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【J1:第19節 神戸 vs 新潟】レポート:河本裕之の劇的なゴールで神戸が粘り勝ち。“無失点”が中断明け初の勝点3を呼び込む。(14.08.10)

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台風11号が接近する中、ノエビアスタジアム神戸には11303人が詰めかけた。その観衆を魅了するような一進一退の攻防は、神戸が終了間際の劇的なゴールで幕を閉じた。詰めかけた多くの神戸サポーターにとっては、久々にしびれる内容だったのではないだろうか。
この日、9位の神戸は勝点差わずか1で10位につける新潟と対戦した。共に中断明けはなかなか結果が伴わない両者だが、特に神戸は中断前の第14節・清水戦から5試合も白星から遠ざかっている。なんとか浮上のきっかけをつかみたい、その思いが開始早々からの猛攻へとつながった。
3分過ぎにはスルーパスを受けたペドロジュニオールがドリブルでペナルティエリアに侵入し、新潟DF李明載に倒されてPKのチャンスを得た。PKのキッカーはマルキーニョス。誰もが神戸の先制点を疑わなかったが、彼の放ったシュートは枠外へ。スタジアムには神戸サポーターのため息と、新潟サポーターの歓声が同時に沸き起こった。
これで流れが新潟に傾くかと思われたが、その後も主導権を握ったのは神戸だった。5分過ぎには右SBの奥井諒がドリブルで持ち上がってCKを得たり、約9分にはCB岩波拓也が目の覚めるようなサイドチェンジでチャンスメイクをしたり。22分頃にはマルキーニョスがセンターサークルから超ロングシュートを放ち、新潟のGK守田達弥を慌てさせた。その直後には、岩波のくさびのパスをペドロジュニオールがワンタッチで奥井へ流し、奥井からの折り返しを森岡亮太がノールックで左の杉浦恭平へ。流れるようなパスワークでGKと1対1の場面も作った。だが、どれもゴールには結びつかず、前半を0−0で折り返すことになる。
このスコアレスで勢いを付けたのは、新潟だった。柳下正明監督がハーフタイムに「後半45分0−0からスタートできる。自分達のペースで戦おう」というメッセージを選手たちに伝えると、前線から積極的にプレッシングをかけ、試合の流れを引き寄せた。
51分頃には、ボランチの小林裕紀とレオシルバが高い位置でボールを奪うと、右サイドで山本康裕と松原健が攻撃を組み立ててCKを獲得。62分にはFW岡本英也のスルーパスで田中亜土夢が抜け出し、GKと1対1の場面も作った。だが、前半の神戸と同じく新潟も最後のフィニッシュを決めきれない。結局、0−0の膠着状態のまま、ゲームは運命の後半アディショナルタイム(3分)に突入した。

神戸の安達監督はこの時、ある思いを胸に抱いていた。決勝ゴールを挙げた河本裕之についてだ。「今シーズンは増川や岩波とポジション争いを強いられ、(なかなか試合に出られない)非常に苦しい時期もあったと思う。でも、本来の彼の力は僕も認めていますし、一番苦しい時に活躍してくれるのが河本かなと」。流れの中で得点できない展開で、セットプレーの確率が高いチームは有利だ。神戸は今季、セットプレーから6ゴールを挙げている。これは新潟の倍の数字。前節の浦和戦でCKから得点を挙げていた河本への期待は、残り時間が少なくなるに連れて高まっていった。
終了まで残り1分を切った90'+2分、神戸はコーナーキックのチャンスをつかんだ。キッカーはチョンウヨン。左コーナーから放たれた彼のプレースキックは、ゴール前へと吸い込まれるように曲線を描いた。それを河本がきっちりとヘディングで合わせ、ついに均衡が破られた。前節の浦和戦と同じような河本の爽快なゴールに、スタジアムは揺れた。

試合後、河本はゴールシーンの振り返り以上に、「後ろでゼロに抑えようと声を出しながらやっていたので、なんとかできて良かったです」と無失点に胸を張った。GK山本海人によると、浦和戦後の1週間、守備面の修正をみんなで取り組んで来たという。
「この1週間、かなり口うるさく、みんなに言いました。ちょっとうるせぇなって思っていた選手も中にはいるんじゃないかなぁ(笑)。でも、その甲斐あって、いつもよりシュートブロックに身体を張る選手も多かったですし、選手同士の距離感は前より良かったと思います。もう少し点を多く取りつつも無失点で試合を終える戦い方を、後半戦を通して身につけていきたい」
サッカーでは、決める時に決めておかないと、流れが相手に移るケースがよく見られる。今節の神戸も前半で試合を決められるほどチャンスはあったが、それを決められずに後半は新潟にペースを握られた。だが、その逆境を無失点でしのげば、再びチャンスも訪れる。リーグ戦で安定した結果を残すチームは、攻撃だけではなく守備もいい。この完封勝利はそういう意味で大きな1勝と言える。
だが、河本は最後にこう言い残してスタジアムを去った。「この1勝に意味があるというよりは、これから勝ち続けられれば、この1勝が意味のあるものになっていくと思う。次が大事かなと思います」。この日のヒーローは、余韻に浸ることなく、すでに先を見据えていた。

以上

2014.08.10 Reported by 白井邦彦
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