下位脱出を図りたいチーム同士の対戦となったC大阪と名古屋の一戦は、名古屋が川又堅碁の2得点に絡む活躍もあり、2-1で勝利した。これで3月以来のリーグ戦3連勝となった名古屋は、勝点を33に伸ばし、16位C大阪との差を10に広げ、J1残留争いから大きく抜け出た。一方、C大阪は前節のG大阪との大阪ダービーに続き、2失点での連敗。カカウに移籍加入後初ゴールも生まれたが、ホームであるヤンマースタジアム長居での公式戦3連勝は叶わなかった。
「両チーム厳しいポジションでの、残り10節となったなかでのゲームで、あまり両チームとも、自分たち一人ひとりのパフォーマンスに対しての余裕度のないなかでの戦いだった」。名古屋の西野朗監督が述べたコメントこそ、この試合を象徴していた。ただし、勝負を分けたのは、前半の戦い。累積警告による出場停止から扇原貴宏が復帰した以外は、前節と同じメンバーを揃えたC大阪だが、序盤は名古屋との主導権の取り合いで、なかなかペースを引き寄せられず。永井龍や杉本健勇を軸とした前線からの連動したプレスも、うまくはまらない。そのなかで、「非常に不用意な失点」(大熊裕司監督)を先に2つもしてしまったC大阪が敗者となり、「有効的に得点が取れた。失点してからも崩さずに戦えた」(西野監督)名古屋に、結果的には白星を奪われた。
「前半の2失点はもったいなかったと思うし、前半、あれ(失点シーン)以外は、特に何もピンチはなかったと思うので。自分たちの集中力が欠けていたから、ああいう失点につながった」と悔やんだのは扇原。0-2となってから、名古屋の守備意識がますます強くなり、後半、反撃に出ても、「そこでなかなか1点取るまでに時間がかかってしまったし、1点取ったあとも攻めあぐねてしまった」(染谷悠太)。67分のカカウの豪快なグラウンダーのミドルシュートで1点差に詰め寄ってから、ホームスタジアムの反撃ムードは確かに高まった。それでも、その後、楠神順平やフォルランのシュートがわずかに枠を外れたり、山下達也のヘッドがクロスバーに当たりながらゴールラインを越えなかったシーンも含めて、1点が遠いところは、今季の負の流れを象徴するもの。試合後の桜色の戦士たちからは悲壮感が漂う。
「我々はこんな状況にいるようなチームでないということをプレーで示さなければいけない」というのは、カカウ。「自分のキャリアのなかにおいても、降格なんてしたくない。それは僕だけではなく、みんなも当然思っていると思いますが、その意識、危機感を、もっともっと感じなければいけない」と試合後にはチームにさらなる奮起を促した。ドイツ・ブンデスリーガで幾多の経験を積み重ねてきた元ドイツ代表のブラジリアンも言うように、16位という現状を踏まえて、C大阪は今こそチームが一致団結し、危機意識を共有して、この苦況を乗り越えなければいけないだろう。
一方の名古屋は、「内容的には相変わらずというか、守備から攻撃へのスイッチがなかなかうまくいかない」(西野監督)なかでも、「現実的」な戦いで、しっかりと勝点3を確保した。そのなかで、今夏加入の川又が、持ち味をしっかり活かしてチームの勝利に貢献。これで、32番が試合に出てからはリーグ戦6試合負けなしで、勝負強い名古屋が戻って来た。西野監督も、「非常に救世主的なパフォーマンスを出してくれている」と、1トップを務めるストライカーを絶賛。殊勲の川又は、「最初から下(残留争い)を見るつもりもないし、勝ち続けることしか考えていない。目の前の試合を勝つためにサッカーをしている。あまり周りのことは見ないほうがいいと思うので」と、威風堂々。川又個人としても、名古屋のチームとしても、ゴールや白星という結果から、今、自信が蘇りつつある。
以上
2014.09.24 Reported by 前田敏勝
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