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【J1:第24節 鳥栖 vs 仙台】レポート:決めるべき人が決め、止めるべき人が止める。これができた鳥栖がリーグ戦2試合ぶりの勝利。できなかった仙台はリーグ戦4連敗。(14.09.21)

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決めるべき人が決め、止めるべき人が止める。味方にとって決めるべき時とは、相手にとって決められてはならない時であり逆もしかり。当たり前のことなのだが、これが非常に難しい。

【鳥栖】 7分 金民友 → 豊田陽平 ヘディングシュート
【鳥栖】15分 藤田直之CK → こぼれ → 坂井達弥 左足シュート
【仙台】25分 太田吉彰 → ウイルソン ヘディングシュート
【仙台】34分 野沢拓也 右足ミドルシュート
【仙台】48分 ウイルソン PK
【仙台】62分 野沢拓也 右足ミドルシュート
【鳥栖】71分 岡本知剛 → 豊田陽平 シュート → こぼれ → 水沼宏太 → 豊田 右足シュート
【鳥栖】84分 藤田直之 FK → 水沼宏太 ヘディングシュート
【仙台】89分 混戦 石川直樹 → 赤嶺真吾 右足シュート

筆者の記録を抜粋しても、“決めてもおかしくない・決められてもおかしくない”シーンが多くあった。それだけ、パッサー&フィニッシャー、対してブロッカーとGKの見せ場が多かったと言えるのだが・・・。今回のレポートについては、48分と71分の対象的なシーンを取り上げておく。

48分自陣からボールを受けた梁勇基が鳥栖ゴールに向かってドリブルを始めた。
「梁がボランチに入れば一つ高いところでボールを受けて・・・(中略)・・・チームにとってもプラス」。
渡邉晋監督(仙台)の狙いの一つである、梁勇基の個人技で仙台が先制のチャンスを作った。ここで得たPKを蹴るのはウイルソン。「狙ったコースに蹴りました」(ウイルソン/仙台)とのことだが、GK林彰洋は「ウイルソンがPKを失敗している映像を見て・・・(中略)・・・失敗したシーンとは逆に飛びました」と冷静に対応した。この冷静なGK林彰洋の判断は、前述した仙台の得点シーンを幾度となく止めていた。「前でアグレッシブに行っても最後は林(GK林彰洋)が止めてくれるという信頼関係」と吉田恵監督が評価するGK評である。

71分仙台のクリアボールをハーフウェイライン近くで岡本知剛がダイレクトで仙台DF裏を狙って蹴った。受けるのは豊田陽平。一度は、GK桜井繁(仙台)に阻止されるも、こぼれ球を水沼宏太が拾い再び豊田へつないだ。「相手の股の間を狙うことしか考えていませんでした」と豊田はシュートしか考えていなかった。強引ともいえるプレーかもしれないが、7試合ゴールから遠ざかっていたエースストライカーでもあり、「ホーム戦でなかなか勝てていない」(同)状況を考えてのプレーだったのだろう。狙い通りにシュートはネットに突き刺さった。

結果だけを見ると、両チームのエースストライカーの明暗がそのまま試合結果となってしまった感はあるが、“決めるべき人が決め、止めるべき人が止める”ということは、味方にとって決めるべき時とは、相手にとって決められてはならない時であり逆もしかりなのである。繰り返すが、当たり前のことなのだが、これが非常に難しいのである。

リーグ戦連敗を阻止した鳥栖は優勝争いに残り、4連敗となった仙台は依然降格圏争いから抜け出すことができないでいる。エースストライカーの今季の得点(豊田陽平10得点、ウイルソン2得点)が、そのまま両チームの順位を表しているのかもしれない。

決めるべき人が決め、止めるべき人が止める。これをできた方が勝利に値すると言える試合でもあった。

文末ではあるが、鳥栖が勝利できた要因をあげておきたい。
71分の鳥栖が先制したシーンであるが、仙台のクリアボールをダイレクトで岡本知剛がDF裏を狙って蹴っている。岡本の持ち味は展開力。視野を広く持っておかないとこの持ち味は出すことができない。この視野の広さが、先制点を生むスペースを見つけていた。手数(足数?)をかけずにダイレクトでボールを出したプレーこそ、鳥栖の素早い攻守の切り替え魅せたシーンと言える。また、豊田のシュートの際、水沼をはじめ金民友らゴールにちゃんと詰めていた。これも、プレーの基本を大事にしている鳥栖らしいプレーと言える。

そして、もう一つ。
「今回は得点というよりも走ってボールを追いかけるということを頭に入れていました」と残り8分で1‐0と勝っている状態の中でピッチに立った福田晃斗のプレーである。相手にとって起点となるところにプレッシャーがかかるということは、追いつきたいものとしては厄介な存在である。
87分に谷口博之を入れて5バックにしたところでも、この“前線からボールを追う”プレーは続いた。福田だけではない。ここまで走り続けている豊田も、最前線からボールを追った。引いて守るのではなく、それまでの流れを汲んだ中での5バックを選択した吉田恵監督。彼にとってのホーム戦初勝利は、これまでの鳥栖のプレーを周到した中での勝ちパターンと言えるかもしれない。

決めるべき人が決め、止めるべき人が止める。そして、全員が最後までボールを追い、最後まで集中して走り切る。鳥栖のすべてが出せたからこその勝利であった。

サッカーの華はゴール。それを求めて全員がプレーする。しかし、結果は勝者と敗者とに分かれ、悲喜が混在する。サッカーは90分を通してこの現象が続くスポーツであり、この現象の積み重ねがシーズン王者へと続いている。サッカーは、点を見ながら線をつないで最後に完成する絵を楽しめるスポーツなのである。

以上

2014.09.21 Reported by サカクラゲン
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