あの激戦から5カ月。情熱あふれる指揮官に率いられた両チームが再びぶつかり合う。
5月11日に行われた第13節の前回対戦。前半は岐阜が水戸を圧倒した。序盤からナザリトが水戸DFをかく乱し、36分にDF裏に飛び出したナザリトがそのままゴール前に持ち込んで先制点を挙げる。
しかし、その際、ナザリトがゴールポストに激突。足を負傷し、前半での交代を余儀なくされた。これが試合の流れを変えた。前線の核を失った岐阜は後半トーンダウン。一方、ホームの水戸がギアを上げて、主導権を奪い返す。54分に馬場賢治がPKを決めて水戸が同点に追いつくも、1分後に高地系治がFKを流し込んで再びリードする。その後はめまぐるしく攻守が入れ替わる激しい展開に。どちらに転ぶか分からないスリリングな攻防が続いた。
そして、ゲームを制したのは80分までビハインドを負っていた水戸であった。81分、小谷野顕治からのラストパスに素早く反応した吉田眞紀人がスライディングシュートでゴールに流し込んで同点に。そして終了間際、三島康平の落としを受けた吉田がペナルティエリア内に走り込んだ船谷圭祐へ。利き足の左足を豪快に振り抜き、ゴールに突き刺して土壇場で逆転に成功したのであった。まるでジェットコースターに乗っているかのようなエキサイティングな90分。勝利した水戸も敗れた岐阜も力を出し切った好ゲームであった。
ただ、よくも悪くもその試合が今季の両チームを象徴していると言えるかもしれない。今季の岐阜は経営が改善されたこともあり、積極的は補強を敢行。上位進出を狙える戦力を整えた。しかし、好不調の波が大きく、特に90分の中でのゲームコントロールがうまくいかずにいくつもの勝点を落としてきた。安定した戦いができなかったことが現状の順位に甘んじている原因と言えるだろう。
水戸も似ている。岐阜との前回対戦や4対1で勝利した第33節磐田戦などスイッチが入った試合では爆発的な攻撃力を発揮することができる。また、どの試合でも主導権を握り、チャンスを多く作り出せている。ただ、「それが90分続かない」(柱谷哲二監督)ことが今季抱え続けてきた課題である。前節富山戦も前半は守備で甘さを見せて3失点。後半反撃に出たものの、1点が届かずに痛恨の敗戦を喫してしまった。
岐阜は15試合中11試合、水戸は14試合中12試合が1点差での敗戦。力がないわけではない。ただ、安定して「強さ」を発揮できずに悔しさを積み重ねてきた。リーグ残り6試合、「このままで終わるわけにはいかない」(柱谷監督)のは岐阜も水戸も同じだろう。悔しさを無駄にしないためにも、残り試合安定して「強さ」を出し切ることが求められる。
チームが「変わる」ワクワク感ではなく、「変わった」ことを結果で証明しなければならない。勝利のために「熱さ」は必要だ。ただ、それだけではなく、自分たちのやるべきサッカーを理解して、チーム全体で同じ絵を描いて戦い抜いたチームが勝利を手にすることだろう。チーム始動から9カ月、その積み重ねが問われるゲームとなる。
以上
2014.10.18 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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