残留争いをしているチームの強さは分かっている。第36節富山戦、J2残留のために死に物狂いで臨んできた相手に対して、水戸は「フワッとした入りをしてしまった」(金聖基)ために前半だけで3失点を喫して敗れてしまったのだ。
今節の讃岐は現在21位。自動残留圏内の20位とは勝点5差。残り5試合で追い抜くためにも今節は非常に重要な一戦となる。それだけにアウェイといえども、勝点3を狙いに来ることだろう。
讃岐のスタイルは堅守速攻型。前回対戦では前半のうちに讃岐に1人退場者が出たこともあり、いつも以上に守備重視した戦いで水戸の猛攻をしのぎ切り、スコアレスドローに持ち込んだ。今節も粘り強い守備で対応してくることが予想される。
その讃岐相手に攻めあぐねることがあれば、水戸は讃岐の術中にはまりかねない。勝点3を取るために守備だけをしていればいいわけではない。点を取るための策も考えている。
木島良輔やアンドレア、小澤雄希など攻撃的なポジションにスピードのある選手を並べ、電光石火のカウンターでゴールを狙ってくる。それが水戸の脅威となるだろう。
ただ、カウンターを恐れて、必要以上にラインを下げてしまったら、自分たちのサッカーを見失うこととなってしまう。いかにラインを高く保ち、チーム全体に勢いを与えることができるか。守備陣の勇気が問われる一戦となる。
第36節富山戦では「寄せが中途半端になった」(本間幸司)ことが劣勢を強いられる原因となった。高い位置で中盤をコンパクトに保って、球際に厳しく行くことが主導権を握る条件。「高い位置でボールを奪って攻めるのが水戸のサッカー。下がってしまったら、それができなくなる」と柱谷哲二監督が言うように、水戸らしい積極的な守備を貫けるかが今節の重要なポイントとなる。
そして、あとはゴールを奪うことができるかだ。特に讃岐は堅守速攻型のチームだけに先制点を奪われれば、ゴール前を固められてさらに苦しい状況になってしまう。だからこそ、「先制点がいつも以上に大切になる」と吉田眞紀人は言いきる。そして、「人数をかけてゴール前を固める相手をきれいに崩してゴールを決めることは難しい。事故的な感じでもいいから、どんな形でも先制点を決めることが大事になる」と気迫を込めた。これまで水戸は主導権を握りながらもゴールを決めきれずにいくつもの勝利を逃してきた。シーズン終盤、そろそろその悪しき流れをここで断ち切らなければならない。そのためにもボールを動かすだけでなく、常にゴールを意識してプレーすることが求められる。ゴールを「決める」ではない。「こじ開ける」気持ちが必要だ。
自動残留に向けて後がない讃岐の気迫は相当なものがあるだろう。そこで受けに回ってしまったら、富山戦と同じ過ちを繰り返してしまう。あくまで先手を取りに行くのが水戸のスタイルであることを忘れてはいけない。前半から積極性で相手を上回れるかが今節のすべてと言えるだろう。そして、先制点を奪えるか。そこに両チームの明暗は懸っている。
以上
2014.10.24 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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