ここ4試合の完封勝利が物語るように、隙のない盤石の戦いを続けてきたガンバ大阪だったが、この日はいつもよりもミスの目立つスローテンポな立ち上がりに。そのG大阪の“緩み”を見逃さず、先制点を奪ったのはサガン鳥栖だった。右サイドからのクロスボールに合わせてファーサイドにつめたFW豊田陽平に対し、G大阪DFがエリア内でファイルを犯しPKを献上。そのチャンスをFW豊田が自ら決めて、鳥栖が幸先よくリードを奪う。
リーグ戦では21節の甲府戦以来、約1ヶ月ぶりにビハインドを追いかける展開となったG大阪だが、それでもなかなかスイッチが入らず、攻撃を作る段階でミスも多く、なかなかゴールに近づけない。しかも先制点を奪った展開に、鳥栖がより守備意識を強めた中で、ボールは支配し、パスを回すことはできても、ブロックを組んだ鳥栖の守備網を切り崩すには物足りないといった攻撃が続く。
だが、そうした良くない流れでもわずかな得点チャンスをゴールに結びつけられるのが今のG大阪の勢いに繋がっているのかもしれない。
23分に、右コーナーキックからの展開から、最後はMF大森晃太郎によってエリア内に放り込まれたボールにFWパトリックが詰めると、鳥栖DFが思わずファウル。今度はG大阪がPKのチャンスを手にし、それを“職人”MF遠藤保仁がきっちりゴールにおさめ、試合を振り出しに戻す。余談だが、このゴールによりMF遠藤のPKでのゴール数は26に。歴代1位の福田正博氏に並ぶタイ記録達成となった。
話を戻そう。
これで目を覚ましたのか、25分を過ぎてからは徐々に落ち着きを取り戻したG大阪が試合のペースを握るが、鳥栖も、無闇にG大阪のパス回しに食いつくことなく、バランスを崩さずに我慢の守備で対応。それは1-1で迎えた後半も代わらず、立ち上がりは前半終盤と同じくG大阪が攻勢に、鳥栖が守勢に試合を展開。だが、鳥栖も防戦一方ではなく、チャンスと見るや一気に枚数をかけて前線へ。サイドをいかしつつ、最後は高さのあるFW豊田陽平にボールを集め好機を伺う。特に8分前後にはセットプレーも含めて再三にわたり、G大阪のゴール前でシュートチャンスを作り出す時間帯も。だが、GK東口順昭を中心としたG大阪の守備陣に落ち着いて対応され、ゴールを奪えない。
そうした我慢の時間帯を耐え切ることで、再びゴールチャンスを見出すというのが、ここ最近のG大阪だが、この日もそれは同じだった。鳥栖の堅守に苦しめられながらも、粘り強くゴールチャンスを伺っていた66分。左サイド、ハーフライン近くでボールを持ったMF宇佐美貴史がゴール前のFWパトリックをめがけてドンピシャの浮き球のパスを送り込むと、右足でダイレクトで合わせたFWパトリックのシュートはゴール左スミへ。決まった瞬間にはこの日はサブメンバーだったMF二川孝広の第一子誕生を祝うべく、その二川をはじめサブメンバーを呼び寄せて、ベンチ前で全員揃ってのゆりかごダンスを披露。万博が盛り上がる。
こうなると、G大阪の勢いはとまらない。
79分には、再びハーフライン近くでボールを持ったFW宇佐美が、再び相手のDFラインの背後を突くスルーパス。それに反応したFWパトリックが、飛び出した鳥栖のGK林彰洋の頭上を越えるループシュートを決めて3−1。84分には右サイドのFWリンスからの低い弾道のクロスを相手GKがハンブルしたこぼれ球に、再びFWパトリックがつめて、4-1。Jリーグでは自身初となる『ハットトリック』を達成し、試合を決めた。
この結果を受け、G大阪は今季2度目の5連勝で4位に浮上。次節は、勝点3差で上位をいく、鹿島アントラーズとの痺れる上位決戦が待ち受ける。
以上
2014.09.28 Reported by 高村美砂
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