J1リーグ第17節が行われ、F東京は、ホーム味の素スタジアムで仙台と対戦して3−0で勝利を収めた。完璧なゲームコントロールで仙台を寄せ付けず。勝点を25に伸ばし、7位に浮上した。
F東京は再開後、同じ先発メンバーで戦ってきた。だが、この日はチーム得点王のエドゥーが出場停止で不在。マッシモ・フィッカデンティ監督は、平山相太をエドゥーのポジションに入れ、さらに羽生直剛を先発のピッチに送り出した。この起用がはまった。
一方で仙台は、渡邉晋監督が「ここ2戦の反省を生かして新たなトライを試みた」と言い、最終ラインからのビルドアップにチャレンジした。だが、F東京のプレスをかいくぐることができず。いたずらにボールを奪われ、カウンターの脅威にさらされ続けてしまった。
それによって、前半はF東京の良さと、仙台の拙さが目立つ試合となった。平山が前半18分、太田宏介のクロスを頭で合わせて先制点を挙げ、33分にはワンツーで崩して河野広貴の得点を演出。早々と2点を奪ったF東京は、さらに高橋秀人がセットプレーのこぼれ球を拾い、エリア内から右足で決めてリードを広げて試合を折り返した。
後半に入ると、一方的な展開だった前半から様相が変わった。前半は、F東京がシュート6本を放ち、仙台は1本にとどまった。しかし、後半は東京が2本に対し、仙台は10本ものシュートを記録している。
これは大量リードを奪ったF東京が作為的に仕掛けたものと言っていいだろう。フィッカデンティ監督は62分、河野に代えて東慶悟を投入すると、4―3―1―2からシステムを4―4―2へと変更した。そして、3ラインのブロックを組んでスペースを消し、常にカウンターを狙う得意の体勢を取った。後ろに人数を割いため、前へと出て行く回数は減ったものの、消耗度を抑えて守りに集中することができた。結果、試合の経過とともに仙台が疲労の色を濃くした一方で、F東京の選手たちは最後まで元気だったのだ。
フィッカデンティ監督が「ほとんど相手に好きなことをさせなかった。後半に攻め込まれている時間帯も2本か、3本ほどペナルティーエリアの外からシュートを打たれた程度。90分間を通して、しっかり守れた」というように、大量リードを守り切って確実に勝点3を手に入れた。
そうした多様な戦術的変化を可能にしたのが、羽生の存在だった。背番号「22」は試合後、いくつかの勝因の中にこの言葉を入れた。
「中断期間中にうまくいかず、監督と選手や、選手間でも良いコミュニケーションが取れるようになった。試合中も頻繁に話しているし、それが少しずつ良くなっている証しなのかなと」
F東京は、対話を重ねることで、それぞれの戦術理解度が深まり、求められる役割や位置づけが明確となっている。この日、点差や状況に応じてやるべきことがハッキリしていたことが危なげない試合展開を生んだのだろう。
そして、羽生はこうも言った。
「僕自身、一人で何かできるタイプではない。まずは前線との関係で良いポジショニングをとって、そこから足を運ぶことは意識している。(河野)広貴や相太の良いところも分かっているので、それを引き出すことはできたと思う」
滑らかなシステム移行とともに、この日は平山や、河野だけでなく、チーム全体の一人ひとりの個性が際立った。それは、ひとえに羽生の献身性や、一つ一つの気の利いたプレーがあったからだろう。この大勝劇は名バイプレーヤーの価値を再認識する試合でもあったのだ。
指揮官も試合後の会見で冗談交じりに「まだ(羽生は)若いので、これから何年もキャリアがあるなと思いました。それほど素晴らしかった。今日の彼の出来には疑いを持っていなかったし、今回のプレーには満足している」と口にする。
羽生は開幕前、「自分がこのチームにいる意味を示したい」と宣言した。このマニフェストは達成された。決して大きくない体で日本代表まで上り詰めた男は、改めて偉大さを証明した。勝者を目指すプロジェクトを成すために、彼はやはり必要だ。
以上
2014.07.28 Reported by 馬場康平
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