京都と、首位・湘南との大一番。3位・磐田が引分け、湘南が勝点3を積み上げれば、湘南の2位以内(自動昇格圏内)が確定する(湘南が引き分けの場合は磐田が敗戦で確定)。
前回対戦(第10節)は0−3でやられた。1失点目はFK。2失点目はスローインから逆サイドへ送られ、クロスからヘディングシュート。3失点目はCK。FK、CKはその前のプレーも関わってくるので「一発を決められた」と考えるべきでは無く、それも含めて敗戦。でも次は、絶対ゴールを決めて勝利する、ということである。
その前回対戦ではゴールシーン以外でも湘南の強さは随所にあった。曹貴裁監督は試合後の会見で「前半は守備とかトランジションの部分で、我々が大事にしていることはほぼパーフェクトにできていたんですけど、アタックが独奏になってしまって、オーケストラにならなかったという風に思っています」と話していた。「トランジション」の具体的な意図について踏み込めないが、湘南の守備から攻撃への「変わり目」は、うまいと感じた。例えば、京都の中盤がボールを持つ、或いはパスを出す。それを湘南が奪うと京都の中盤の背後にパスを通していた。もちろん一発でディフェンスラインの裏、でも良いのだろうが、ボールを奪った後の一つ目のプレーでミスが少なく、気の利いた感じのパスが供給されていたと感じている。第10節で、カウンターの要諦を掴んでいると感じさせた湘南。今度の対戦では引いた相手を崩す術も身に付け深化していると思っていいだろう。首位・湘南、どれほど強いか、非常に楽しみな相手だ。
京都は前節、山形相手に痛い敗戦を喫した。「相手が、割り切って長いボールを蹴って来た」と、選手は山形のロングボールの戦い方に手間取ったことを口にした。ただ、山形との前回対戦もそうだった。
筆者は、第7節・山形戦のレポートで「キックオフ直後から迫力を持って入ったのは山形。蹴りだす先には萬代宏樹とディエゴがおり、そこで何かを起こそうとした」と記述している。メンバーの配置は変わっているが、その当時とやろうとしていることは変わっていないのだ。さらにレポートに「山形の戦い方に慣れて来た京都が落ち着いてボールを運ぶのは20分過ぎ辺り」と記述。相手が先制したことで一度引いたという印象もあるが、その辺も前回対戦と似た様なものだった。前節は、後半から京都がボールを運び始めたということだ。
工藤浩平は前節を振り返り「攻めきることが大事。マイボールの時間を長くして、もちろん早い攻撃も必要ですし、最後、フィニッシュに持ち込める様にしたい」と口にしたが、表現を変えて「速攻も含め、自分たちがボールを自在に動かせる様にしないと」ということだろう。結局「相手のロングボールが」ではなく、相手の蹴り合いに付き合ってしまったことにポイントがあるだろう。
アタッキングサードにどうボールを運んでいくか。京都の場合はキーワードの一つに「ボールを動かす」というのがある。前はもちろん、横、後ろも使い、ボールを受ける選手は的確に位置取りし、足下、スペースへと判断速く動かす。これが出来て、崩しの一手を打つことになる。もちろん速攻で、前にボールと人がどんどん進んでいくというのもアリ、だ。そしてフィニッシュへ―。仕掛けるのか、スプリントか、それともワンツーか、或いは遠目からシュートか―。これらがアイデアで、前節は、そのアイデアに到達する前段階が出来ていなかった、ということだろう。
川勝良一監督は、試合後の会見で「考え方を根本的に見直す」と口にしたが、練習後の囲みの中でメンバー構成についてほのめかした。「『生き残りをかけて戦う』こと。それが出来ない選手は使わない」と語気を強めた。大人しい京都の選手に対して、勝負への執着をもっと引き出したいのだ。
前節の反省点も明確で、今節に向けて気持ちの切り替えから、勝利への覚悟も入れ直した。首位・湘南を相手にどんな戦いを見せられるか、非常に楽しみな一戦である。
以上
2014.09.22 Reported by 武田賢宗
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