MF倉田秋の出場停止を受け、FWパトリックが初先発を飾ったガンバ大阪は、立ち上がりから攻撃陣が躍動。再三にわたって清水エスパルスのDFラインの背後を突いた攻撃で好機を作り出す。

先制点は6分、MF阿部浩之。右サイドのMF遠藤保仁のクロスをファーサイドでDF岩下敬輔が競り、そのこぼれ球をFW宇佐美貴史がうまく潰れながら後方へパス。そこに詰めたMF阿部が右足でゴールを決める。好調の攻撃陣で中断明けの天皇杯、リーグ戦ともにゴールを奪えていなかったMF阿部のリーグ戦では3試合ぶりとなる先制弾。更にその3分後には、右サイド、DF米倉恒貴からの縦パスにあわせてDFラインの背後をとったFWパトリックがドリブルでエリア内に侵入。同じタイミングで逆サイドから攻め上がったMF大森晃太郎にパスを出すと、それをMF大森がきっちりゴールにおさめ、あっという間にＧ大阪が2点のリードを奪う。

立ち上がりから相手の攻撃の受けにまわる時間帯が多かった清水は、2点のビハインドを負う展開にも流れを変えられない。全体が間延びしていることもあって思うように攻撃の形を作り出せず、また、なんとか前線にボールを運んでも、ボランチを含めて安定した守備を展開していたＧ大阪の守備網を切り崩すにはいたらない。その状況を示すかのように前半のシュート数はゼロ。また守備においても、人数は足りている状態でありながら相手の速いパス回しに翻弄されるシーンも多く、再三にわたってＧ大阪に攻撃チャンスを作り出されてしまう。

Ｇ大阪のワンサイドゲームというべき内容で折り返した後半も、立ち上がりからペースを掴んだのはＧ大阪。MF大森やFWパトリック、MF阿部らが効果的に清水のDFラインの背後をとりながら攻撃を展開。また、その中でFWパトリックやFW宇佐美が確実にボールをおさめ、キープできることもあってだろう。中盤の選手が彼らに連動しながら、Ｇ大阪らしい枚数をかけた攻撃を披露する。そのＧ大阪のリズムを何とか食い止めようと、清水も「切り替えを早くして相手のテンポを変えよう」というゴトビ監督の指示に従って、個人個人がややスピードアップしたものの、Ｇ大阪の守備陣も落ち着いて対応。相手の攻撃を寄せ付けない。またボールを奪ってからの攻守の切り替えも速く、全くスキのない展開でＧ大阪がゲームを支配する。しかも56分には右サイドを攻略したDF米倉が絶妙のクロスにFWパトリックがダイビングヘッドであわせて、移籍後初ゴール。3-0と清水を突き放す。

その状況にようやく清水のゴトビ監督が動き、59分、FW大前元紀とFW高木俊幸に代え、MF高木善朗とMF石毛秀樹の２枚を同時投入。前線にフレッシュな顔ぶれを揃えて反撃を試みるが、ペースを握り返すにはいたらず、新しく入った選手も効果的に攻撃に絡めない。いや、それ以上に、72分に更に攻撃の勢いを強めるべくFW佐藤晃大、MF二川孝広を投入したことで、Ｇ大阪の攻撃が息を吹き返したというべきか。実際、ボランチの日本代表コンビを中心に、速攻、遅攻をうまく織り交ぜながら、かつ、状況に応じてはパスを繋いで時間を作ったり、一旦ボールをDFラインまで戻して攻撃を作り直すなどしながら盤石の試合運びで攻守にわたって清水を圧倒。88分には途中出場のFW佐藤、MF二川、FWリンスの3選手が絡んで追加点を奪い、4-0で試合を締めくくった。

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2014.07.24 Reported by 高村美砂