泣いても笑っても、このチームが観られるのは残り７試合だ。群馬は前節讃岐に敗れて連勝が３でストップ、失意のままホームへ戻ってきた。今季限りでの退任がすでに決まっている秋葉忠宏監督は「連勝は止まったが、シーズンは終わっていない」と選手を鼓舞。熾烈な昇格争いを繰り広げる５位・岡山をホームに迎え撃つ。モチベーションは相手が上。だが負けるわけにはいかない。群馬にとっては、底ヂカラが問われるゲームとなる。

８日夕方、群馬は選手寮でバーベキュー大会を行った。スポンサーの協力のもと選手やクラブスタッフが集結、シーズン終盤へ向けて結束を強めた。関係者によると家族を連れてバーベキューにやってきた選手も多く、和やかな雰囲気で会は進んだそうだ。バーベキュー終盤には、今月13日に誕生日を迎える指揮官の即席誕生会も開かれ、大いに盛り上がったという。秋葉監督は「シーズン終盤へ向けてチームがさらに一つになれた。本当に良い集団になったと思う」と気持ちを込めた。

５位・岡山をホームに迎え撃つ18位・群馬だが、群馬の12勝に対して岡山は13勝。両チームの勝利差はわずかに１勝で、両チームの順位差は引き分け数の差によるところが大きい。群馬のドロー数がリーグ最少の４試合であるのに対して、岡山はリーグ最多タイの15試合。スタイルの違いも当然あるが、岡山が粘り強い戦いを演じているのはまぎれもない事実だ。「（岡山のドロー数は）球際とかチーム全体で戦う姿勢とかそういうところが引き分けにつながっていると思う」（有薗真吾）。群馬は、岡山をリスペクトしてゲームへ臨む。

群馬は熾烈なポジション争いが勃発している。サイドバックは、久富良輔のブレイクにより、小柳達司、瀬川和樹の三つ巴。３プレーヤーがサイドの覇権をめぐってトレーニングから激しい競争を展開している。今試合は、そのポジション争いが前線にも飛び火。秋葉監督は、今週の紅白戦でいくつかのバリエーションの攻撃ユニットをテスト、その試みは選手に大きな刺激を与えている。秋葉監督は「いまチームは非常に良い状態。悪いからメンバーを変えるのではなく、より良いチームにするためのチャレンジだ」と手応えを感じている。

群馬へ乗り込んでくる岡山は、昇格争いの佳境を迎えている。31節の大一番・松本戦で劇的な勝利を挙げて以降、４試合連続勝ちなし。前節長崎戦では前半早々に先制したが、長崎の粘りに屈して失点し１−１のドローに終えた。最近の傾向をみると、上位陣と白熱の試合を展開する一方で、中位以下に苦戦するゲームが多いようだ。岡山にとって群馬戦は今後の展開を考えれば落とせないゲーム。ノープレッシャーの群馬との心理状況も試合を左右する要素だ。09年に岡山でプレーした群馬・青木孝太は「岡山は思い入れのあるチームなので、こういう状況で対戦できるのはうれしい。ただ負けられない」とゲームへ挑む。

ゲームは、ポゼッションサッカーを展開する群馬と、超絶プレスからカウンターを仕掛ける岡山という構図が想定される。群馬は、秋葉監督の今季限りでの退任が早い時期に発表されたためメンタル的に難しいシチュエーションの戦いが続くが、選手たちは１試合１試合に集中するしかない。「一つでも上の順位へ行くことが、自分たちの価値を高めることになる」（秋葉監督）。残り７試合は、秋葉監督体制２年間の集大成をみせる時間となる。

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2014.10.10 Reported by 伊藤寿学