ドラマは試合終了間際に待っていた。
90分+2。1点ビハインドの磐田が京都ゴール前でFKを獲得。キッカーを務めたのは駒野友一だった。「シュートコースはGKの立つ位置で決めていた」(同選手)。右足を振りきり、壁の上を狙った。一方、京都のGK・杉本大地はこの場面を「とにかく来たボールに反応しようと思っていた」と振り返る。「基本、壁側は任せ、GKサイドを絶対にやられないように気をつけていた。ただ、それよりも上手いFKが来てしまい…」(同選手)。駒野のキックは京都ゴールに吸い込まれ、土壇場でスコアを2−2とした。
とはいえ、磐田にとっては手痛いドロー。2位・松本との勝点差は『10』となった。この試合、1点リードで前半を折り返したのは磐田だった。32分に小林祐希のCKをエース・前田遼一が右足で押し込み、先制。しかし、後半立ち上がりに立て続けに失点することになる…。
1点を追う京都は後半開始から横谷繁に代わり駒井善成を投入。ボランチを入れ替え、テンポを上げてきた。同点ゴールは50分。石櫃洋祐のクロスに飛び込んだのはゴール前のドウグラスだった。滞空時間が長く、打点の高いヘディングシュートを磐田ゴールに突き刺した。さらに63分には山瀬功治のクロスに再びドウグラスが頭で叩き込み、スコアをひっくり返した。殊勲の長身FWは「1点目も2点目も自分が外から中に入ってきて、というゴールだった」と語る。
磐田とすれば、リードして後半を迎えたが、早い時間帯に逆転を許してしまった。八田直樹は「自分を含め簡単にやられてしまった」と悔やむ。
その後は互いに決定的なチャンスを作れず、終盤へ。後半アディショナルタイムに磐田の途中出場・白星東がドリブルで仕掛け、駒野の直接FKによる同点弾につなげた。
結果的に互いに1ポイントを分け合うことになったが、両チームが狙っていたのは勝利のみ。試合後の監督会見では両チームの指揮官が悔しさをにじませた。
磐田・名波浩監督は「スターティングポジションに戻る選手が極端に減った部分があり、セカンドボールを拾えないことがずっと続いていた。それと、大黒(将志)の動き出しの怖さ、工藤(浩平)がシンプルに前を向いてスピードを上げかけたプレーなどに徐々に圧力をかけられた」とゲームを総括。
一方、京都・川勝良一監督は「前半は引き過ぎ、相手を楽にさせてしまった。後半、相手に圧力をかけて動かす中で逆転できたが、3点目が欲しかった」と試合を振り返った。
試合終盤には足をつり、試合終了と同時にピッチに座り込む選手もいた。互いに勝ちきることはできなかったが、ファイト溢れる好ゲームだった。
以上
2014.10.27 Reported by 南間健治
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