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【第94回天皇杯 2回戦 甲府 vs 明治大】レポート:90分で勝ったことより危機感を強くしたことが収穫の甲府。明治大はレベルの高さを見せるもプロとアマの差を乗り越えられず(14.07.13)

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柏のように(スコアの見た目で)いい勝ち方をしたチーム、名古屋、浦和、F東京のように大量得点で勝ったチームもあったが、仙台、鹿島、神戸が敗れ、川崎F、C大阪と延長戦の末に勝ったチームがある現状を見れば、天皇杯の難しさと長い長い中断明けの公式戦の難しさがあった天皇杯2回戦。7月19日のJ1リーグ戦再開に向けて多くのチームが難しさを味わっていることを確認できただけでも少し気が楽になるが、90分で勝った上に、危機意識を強くできたことは甲府にとって悪くない、良くない内容の勝利。

学生選抜の遠征でDFラインの3人が不在の明治大とはいえ、小池佑平や小出悠太らは完全なサブではなく、公式戦での経験も充分にあるメンバー。主力欠場の影響をタラレバで語ることはできないけれど、粘り強く戦うプレーには明治大の力を感じたし、右サイドハーフの矢島倫太郎や2トップの和泉竜司、木戸皓貴のかわす技術やタメる感覚には手ごわさを感じさせられた。
前半6分に明治大が右サイドから入れたクロスが決定機になりかけて、甲府の選手の心の戦闘モードのスイッチを入れたけれど、甲府の連携はギーギー、キィーキィーという音が聞こえてきそうなくらい滑らかさに欠けていた。中断期間中の甲府のトライの1つは、ジウシーニョをシャドーから右のウィングバックで起用することだが、会社でいえば経理と営業を兼任するようなポジションなのでそうそう簡単にはハマらない。もう1枚のシャドーのクリスティアーノもハマれば名前の後にロナウドをつけたくなる選手だが、この日はセルフィッシュがちょうどいい時間が多かった。今シーズンの傾向を見るとクリスティアーノは相手のフィジカルが強くないと思うと、チーム戦術を忘れて自分で無理矢理行こうとしてバランスを崩してしまうので、ある程度相手のフィジカルが強いほうがチームメイトと連携する気になるようだ。スーパーな能力を持つ選手の手綱さばきの難しさを改めて感じさせられた場面。

1トップ・2シャドーの3トップが機能しなければ後ろも機能しない甲府。ギーギーと音を出しながら必死の守備をする。ただ大学生が相手で局面ではボチボチ勝てるので、プロが相手ならタッチラインやゴールラインに逃げるべきボールもマイボールにしようとして余計にややこしくする場面も出てきた。14分に石原幸治に打たれたシュートはこのケースからマイボールにし切れずに明治大の前にこぼれたチャンスだった。このシュートは荻晃太が防いだが、前半の序盤で“難しい試合”を覚悟することができた。
甲府も39分にジウシーニョのシュートがポストに当たる場面は作ったが、アンジェリーナ・ジョリーにかけられた“ノーゴールの呪い”がまだ解けておらずにシュートはファーのポストに弾かれて明治大の選手の心にダメージを与えることはできなかった。

甲府は後半に向けて何か策を講じてくるだろうと見ていたが、52分に盛田剛平に代えて石原克哉をシャドーに投入し、クリスティアーノを1トップに置く。するといきなりゴールが決まる。中断前はクリスティアーノの1トップが機能し難い印象が強かったのだが、この試合では前半のプレーはサイドブレーキをかけたままだったのをハーフタイムに指摘されたような勢いが出ていた。クリスティアーノが左サイドから入れたクロスが水野晃樹に合って、セルフィッシュではなく、元セルティックの水野が角度を変えてゴールイン。この辺りが、天皇杯で苦労する以前の甲府とは違う点。悪いなりに決めるのだ。12分にもクリスティアーノがシュートをポストに当てたし、18分にはジウシーニョが呪いのもとで決定的なシュートを打つなど、後半は決定機が増えた。

ただ、明治大も1失点で沈んでいたわけではない。右サイドからのクロスは、同点の可能性を高めていたし、甲府の守備陣は何度もヒヤッとしたと思う。給水タイムはあったものの、足を攣る選手が出ていて、4人目の交代選手を入れたいくらいの後半の終盤だった。アディショナルタイムが5分と出たときには、ちょっとだけ悪い予感もした。最後の時間帯で明治大はGK・三浦龍輝がスローインをしたり、GK・三浦のドリブルでの上がりがジウシーニョにファウルで止められそうになるなど、全員で1点を奪いに行く迫力を見せた。しかし、その想いはゴールに繋がらずに1−0でタイムアップ…。
勝っても負けても次の試合が大事なサッカー。甲府は約2カ月ぶりのJ1リーグ戦の再開を翌週に控えて、「このままじゃだめ」という危機意識にターボがかかったと思うし、明治大は反省ばっかりではなく自分たちの良かった部分を大事にしてその武器を更に磨く必要があるはず。プロとアマチュアが本気で交わる天皇杯2回戦、山梨中銀スタジアムのゲームはサッカーのダイナミックな魅力を伝えられる内容ではなかったが――サッカーは人生の縮図――難しいものだということを伝えて、次の試合に繋げたい一戦となった。

以上

2014.07.13 Reported by 松尾潤
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