富山は今季最下位が決まった。J3の終了後、Jリーグ理事会でJ2への昇格クラブが承認されたのち降格が決定する。
ハーフタイムの時間に21位讃岐が試合を終えて引き分けたため残留の望みは絶たれた。しかし、富山の選手は後半に集中するためその情報を聞かずにピッチに立ち、ホームで約4か月ぶりの勝利を手にした。喜びもつかのまスタンド前に整列し、最下位確定を報告する酒井英治社長のあいさつを聞いた。
ゴール裏のサポーターは「あと3試合、このメンバーでしっかり戦おう」と声を挙げた。選手たちの痛みを自らのものとして受け止め、彼らはなお共に歩もうとする。温かな拍手と激励のコールがスタジアムを包んだ。ピッチで戦った者への敬意を忘れず、チャレンジする若者の背を押す人々にカターレ富山は支えられている。2009年から6シーズンを過ごしたJ2を去ることになるが、この年月がは育んだものが確かにある。
開始3分、富山のFW苔口卓也が栃木のDF裏に抜け出しかけてファウルで倒された。一方の栃木は前半6分にFW大久保哲哉がヘディングですらしMF廣瀬浩二が抜けてシュートを放つ。両チームが序盤からゴールに迫るシーンをつくった。同18分には栃木がPKを得たが、14試合ぶりに先発した富山GK飯田健巳がストップした。富山は左右のウイングバックが高く張り出して攻撃の起点となるが、ややパスミスが多く栃木の守備ブロックを崩し切れない。逆にカウンターを食らう場面もあったが、守りではDF秋本倫孝を中心にきっちり対応して決定機をつくらせなかった。
富山は後半6分、自陣からのカウンターで先制点を奪う。FW宮吉拓実を経由して受けたMF前貴之が空いていた右サイドをドリブルで突進し、そのままミドルシュートを蹴り込んだ。同14分にMF井澤惇がゴール前で粘ってシュートを放つが左ポストを直撃する。同27分にはMF田中寛己の浮き球のパスにMF白崎凌兵がゴール前に飛び出して頭で合わせるが決め切れなかった。
栃木は後半39分にヘディングの落としからMF杉本真が狙ったがシュートはGK正面。アディショナルタイムには右からのクロスに大久保が頭で合わせたが、GK飯田の好セーブに阻まれて無得点に終わった。
好守で勝利の立役者となった飯田は「ディフェンスのみんなが頑張り、体を張ってくれた。全員でよく守ったと思う。もう少し早くこういう試合ができていればと思うと悔しい」と話した。富山は追加点こそ奪えなかったが、どっちに転んでもおかしくない接戦を勝ち切ることに成功した。白崎や井澤を中心に中盤の構成力も上がっており、このチームはもっと良いゲームができるはずだ。残り3試合での大暴れを期待しよう。
以上
2014.11.02 Reported by 赤壁逸朗
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