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【J1:第30節 神戸 vs 大宮】レポート:神戸が6試合ぶりの白星でGK徳重健太のJ1通算100試合に華を添える。大宮は先制からの痛い逆転負け。(14.10.27)

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9月20日の第24節・清水戦以来となる白星にノエビアスタジアム神戸が酔いしれた。しかも、神戸のGK徳重健太のJ1通算100試合目を祝うメモリアルビクトリー。順位も一つ上げて9位に浮上。J1ホーム通算100勝へもあと2勝と迫った。

この日、神戸は4−4−2のフォーメーションを採用し、マルキーニョスと小川慶治朗を2トップに配すシステムでスタートした。小川のトップ起用は今季初。「(トップ起用について)今日のミーティングで言われました。大宮がコンパクトに来るので、裏に走って相手DFラインを押し下げようというのが狙いです」とは小川。4−4−2の大宮とミラーゲームに挑むのかと思えば、18分頃には普段通りの4−2−3−1へと戻した。神戸・安達亮監督はこの布陣についてこう説明する。
「大宮の立ち上がりは、前からプレッシャーに来たりだとか、DFラインが最初は高めにくることが多かったので、そのウラを小川が取れればなという狙いでした。ただ、なかなか思ったように、相手のDFラインをひっくり返すようなことが出来ませんでした」
CBの河本裕之やボランチのチョンウヨン、司令塔の森岡亮太などから、スピードのある小川やペドロジュニオールへ長いパスが何本も供給された。だが、大宮に神戸の策はハマらず。4−2−3−1に戻してからが“本当の戦い”という展開になった。
だが、神戸はシステムチェンジの出鼻をくじかれるように、大宮に先制される。20分。右サイドハーフの家長昭博から中央のズラタンへ浮き球が供給され、それを後方にいたカルリーニョスへつなぎ、そのまま豪快なミドルシュートが神戸ゴールへと突き刺さる。奇しくも神戸がシステムを戻して間もなくの出来事だった。

神戸にとってはイヤな予感がする失点。大宮は勢い付く得点。流れが大きく大宮に傾きかけたが、それを救ったのは神戸のチョンウヨンだった。
28分。久々のスタメンとなった奥井諒が中央のマルキーニョスにくさびのパスを通すと、マルキーニョスが相手DFを背負いながらキープし、ペナルティエリア右外でFKのチャンスを得る。そしてキッカーのチョンウヨンが放ったシュートはゴール右隅の角、いわゆる“神コース”へと吸い込まれていった。
「(大宮の)壁の右側の選手の背が高く、キーパーも予測して動くと思っていたので、左サイドに蹴りました。イメージ通りに蹴れたと思います。セットプレーは一発で雰囲気を変えられる力を持っている。キッカーとして、その役割を果たすことができてうれしい」とは試合後のチョンウヨンの弁。この言葉通り、1−1の同点に追いついてから神戸のパスがつながり始めた。31分過ぎには、シンプリシオから森岡、奥井へとつなぎ、奥井のワンタッチパスを受けたマルキーニョスがシュートへ。大宮のGK北野貴之のファインセーブが無ければ1点という決定的なシーンも作った。
だが、前半は1−1のドローで終了。J1残留へ向けて負けられない大宮は、後半の立ち上がりからハイプレスをかけ、神戸を押し込んだ。47分過ぎにはズラタンが増田誓志とのパス交換から抜け出して決定機も作った。だが、追加点に成功したのは劣勢の神戸だった。
猛ダッシュで駆け上がる小川へ、森岡からそのスピードにピタリと合う長いスルーパスが通る。一瞬、時間が止まったような森岡のパスについて大宮の今井智基は「コース切れたかなと思ったら、そこ通すのかよっていうようなパスが来て」と舌を巻いた。
最後は小川からのセンタリングをニアで受けたマルキーニョスがGKに一度はシュートを阻まれながらも粘ってゴールへ押し込んだ。
逆転を許した大宮は、橋本晃司、渡邉大剛を立て続けに投入して同点ゴールを狙うが、結局、1点を返せないまま試合終了。J1残留に向けて、痛い敗戦となった。

これでJ1残留ボーダーラインの15位に後退した大宮だが、渋谷洋樹監督は「選手たちは本当に死力を尽くしてやってくれたと思います。(試合後は)みんな倒れ込むような状態でした。(中略)ベストを尽くしてやったことが次につながると思っています」と力強くコメントした。今日の敗戦で得たものを、残り4試合(広島、柏、名古屋、C大阪)にぶつけるしかない。

9位に浮上した神戸は、鳥栖、横浜FM、G大阪、川崎Fとの4試合でどこまで順位を上げられるか。今季4回目の対戦となるG大阪からは今季まだ未勝利だけに、是が非でも勝って終わりたいところだ。

以上

2014.10.27 Reported by 白井邦彦
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