「最後になってチーム全体が緩んできてしまっている。この状況がケガにつながっている部分もあるかもしれない。もう一度、引き締めないといけない」。6日の練習後、秋葉忠宏監督は眉間にしわを寄せて、こう話した。
3位磐田との“決戦”を前に、2連敗中の群馬は不運にもケガ人が続出、エース平繁龍一に加えて、守備の要クォンハンジンも戦線離脱。スクランブル体制で磐田と戦わなければならない。残り3試合で一つでも上の順位を狙う群馬にとって、今節はチームの底力が問われる一戦となる。
3位磐田と19位群馬。モチベーションの差は、歴然だ。だが、昇格争いのデッドヒートを繰り広げる磐田の前に、勇敢に立ちはだかろうとしているプレーヤーがいる。元磐田のファンソンスとベテラン金沢浄だ。レギュラーのファンソンスに対してこれまで金沢はベンチスタートが多かったが、今ゲームでは二人の先発出場が濃厚。元ジュビロ戦士が、磐田を迎え撃つ。
一昨年に磐田から群馬へやってきたファンソンスはこの2シーズン、不動のボランチとしてチームを支えた。昨季はイエローやレッドカードが多くプレーが不安定な部分もあったが、今季は大きく成長。磐田時代に学んだことを群馬のピッチで存分に表現している。ファンソンスは「磐田での3年間があるから、いまプレーできている。お世話になったクラブだからこそ、成長した姿を結果でみせたい」とゲームへ臨む。
今季、群馬に加入した金沢は開幕前に左ひざを負傷し長期離脱。半年間のリハビリを経て7月に復帰、左サイドではなくボランチとして若いチームに経験を加えた。また威圧感ゼロの癒しキャラとして若手から親しまれチームに安心感を与えている。そして、この磐田戦は今季2度目の先発出場の可能性が高まった。古巣との対戦を待ちわびる金沢は「4月のアウェイ戦はケガで出られなかったので今回は本当に楽しみ。磐田にはJ1へ復帰してほしいが、この試合だけは負けられない。磐田サポーターからブーイングをもらうくらいのプレーをみせたい」とピッチへ向かう。
対する磐田は、昇格争いに大一番となった前節千葉との死闘をドローで終えて3試合連続ドロー。前節で松本の2位が確定したため、目標を再設定して残り3試合を戦うことになる。現在3位を死守しているが今節の結果によってはプレーオフでの“ポールポジション”が確定する。磐田は残り2試合、プレーオフで対戦する可能性がある山形、札幌との対戦を控えているため、ここで“第1シード”を決めたいところだ。
群馬、そして今季で退任する秋葉監督に残されたゲームは磐田戦を含めてあと3試合。ここで何をみせられるかが、チームそして選手の評価につながる。クラブはすでに来季の準備を進めているが、いまのチームの存在価値を再認識させるためには結果が必要だ。来季クラブは変わる。だが変えてはいけないものもある。失ってはいけないものもある。クラブ初のOB指揮官・秋葉忠宏監督だからこそ、クラブアイデンティティーや伝統をピッチに残してほしい。磐田戦は、チームの価値を示すプレゼンテーションの場となる。
以上
2014.11.08 Reported by 伊藤寿学
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