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【J2日記】讃岐:キジ、おかえり!!(14.06.18)

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(C)オフィスひやあつ

札幌戦で今季初出場した木島良輔選手が試合後、サポーターに挨拶をした。

(C)オフィスひやあつ

リハビリ中、紅白戦を見つめる木島選手。どんな想いが去来していたのだろうか…

6月7日(土)香川県立丸亀競技場。その男がピッチに立った瞬間、場内には割れんばかりの拍手と歓声が響き渡った。シーズン前のケガで長く戦列を離れ、復帰を目指し懸命にリハビリに励んでいた彼が、J加入後初めて“カマタマーレ讃岐”の選手としてピッチに立ったのだ。

「木島良輔」。讃岐サポーターでなくともサッカーファンなら一度は耳にしたことのある名前だろう。

木島選手が帝京高校の大先輩であり熊本時代の恩師でもある北野誠監督率いる讃岐にやって来たのは昨年の3月。横浜FM、大分、東京Vなど数々のクラブでプレーしてきた華々しい経歴と同時に、その“やんちゃぶり”も有名だった。
そんな木島選手が讃岐に来た直後、インタビューをお願いする機会があった。勝手なイメージから内心は恐る恐る…という感じ。だが、イメージは大きく裏切られた。「いいよ!何聞きたい?練習で疲れちゃったから座って話そうよ」と最初から実にフレンドリー。長時間の取材に嫌な顔ひとつせず答えてくれ「まだ香川に友達がいないから寂しいんだよね〜」などと意外な一面も見せてくれる。真っ直ぐで繊細で、人間味あふれる選手というイメージに変わった。
木島選手は讃岐サポーターも、その人柄とプレーで一瞬にして魅了した。木島選手がボールを持つと「なにかやってくれそう」とサポーターはワクワクするのだが、その期待通りのプレーを繰り広げる。そして、讃岐のJ加入に多大な貢献を果たした。

だが今季、「2年ぶりのJ2でどれだけ自分がやれるのか楽しみ」と話していた木島選手の姿は、開幕のピッチになかった。チームは開幕からまさかの7連敗。シーズン前に「自信がつく前にボロボロにされないようにしないと」と危惧していた木島選手は、当時を振り返り「開幕前はメンタルのことを言っていたんだけど、今思えばメンタルじゃなかった。危機察知能力っていうか“ここが危ない”“今の時間帯が危ない”、そう感じるべき部分でJFLとJ2には差があって、それにうまく対応できなかったんじゃないのかな」と話す。
「見ていてもどかしい気持ち…初めはあったけど、今は全然ない。みんなまとまってるし、個人個人で責任を感じてやっていると思う。試合に出たい気持ちはあるけれど、それは俺がなんとかしたいというよりも、ただ選手として自分が出たいと思うから」。

ケガでピッチに立てない時期も、木島選手はチームに大きな力を与えてきた。たとえば讃岐が初めて勝点を得た第8節・福岡戦。この日、Jリーグ初得点となる同点ゴールを決めた福家勇輝選手は試合後「思い切りの良さがなくなっていると木島さんにアドバイスをもらって、そこも意識した」と語っている。当の木島選手にこの話をすると「アドバイスなんて大げさなものじゃないよ。ただ『ピッチに入った時にいいイメージだけしておけ』って言っただけ」と謙遜していたが、ベテランFWの言葉が福家選手の胸に大きく響いたことは想像に難くない。

こんなこともあった。4月某日、チームメイトが紅白戦を行うグランドの周りを黙々とランニングする木島選手。ふとゴールラインで足を止め、しばらく紅白戦を見ていたかと思うと、ゴールを守っていた石井健太選手に身振り手振りのアドバイスを始めた。それから約2週間後の試合で石井選手はJデビューを果たしたのだ。
「それは関係ないよ!」とこの話にも大きくかぶりを振って謙遜した(?)後で「ゴールの近くで見ていても声が出ていなかったから、そこのところは言った。それから練習で簡単なボールが来たら、もっと厳しいボールをくれとか要求していけって」と教えてくれた。
「同じ選手という立場で、自分がいろいろと言うのもどうかなって思っていたんだけど、北野監督から『どんどん言っていけ、これまでいくつのチームでやってきたんだ』と言われて、ああそうかと思うところがあったから。若い選手は特に、Jリーグがどういう環境かも知らないわけで、自分が言うことで少しでもわかってもらえたら、上を目指してやるきっかけにもなるかなと思うんでね」

苦しいリハビリに耐えながらも、こうしてチームのことを考えてきた木島選手。ケガからの復帰が近づいてくると、北野監督も愛情いっぱいの表情で「キジ(木島)にはホームで、いい時に復帰させてやりたい」と話していた。
そして、ついにその時。第17節・ホーム札幌戦で75分に交代出場。大歓声に迎えられた。「木島さんが入るとサポーターの声援もスタジアムの雰囲気もグッと締まる」とは高橋泰選手。木島選手がマークを引きつけることで相手の守りが少しずつズレて、高橋選手のゴールに結びつき、讃岐は初の完封勝利を手にした。
試合終了後「サポーターの声援は本当にうれしいけど、プレッシャーでもあった」と語った木島選手。木島選手がプレッシャーを感じるなんて意外だが…。「だって今季初めてで、どれだけ出来るかわからない。出る前はまだ“ならし”というか、ケガをしないのが1番だという気持ちがあった。でも、あの声援を聞いたらなんかしなきゃなって」。今季、初めて勝利の瞬間をピッチで迎え、「ずっとリハビリをやってきて、正直つらい時期もありました。でも、監督をはじめチームメイトにもやりやすいようにやらせてもらっているので感謝の思いがあります。それは結果で返すしかない。ここからコンディションを上げていきます」と今後の戦いを見据えた。

「やっぱりサッカーが好きだし楽しい」と言う木島選手。どうかサポーターの声援をプレッシャーに感じないでほしい。もちろん木島選手の活躍を期待しているけれど、それ以上にイキイキとサッカーを楽しむ木島選手の姿をサポーターは見ていたいのだから…。

以上

2014.06.18 Reported by 中條さくら(オフィスひやあつ)
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