両チーム無得点で終えた前半を経て、後半開始間もなくスコアは動いた。右サイドで得たフリーキック、「前半からキックのフィーリングは悪くなかった」という三竿雄斗が鋭いボールを蹴り込み、これにウェリントンがヘッドで応え、湘南が先制した。48分のことだ。
ビハインドを背負った熊本だが、しかし「選手は前線からよくプレッシャーをかけ、体を張って守り、果敢に攻めた。よくやってくれたと思っています」小野剛監督が称えた通り、前半から球際厳しく、セカンドボールに対する意識も高かった。ゴール前に蹴り込んだ先のこぼれ球に中山雄登が走り込み、シュートがクロスバーを叩くシーンもあった。対して湘南も、ときに縦に繋ぎゴールへと向かうが、クロスやシュートまで至らず攻め切ることができない。悪くはないがリズムに乗れない、そんな印象だった。
「2順目の戦い方の難しさ、相手のやってやろうという気持ちのところで、受けて立つわけではないが難しい試合になった」曹貴裁監督がそう振り返った展開のなか、映えたのは機を捉えたセットプレーと、GK秋元陽太を中心とするゴール前の奮闘だった。先制点のあと、熊本もペナルティボックスへと攻め入り、齊藤和樹や澤田崇がゴールを脅かしたが、「コースもちゃんと切ってくれていたし、セカンドボールに対しても(遠藤)航がしっかり反応してくれたので、僕だけじゃなくみんなで連動して守れたと思います」秋元はチームを口にした。
湘南の追加点はピンチを凌いで間もない。そのくだりもまた、鮮やかだ。攻勢から敵陣での展開に持ち込みコーナーキックを手にすると、流れるようにボールを動かした先で菊池大介がゴールに結んだ。「相手を分析し、やるべきことをしっかりやって、狙い通りに得点が生まれた。チームの得点だと思うし、個人的にも今日決められたことは次に繋がるのでよかったです」菊池が振り返ったゴールは65分、湘南がリードを広げた。
だが熊本も追撃に出た。78分、中山のフィードから巻誠一郎が落としたところに仲間隼斗が詰める。「相手の3枚の裏へできるだけランニングするようにしていた」と明かしたように、仲間は相手の守備陣を振り切り押し込んだ。前半から意識されていたセカンドボールを拾ったところからの素早い攻撃で、途中出場の巻と仲間が結果を残したかたちでもあったが、追撃はこの1点にとどまった。
「やられたのはセットプレー。もったいない失点だったと思いますが、セットプレー以外は五分五分でやれたと思うので、自信を持って、修正するところはして、次に臨みたい」養父雄仁が語ったように、熊本はこれまで抑えていたセットプレーの失点が悔やまれるが、連敗の渦中にあって浮上の糸口が窺える内容と言えるだろう。
一方、湘南はセットプレーによる2得点で勝利を手繰り寄せた。「自分たちのスタイルが出せないときでも今日みたいにしっかりセットプレーで点を取れたのは大きいと思います。でも逆に言えば今日はセットプレーでしか点を取れなかったので、そういうところは次の試合に活かしたい」たとえば武富孝介が語ったように、彼らも磨くべきは分かっている。
「しっかり勝点3を取ったことはひとつチームとしての成長だと思います」指揮官は語る。試合を前に、「悪い時間帯に何ができるかが大事」と触れていた通りの難しい展開のなかで、それでも勝点3という結果と次への課題を同時に手にする彼らの歩みがたくましい。
以上
2014.07.21 Reported by 隈元大吾
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