初夏の心地よい風が徐々に吹き始めつつある5月下旬の札幌市内。そんななかで行われる第15節では、14節終了時点で勝点16で17位の札幌が、同22で6位につける水戸を札幌ドームで迎え打つ。昨シーズンの対戦成績は1勝1敗というカードだ。
ホームの札幌は前節、敵地で千葉と対戦して0−2のスコアで敗戦。点差こそ2点だったものの、立ち上がりから相手に多くの好機を作られ、ボールもスムーズに動かされる完敗と言っていいゲームだった。「全体的に相手のほうが1枚も2枚も上だった」と財前恵一監督は振り返る。
札幌はなんとも苦しい状況にある。今シーズンはJ1昇格を絶対的な目標に掲げながらもここまでなかなか結果がついてこず、現在は6試合連続で勝ち星がない。そしてその6試合での総得点が3という部分を見れば、課題も明白。ゴールシーンがありながらの苦戦ならばまだしも、それが少ないなかで白星もついてこないとあっては、ファン、サポーターのストレスも大きくなるだろう。
もともと今シーズンは昨シーズンに比べて守備の意識を保ちながらメニューを重ね、同時に開幕時は守備陣に負傷者が重なったこともあって、どうしてもリスクマネジメントが先行し、重心が後ろになりがちな試合が多かった。それ故、守備は安定しながらも攻撃にかける人数が若干少なくなり、得点力の低下につながっていると感じる。また、前々節(愛媛戦 ●0―1)は丁寧に相手を揺さぶろうとするが故に攻撃にパワーが足りず、前節は前への迫力を持って挑んだ弊害として背後を突かれていた印象がある。大きくない毛布で体を覆おうとして、常にどこかが露わになっている感じか。
これはもう粘り強く毛布の面積を広げる、つまり総合力を高めていくより他はないだろう。見えた課題をひとつずつ潰しながら、攻守、遅速のバランスを身に着けていくしかない。仮に何かひとつの武器で成功をしても、それは一過性のものでしかないということは歴史が証明している。当然、そう簡単に連勝街道に突入できるほどこの世界は甘くないだろうから、重圧と戦いながらの日々はしばらくは続くだろう。しかし、我慢強く戦えば必ずチャンスが来る。それがリーグ戦というものだ。上を目指す以上、重圧があるのは当たり前なわけで、そしてそれは結果で跳ね返すしかない。それが昇格を目指すということだ。
一方、北海道に乗り込んでくる水戸の前節はホームで京都と対戦して5−1で快勝。立ち上がりにミスを突かれて失点をしてしまったものの、「入りからずっといい感じだった」と柱谷哲二監督が評したように、失点からもリズムを失うことなく戦い、前半のうちに逆転。後半も優位に試合を進めて3点を重ねてみせた。「とてもいいゲームだった」と指揮官は自チームを賞賛する。
やはりまず最初に目が行くのが得点の部分だろう。1試合5得点というのはチームとして5年ぶりとのこと。最近の3試合で計9得点というのは、見事というしかない。なかでも今シーズン新たに湘南から加入した馬場賢治が3戦連続得点中と絶好調で、この試合でも得点が期待されるところだ。
ただし、柱谷監督のこのコメントに注目したい。5得点で大勝した前節の攻撃について「今日は(攻撃の形を)作るよりもカウンター。そこが我々の一番得意としているところ」。そう、水戸の攻撃のベースにあるのは、まずはいい守備ということなのだろう。コレクティブに相手ボールを奪い、そのままの勢いで一気に攻めきる。この攻守の連動性があってこその、ここ最近の得点力だということを指揮官は強調しているのだろう。この試合に勝てば今シーズン初の三連勝、そして4位へと浮上する可能性もあるだけに、チームのモチベーションも高いはずだ。
さて、そんな両チームの対戦だが、やはり注目すべきは水戸のカウンターだろう。前述したように、札幌はここ最近は勝ち星に恵まれず、得点も増やせていない。その意味でもこのホームゲームは勝点3が求められるし、そのためには得点が必要。積極的に前に出てくることが容易に想像がつくが、まさにそれこそが水戸の好む展開だとも言える。
苦しい現状を跳ね除けようとする札幌の攻撃が水戸を押し切れるのか。それとも、それを巧みに水戸がカウンターへとつなげるのか。攻守の入れ替わりから目が離せない、緊張感のある一戦となりそうだ。
以上
2014.05.24 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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