寸前まで追い込まれ「アカデミーの育成強化」をさらに強めた。スカウトを充実させ、腰を据えた基盤整備で積み上げてきた結果、「あれから5年経ち、中学の頃から見てきた選手がプロとなる」と柳田伸明強化育成部長は感慨深く語る。ただ、「これは通過点。彼らがプロとして活躍してこそ育成の成功と言える。全力で戦う、粘り強く戦うというトップチームのカラーを下まで浸透させたい」と柳田部長が言うように、カテゴリーを越えたスピリットの共有こそ育成組織の進化である。骨の髄までトリニータスピリットが染み込んだ『大分アカデミー印』の選手がチームの中心選手となる日が待ち遠しい。
以上
2014.11.19 Reported by 柚野真也
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