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【J2:第35節 岐阜 vs 山形】レポート:紙一重の一戦は、苦しい時間を乗り越えた岐阜に軍配。最後は難波宏明の一撃で6試合ぶりの美酒を味わう。(14.10.05)

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歓喜を手繰り寄せたのは、難波宏明の左足だった。77分、スローインが流れてきたところで相手の虚を突く反転ボレー。バーに弾かれたこぼれた球をナザリトがプッシュしたため、あるいは「やっぱり僕のところに誰も(祝福に)来てくれなかったので(笑)」(難波)自身のゴールだと認識していなかったそうだが、背番号24のシュートがラインを割っていたとして、この日唯一の得点が生まれた。

これで難波は今季10得点目。キャリアハイを更新し続けるストライカーが二桁得点の大台に乗せる一発は、パーフェクトキックでなくとも、紛れもなく積極性が生んだスーパーゴールである。
「ここ何試合かはシュートも打てていなくて、自分の中でも、試合中でのシュートのフィーリングを忘れかけているところがあった」
この日も攻撃のもどかしさを感じていた背番号24はハーフタイム、宮沢正史に「後半はもっと強引に打っていいですか?」と相談していたのだという。

前半の岐阜は、山形のプレッシャーの速さ、それから中盤からの飛び出しに対して後手を踏み、良い形で攻撃に転じることができなかった。ボールを奪っても1トップ2シャドーのプレッシャーを前にボールをつなぐことができず、長いボールを送り込んでも前線でタメができない。どうしてもラインを押し上げられない岐阜は、守備の時間が続いてしまう。時間の経過とともにボール保持の時間を増やしたものの攻撃スピードがなく、あるいは一発のロングカウンターに攻撃の活路を見いだしかけていたが、単発のシュート2本という数字がその苦しさを物語っていた。

しかしながら、岐阜には高い共通意識があった。「特に立ち上がりはシンプルにやろうと言っているし、セカンドボールも拾うことができていた」(舩津徹也)山形に対し、押し込まれた岐阜はしかし、守備陣が体を投げ出して水際でしのいでいく。11分には前線に飛び出してきた松岡亮輔にバー直撃のシュートを許し、21分にはディエゴのスルーパスから山崎雅人がGKとの1対1を迎えたが、これにはGK川口能活が右足一本でビッグセーブ。悪い時間帯は必ずあるもので、試合の分岐点となったこの時間帯を制した。GK川口が「攻められている時間で耐えることができたことが、後半に向けてのエネルギーになった」と話せば、ディフェンスリーダーの中村英之も同じ類の言葉で振り返る。

「前半は『絶対にゼロで失点だけしないようにやろう』と中で話していた。みんなの共通意識が取れて、慌てずに前半をゼロで終えたことがチームとしてすごく大きかった。相手が前からプレスに来ている中で無理につなごうとして失って、またシュートまで持っていかれるとチームとしてリズムが出ない。本当はつなぎたいけど、状況を見ながら割り切ってやろうと。時間帯ごとに区切って、自分たちで判断しながら、みんなの意識がバラバラにならずに過ごすことができた」

その言葉どおり0-0で迎えた後半は、ナザリトの高さを使ったロングボールから球際やセカンドボール争いに勝てる場面が増加。シュートで終わる回数が徐々に増え、それは攻撃をけん引していた宮沢が負傷交代を余儀なくされても続いた。それでもチャンスらしいチャンスは少なく、ナザリトの放ったこの日初めての決定的シュートもGK山岸範宏の驚異的なセーブに遭うなど、結局のところ難波のスーパーゴールを待たなければならなかったが、先制されてもおかしくなかった前半を無失点で切り抜けたからこそ、積極的に放ったからこそこじ開けた77分の一発が“リード”に変わる。

そしてここからが正念場である。リード後の岐阜はカウンターも有効に機能するようになり、追加点のチャンスの匂いも漂わせていたが、この日はGK川口同様、GK山岸もビッグセーブを連発。益山司の強烈なミドルシュートを止めた際には、ラモス瑠偉監督も思わずそのプレーに拍手を送ってしまったほど。ともすれば1点差でゲームが進行する流れは、終盤に失点し何度も勝点を落としてきた岐阜にとってイヤな展開で、実際に最後は押し込まれる緊迫の時間が訪れたが、田中秀人は「全然攻撃できなかったけど」と前置きしつつ、成功体験の大きさを口にする。
「前節の湘南戦(△0-0)は強いチームに対してピンチがありながら、結果としてゼロで抑えられたことがこういう展開で生きてくる。そういう結果の積み重ねが大事なのかなと」
後半アディショナルタイムにはロメロ・フランクに決定機が訪れたが、田中秀が決死のファインブロック。2試合連続の無失点を完結させ、ラモス監督も「珍しく集中力が切れずに体を張っていた。すごい。湘南戦も、最後の最後まで体を投げ出したりしていたし、湘南戦が今日の結果に繋がったんじゃないかなと思いましたけどね」と正念場を乗り越えたチームの成長を褒め称えた。

渋い試合だった。決して岐阜に決定機が多かったわけではなく、滅多に出ることのないゴールが決勝点となった。多くの時間帯で主導権を握った山形・舩津が「先に決定機を決め切っていれば3、4点取れた試合だったとも思う」と唇を噛んだように、決めるか、決めないかの差が勝敗を分けた紙一重のゲームだったことは間違いない。ただ、プレーオフ進出を目論む強者を相手に正念場を乗り越えてつかんだ6試合ぶりの歓喜は、紛れもなく自分たちの手で呼び込んだモノでもある。

以上

2014.10.05 Reported by 村本 裕太
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