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【ヤマザキナビスコカップ 広島 vs 柏】レポート:エースと10番に乾杯を。守護神にも称賛を。180分の激闘の前半、まず広島が先手をとった。(14.10.10)

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THIS IS HISATO。THIS IS YOJIRO。

エースと10番が準決勝という大舞台で見せた「オンリーワン」のパフォーマンスが、広島に歓喜をもたらした。
この日の柏の守備は、極めて慎重だ。前線にボールが入っても押し上げることはほとんどなく、常に深みをもって1トップの佐藤寿人を複数の選手が監視している状況。広島の形の一つである「一発のパスからエースへ」のラインを警戒していたのは明白。直近のリーグ戦で広島が最大のチャンスを生み出した、清水航平からのロングパスに佐藤が反応して放ったシュート場面が、柏には色濃く残っていたのかもしれない。

41分、青山敏弘から高萩洋次郎へとつながった時、10番は右サイドに張って位置をとった。この時、柏の最終ラインは5枚。広島は3枚。佐藤に対しては増嶋竜也と渡部博文が挟み込むような形で見ていた。だが、パッサーの10番に対しての守備は後手を踏み、フリーとなっていた。

「GKとDFの間にスペースがあった。なので、そこに寿人さんが走り込んでくれると信じて、GKにぶつけるような感覚でパスを出しました」(高萩)

サイドにボールがある時、守備はやはり難しい。DFとしては、どうしてもマーカーから一瞬でも視線を外して、ボールホルダーを見てしまう。その瞬間をエースが見逃さない。まるで忍者が足音を消して走るように、スッとスピードをあげて飛び出した。渡部が驚いてスタートを切っても、ストライカーはすでにフリー。そしてボールがピタリ。飛び出してきた桐畑和繁の上に浮かしたシュートはそこに収まるのが必然だったかの如く、ネットに沈んだ。

48分、自らの突破からエドゥアルドに2枚目の警告を誘い、数的優位に持ち込んだ佐藤は、混乱が生じた柏の守備の穴を見逃さない。青山からの縦パスを受けたその瞬間に、走り出した。もちろん、10番はその動きを感知している。

「DFの頭越しでボールを落とせば、寿人さんなら決めてくれる」。

エドゥアルド退場の余波で4バックに変わっていた柏の最終ラインはこの時、少し混乱があったのかもしれない。一度、後ろに引いてから前を向いて走り出す佐藤のストライカーらしい動きについていけず、高萩のボールをはじき返すこともできなかった。それでも渡部と増嶋が必死に対応し、佐藤を挟み込む形をとったのだが、そこはここまでヤマザキナビスコカップ通算25得点をたたき出していた本物の点取り屋である。バウンドしたボールに対してジャンプし、左足で浮かせたシュートはループ状の軌跡を見せて、またもネットの中へ。通算得点を26に伸ばし、中山雅史・ジュニーニョに並ぶ歴代1位となったこのゴールで、広島の初戦勝利を大きくたぐり寄せた。どちらもまさに「これが寿人・これが洋次郎」。ストライカーとパッサーのハイレベルなコラボレーションだ。

ただ、柏・ネルシーニョ監督はここでさすがの采配を見せる。2点差をつけられ、1人少ない状況。それでもアウェイゴールを奪おうと焦りがちになる。だが、ネルシーニョ監督は冷静に守備を立て直した。ドゥドゥに右サイドの守備に参加するように指示を出し、5バック気味の布陣に再構築。「ホームでもう1点」と意気込む広島の攻撃に網をかけ、カウンターで脅かすことに成功した。

90分、老練な指揮官の狙いがはまりそうな瞬間が訪れた。青山敏弘の横パスに柴崎晃誠が反応できなかったそのスキをついてボールを奪い、大島康樹から工藤壮人へ。完璧なカウンターだ。GKの林卓人は最初、思い切って飛び出し、インターセプトを狙おうと考えた。だが間に合わないと判断するとポジションを取り直し、地面に足をしっかりとつけて準備する。

「頭上を越されること、ニアに速いボール。いろんな選択肢が頭にあった」。

落ち着いていた守護神に、工藤に逆をとらせる甘さはなかった。ファーを狙ったシュートをしっかりと右足でひっかけネットの外に追いやったのだ。まさに1点以上の価値があるビッグセーブだ。

一方、柏の1番・桐畑も意地を見せた。ラストプレー、森崎浩司の鮮烈なスルーパスに浅野拓磨が走る。速い。完全に振り切った。1対1。だが、絶妙なポジションをとった守護神が、浅野の心理を冷静に読み、浮かせたシュートを身体に当てたのである。

もし工藤のシュートが入っていれば、柏はホームで1−0で勝てば勝ち抜けが決まる状況になった。もし浅野のゴールが決まっていれば、広島は3点リードで残る90分を戦う大きなアドバンテージを得られた。GKのスーパープレーが試合の最後を引き締め、ドラマを動かしたのである。

広島には「2−0のスコアは危険だ」というサッカー界の格言を改めて語ろう。柏には、広島が今季、大宮戦で3−0のリードを追いつかれACLのベスト16で2点差を守り切れなかった事実を伝えておこう。12日の第2戦、埼玉スタジアムで行われる決勝への道を自らのモノにするために、互いの魂がぶつかりあう激戦となることは、必至である。

以上

2014.10.10 Reported by 中野和也
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