今節、ホーム山梨中銀スタジアムに川崎Fを迎える甲府だが、随分と勝っていないような気がして調べてみると、甲府のJ1元年・2006年の第3節、記念すべきJ1初勝利となった試合以来、リーグ戦で8戦して3分5敗。どうりで勝った記憶がない訳で、2006年の天皇杯で5−2(丸亀)で勝って大喜びした記憶が鮮明すぎたのかもしれない。本当に勝っていない川崎F戦だが、今節はこの流れを止めなければならない甲府。チームとファン・サポーターの総力を結集して迎え撃って、ギリギリ勝てるかどうかという厳しい戦いになる。
直近の4試合で決めたゴールはゼロ、失点も甘さ控えめの1点だけと、出入りの少ない甲府のスコア。”見所がない試合”という人もいるかもしれないけれど、”甲府ラブ”眼鏡をかければ、勝点1の塀の上を歩くエクスタシーを感じることができる試合でもある。ただ、塀の上から落ちるなら勝点3の側に落ちたい。勝点3が手に入るならゴールなんか決まらなくてもいい…有り得ないけれど…それくらいの渇望。ともかく、J1残留のためには残り5試合で勝点3を1回でも多く稼ぎ、勝てないときは勝点1を積み重ねる結果が必要。前節は首位の浦和相手に5−3−2のスタートポジションでいい内容の戦いをやり、勝点3が充分に期待できたが前半途中でFWキリノがハムストリングを痛めて負傷交代。その後も大崩れすることなく少ないチャンスを活かす戦いをみせたが、阿部翔平のヘディングも石原克哉の左足のシュートも後半アディショナルタイムのクリスティアーノの打席もバットが湿っていてショートゴロで、0−0で引き分けた。浦和に勝点3を与えなかったこの結果には川崎Fのファン・サポーターの皆さんにも満足してもらえたと思うが、今節はキリノ不在でも川崎Fから勝点3を奪い取って、浦和やG大阪のファン・サポーターの皆さんに喜んでもらえるようにしたい。もちろん、一番喜ばせたいの甲府のファン・サポーター。今年のJ1リーグ18クラブの中で一番予算規模が小さいにもかかわらず、健闘している現状を評価しつつ背中を押してくれている。城福浩監督は、「苦しさを共有してくれている」と、彼らに感謝している。彼らのためにも予算規模と順位が正比例しないという革命を15位以上の椅子に座って起こしたい。
今節はディフェンダー改め、「昔のポジションで出ています」の盛田剛平が重要な役割を果たすことになりそう。もちろん一人でゴリゴリと行くのではなく、ツーシャドーとの距離感を保ちながら連携してボールを収め、タメてから裏に出せるかの勝負。J1屈指の攻撃力を誇る川崎F相手にポゼッション率で上回れるとは思っていないが、押し込まれたままでは攻撃のエネルギーを守備で消耗してしまう。かといって、リスクを冒してオープンに打ち合えば勝ち目はない。どこかでリスクは冒さないといけないが、守備のレベルを保ちながら如何に前でボールを奪い、前でボールを失わないで攻撃つなげられるかの勝負になる。
川崎Fは、前節難敵の鳥栖に勝って順位を3位に上げた。ACLリベンジの権利を手に入れられるどころか、浦和が足踏みをすれば優勝争いに絡める可能性があるポジション。ここ数節、残留争いが優勝争いに影響を及ぼしているが、同じ轍を踏むわけにはいかない。甲府側からみれば、中村憲剛が先発しなければホッとできそうだが、周りの選手の名前をみれば1ミリも安心できないほどの攻撃力が残っていることはすぐに分かる。それに、終盤に「中村が出てくるかも」と思いながら戦う甲府は、状況次第だが3枚目の交代カードを切りにくくなる。それに、仙台を泣かせたデカモリシ(森島康仁)も怖い怖い。
土曜の深夜にハメス ロドリゲスとルイス ソアレスが加わった濃い味クラシコを堪能して、日曜の夜は甘さ控えめ…になるはず…の甲府対川崎F戦を観戦する両クラブのファン・サポーターは少なくないはず。日曜夜9時の過ぎの後味はどうなっているのか。
以上
2014.10.24 Reported by 松尾潤
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