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【J1:第29節 名古屋 vs 仙台】レポート:決定力不足に泣いた名古屋が猛攻実らずスコアレスドロー。仙台は粘り強くアウェイでの勝点1をもぎ取った(14.10.23)

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名古屋が決定機を外し続けたのか、仙台が粘り強く守り抜いたのか。それぞれの主観によって印象はまるで変わるが、いずれにしても90分を戦って0−0で終わり、勝点1を分け合った結果は変わらない。降格圏の足音が聞こえる12位と13位というデリケートな順位のチーム同士がこの時期に戦えば、陥りがちな展開だったとも言える。冷たい雨が降る瑞穂陸上競技場で展開された試合は、抑揚はあっても歓喜はない、やや寂しげなものとなった。

戦術的に言えば、両チームの思惑が良くも悪くもがっちり噛み合った試合ではあった。名古屋はダニルソンが出場停止に加え、同じ守備的なスキルを持つ中村直志も負傷で欠場。中盤の守備力低下は免れ得ない状況で、西野朗監督はあえて「オフェンシブにコントロールしていくためのキャスティング」を選択した。ボランチ田口泰士の相棒には、2列目での起用が続いていた矢田旭を下げ、代わってトップ下に右サイドの松田力をスライドし、空いた右サイドには小川佳純。仙台が引いた守りからのカウンターを仕掛けてくると見越しての、攻撃型フォーメーションである。実際、仙台の守備は名古屋のボランチには強いプレッシャーをかけてくることはなく、自由に前を向いてプレーができた矢田は伸び伸びと持ち前の能力を発揮できていた。

一方で仙台はこのところの鉄板のスタメン11人をこの日も並べ、さらに前節で浦和を破った時の積極性はあえて抑えたゲームプランをもって臨んでいた。「しっかり守ってのカウンター、その中で勝点3がベスト」と渡邉晋監督は選手たちに口酸っぱく話しかけ、専守防衛の意識を徹底させた。DFライン、守備ブロックはあくまで低く設定し、攻撃に転じた際はサイドに開いた赤嶺真吾やウイルソンを起点に手数をかけずにシュートに持ち込む。もちろんロングカウンター一辺倒ではなく、時に梁勇基や野沢拓也のゲームメイク力を生かした攻撃も繰り出していたものの、基本線としては自陣で過ごす時間の方が長かった。

試合展開としてはそうした流れが90分続くことになる。「攻める名古屋と守る仙台」と一言で済ますこともできる。問題は、仙台もさることながら、名古屋がことごとく決定機を逃し続けたことだった。7分の田口のミドルシュートを皮切りに、まず前半で名古屋が放ったシュートは公式記録によれば8本。うち4本は“決定的だった”と表現できるチャンスだった。9分と29分の松田のヘディングシュートしかり、41分にポストを叩いた小川のシュートしかり。小川は45分にも持ち前の動き出しの良さから惜しいヘディングシュートを見せたが、これもわずかにゴールの枠を外れている。仙台も23分に野沢、44分に梁と惜しいシュートがあったものの、これはGK楢崎正剛のビッグセーブに阻まれた。

後半はさらに名古屋攻勢の傾向が強まった。わずか2本しかシュートを打てなかった仙台の、1本目のシュートは64分まで待たなければならなかったほど。名古屋は開始早々の松田のミドルシュートを号砲代わりに、引いて守る仙台をさらに押し込むような攻撃を展開した。前半同様に決定機の数で言えば20分経過までに4つはあったはずだ。うち2つは松田であり、65分の矢野貴章のヘディングシュートなどは、この日最大の得点チャンスだったと言える。

この展開にたまらず渡邉監督はボランチの角田誠の投入を決意。前半開始9分でウイルソンが負傷退場していたこともあり、交代のタイミングを慎重に見極めていたが、「あれ以上押し込まれる時間が長くなって、失点してしまうのが一番嫌だった」と判断した。そして攻撃的MFの野沢と守備的MFの角田の交代という明確な意図を持った交代策に、ピッチ内の仙台の選手たちは呼応。「あれではっきりしたんじゃないですかね。相手の攻撃を受け止めようという」(上本大海)と、11人がスコアレスでの勝点1獲得へ向けて一致団結した。

名古屋はその後、スピードのある田鍋陵太、パサーの望月嶺臣と特徴ある選手を投入することで目先を変えつつ攻め続けたが、何をやってもゴールが遠い。86分には田中マルクス闘莉王の直接FKから最後は望月が、また終了間際の90分には遠めのFKから川又堅碁がヘディングシュートに持ち込んだが、最後までゴールマウスにボールが吸い込まれることはなかった。前後半合わせて20本のシュートを放ち、決定機だけでも10回はあったが、無得点。4本しかシュートを打たずにアウェイで勝点1を獲得した仙台と比較すれば、どちらにダメージがあったかは一目瞭然だ。「今日勝っていれば楽になったのに」と闘莉王が嘆くのも無理はなかった。

試合後の両指揮官の表情も曇りがちだった。「勝点1を取れたことを前向き捉えたい」と話した仙台の渡邉監督は割り切った表情を浮かべたが、名古屋の西野監督は「非常にストレスのたまる、内容的には勝たなければいけなかったゲーム」と不満げ。順位からすれば貴重な勝点ではあるのだが、その受け取り方は実に対照的だ。

その上でこの一戦の結果と内容については、楢崎の受け止め方が最も妥当か。
「ちょっとしたことでゴールになったか、ならなかったか、というところなんだけど、あまり前の選手は責められない。全員でやった結果だから。順位がすぐ下のチームが相手だったし、突き放したかったけどね。自分たちを降格圏に引き込もうとしてくる相手だから。でも、詰め寄らせなかったので、最低限のことはできたんじゃないですか」

今節の結果で両チームの順位に変動はなかったが、名古屋は残留確定へ向けわずかに前進し、仙台も予断を許さない状況ではあるものの、一歩前へは進んだ。名古屋はここからの5試合で徳島(10/26@鳴門大塚※18位が確定)、清水(11/22@アイスタ)、大宮(11/29@豊田ス)と残留争い真っ只中のチームとの対戦が続く。守備的な戦いを仕掛けられることも大いに予想される中で、この一戦は良い教訓となったはずだ。西野監督が「永遠のテーマ」とした決定力は、いかに上げるかではなくいかに意識を高くできるかという問題でもある。「次の試合では、チャンスを全て決められるくらい集中して戦います」という川又の言葉にチーム全体が同調し、まずは週末の徳島戦でうっぷんを晴らすような勝利を見せてほしいものだ。

以上

2014.10.23 Reported by 今井雄一朗
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