今節、松本のシュート数は10本。対する札幌は8本。松本は4試合続けてシュート数で相手チームを上回りながらも、勝点を得ることは叶わず。上位チーム・好調チームとの対戦が続いた9月は2敗3引き分けに終わり、ついに勝利がならなかった。
札幌は前節からメンバー・フォーメーションともに変更なく、松本と同じ3−4−2−1のフォーメーションだけに自然と1対1がクローズアップされるミラーゲームとなる。連携面では開幕からこの並びで挑んでいる松本に一日の長があるとはいえ、札幌も前節から変更したと思えないほどスムースだった。
最初に得点機を作ったのは松本。開始9分にゴール前でのFKを得ると、キッカーの岩上祐三が直接狙う。これは枠をとらえたが李昊乗が右手を伸ばして間一髪弾き出すと、対する札幌もその3分後。左CKからの上里一将のキックに、ニアに駆けながらマークをずらしつつ合わせたのは前節・岡山戦で2得点を挙げた都倉賢。敵地で札幌が先制に成功する。
まずは追いつきたい松本だったが、なかなか好機を見出せない。河合竜二を中心とする3バックにロングボールも簡単に跳ね返され、ペナルティエリアへの侵入を封鎖されてしまう。すると24分、札幌が突き放す。やや斜めの位置からのFKを上里が直接松本ゴールへと突き刺す。セットプレーからの効率的な2得点で俄然有利な展開となった。
2点ビハインドとなった松本だが、まだ気持ちは切れていなかった。36分にはカウンターから岩上が前線の山本大貴にロングボールを入れると、頭で落とした先に走りこんでいたのは船山貴之。左足でのシュートは枠を外れるものの、後手に回っていた松本がようやくオープンプレーから得点の匂いを漂わせた。
折り返して迎えた53分、ようやく松本が反撃の火蓋を切る。李のキックミスからボールを受けた船山が遠目から右足を振りぬくと、そのままゴールへと吸い込まれる。チームにとって3試合ぶりのゴールが飛び出し、潮目は明らかに変わった。松本が前への圧力を強めるが、ここで札幌守備陣が耐えたことで試合は膠着状態に。状況打開のため反町康治監督は玉林睦実に替えてサビアを投入し、山本との2トップ体制にチェンジ。さらに最終盤には飯田真輝も前線へ上がるパワープレーを仕掛けた。流れこそ悪いものではかったが、後半アディショナルタイムのサビアのヘディングシュートもパウロンがライン上で跳ね返す決死のディフェンス。その後の攻勢も実らず、試合終了の笛の音が鳴った。
勝者の札幌は上述の通り効率的な2得点にも助けられ、個々の選手が躍動。特に河合・パウロン・奈良竜樹の3バックが松本のロングボールをシャットアウト。後半こそ勢いに圧される場面もあったが、あくまでも集中を切らさずに、冷静に守り抜いた。イヴィッツァ・バルバリッチ監督は後半のスタミナ切れを課題にしながらも、「選手もトライしてくれたので満足しています」と素直に選手たちの健闘を讃えた。対する松本の反町監督は「まだまだ甘いところがある」とセットプレーからの2失点を振り返ったが、「リトル反町が『今までと違うことはやらない』とは言わない」と断言。5戦勝ちなしとなり冷静な危機感を持つべき現状で、今が踏ん張りどころ。しかし、自分たちのサッカーを貫徹することが目標への最短ルートであることを理解しているからこそ迷いはない。あとはその信念に結果がついてくるか、最終盤の戦いに注視したい。
以上
2014.09.29 Reported by 多岐太宿
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