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【J2:第40節 栃木 vs 岐阜】レポート:チャ、西川、廣瀬のゴールショーに、22試合ぶりの完封劇。栃木は岐阜を破り、中位へ飛躍する権利を掴んだ。(14.11.10)

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下位から中位へ飛躍する権利を得たのは、ホームの栃木だった。岐阜から大量3ゴールを奪い、守っては22試合ぶりの完封劇。これ以上ない快勝劇を演じた。順位こそ試合前と変わらず16位だが、中位進出の足がかりとなる貴重な勝点3を獲得。歓喜を共有したことで、前節の試合後に感情をぶつけあったサポーターたちとの関係修復も図れたようだ。

「(これまでは)リズムが悪いと前半に失点していた。今日はそこで失点せずにゼロで終われたことが大きかった」
2ゴールに絡んだ小野寺達也の総括通り、栃木としては思うようにリズムを掴めなかった前半に崩れることなく、我慢して後半につなげたことが小さくなかった。前半もネガティブな内容ではなかったが、切り替えの部分でのミスは目に付いた。特に守備から攻撃に移行する際の雑なボールコントロールは、持ち味であるカウンターを繰り出す機会を削ぐことになり、ゴール前に攻め入る回数を減少させた。

それは岐阜も同じだったが、左サイドでシャープな突破を遠藤純輝が仕掛けた時には期待感が高まり、実際に14分にはチャンスを創出した。ところが、ナザリトのシュートは枠を捕らえきれず、25分の比嘉諒人のシュートも枠を逸れた。栃木も逸機を繰り返す。5分に廣瀬浩二が、38分には西川優大が、41分には再び廣瀬がゴールを脅かすも、ゴールネットを揺らすには至らなかった。

ある程度の手応えを感じながら前半を終えて迎えた後半、栃木は一気に出力を上げた。相手のミスが絡んで得たCKの流れから、近藤祐介の左クロスをチャ ヨンファンが頭で合わせ、岐阜守備陣の連係不備を誘って先手を取る。これが契機となり、前節に最下位・富山に屈した鬱憤を晴らすゴールラッシュが幕を開ける。68分には本間勲の鮮やかなインターセプトから最後は西川が古巣相手に恩返し弾。追加点から10分と経たぬ間に、今度は小野寺が華麗なターンからPKを奪取し、これを「ちょうだい」とおねだりしたキャプテン廣瀬が真ん中にズバッと決めた。岐阜を突き放してから試合終了までの15分間は、5月以来の先発を飾ったベテランGK榎本達也が存在感を発揮。2度のピンチを冷静に凌ぎ切り、スコアボードにゼロを並べた。

栃木が後半に圧力を強めることを予想しながら、しかしそれに対応できなかった岐阜は連敗が5にまで伸びた。この試合では前節の大分戦に続き3失点を喫し、大分戦の敗戦を招いた気持ちの部分でも劣った。とりわけ先制点を失った後は、「(栃木と比べて)覇気が全然違う」とラモス瑠偉監督は嘆いた。また、前半こそサイドを有効活用するという意図が感じ取れたが、徐々にそれが薄れ始めるとチームとしての方向性がバラバラになり、歯止めが利かなくなってしまった。クラブが目標に掲げた10位以内は難しくなったが、良い形で来季につなげる意味でも残り2試合で意地を見せたいところだ。

「1試合を通してしっかり守れた」(本間)栃木は、ようやく相手を零封できた。その主因はプレビューでも触れたように、相手のストロングポイントであるナザリト封じを貫徹できたことにある。岡根直哉とチャのセンターバック2枚は厳しく応対し、ボランチもそこに参戦して自由を剥奪した。前線の選手も果敢にボールを追い、岐阜のDFラインから質の高いボールを供給させなかった。追加点を挙げた西川は自身のゴールよりも、「一番良かったのはゼロに抑えられたこと。それをみんなの力でできたことが良かった」と、無失点を喜んだ。

持ち越された課題をクリアした栃木だが、今度は後半戦初となる連勝へのチャレンジが待ち構えている。「良いゲームをした後に勿体ないゲームが続いている」と本間が言えば、廣瀬も「今季良くないのはこういう試合が続かない、続けられないこと」と同調した。連勝へのチャレンジは、これが今季ラストになる。その相手は、ライバルの水戸。絶対に負けられない相手から、「勝ちをもぎ取って帰ってきたい」(西川)。

以上

2014.11.10 Reported by 大塚秀毅
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