●トニーニョセレーゾ監督(鹿島):
「こんばんは」
Q:今日の試合で得点が1点で終わってしまったことは後々響くと思うのですがいかがですか?
「ずばり当たっていると思います。単純に、今日作ったチャンスの数とゴール数を照らしたときには、非常に少ないな、と思います。ただ、僕は指導者です。チャンスを作れなかったなら大きな問題ですが、チャンスを作れたのであれば、いつかはもう少し精度が高まり得点に繋がるようになります。ただ、危うく試合の終盤というか最後の方でその代償を払う危険性があった場面もありました。チームをまだ若返らせている段階なので、時には技術的な部分や精神的な部分で、1点取ったからいいや、という気の緩みも存在したり、あるいは体力的な部分で疲れてしまって、普段なら出来る繊細な部分、体力がフルにあればできる繊細な決定力が下がってしまいました。それはやむを得ないことかと思っています」
Q:今日は、スターティングメンバーを少し変更しました。リーグ戦は中断することもあり、試合の中でそういう選手を見てみたいという思いもあったのでしょうか?
「シーズンは長いわけですのでフルメンバーで戦っていかなければなりません。まだ何人か出場していない選手はいますが、ただシーズンを通してどこかのタイミングで使うチャンスがあり、選手がその状態になれば使っていきたいと思います。山本選手は怪我をしてるので、そうすると必然的にそのポジションを知り尽くしている前野選手を使うことは当たり前の判断だと思いますし、ダヴィ選手に関しては連戦というものもあるし、もう一つは若い選手にもチャンスを与えていかなければなりません。僕は常に選手を観察しています。メニューによっては、これができる、これができない。あるいはメディカルルームに行って、あっちやこっちをアイシングしている姿を見ます。自分の選ぶメニューを考えるうえで、問題が生じている証拠、もしくは状況なのかなと考えることもあります。そこでマネジメントを考えなければなりません。いつかは若い選手は試合に出場しなければいけないわけであって、今回は赤崎選手を入れて、チームのボールが回る循環という部分ではスムーズに行きましたし、体力が続くところでは非常に良かったと思います。ダヴィ選手も15分でおそらく2回のチャンスを迎えたと思います。それが彼の持っている力だと思います。チーム全体を1年間指導していかなければいけないわけであって、選手たちも状況やカードの累積や怪我だったり、いろんな場面があります。それぞれの状況のなかで使える状態にいたり、体力面、精神面、技術面が一体となったときに使いたいと思うわけです。その信号を選手が送ったタイミングで、僕もその判断を下します。良い状態でチーム全体を1年間、シーズンを乗り越えるんだと言ってますし、僕はそれをやり続けたいと思っています」
Q:後半、早めに交代した植田選手ですが、いつもの植田選手らしくなくバタバタしていたように見えました。あと中田選手を若い最終ラインに入れるに当たって期待したことは?
「中田選手は、当然ながら十分な実績も経験もあると思います。何を期待するということは言う必要もないですし、彼がやるべきことはわかっていたはずです。ピッチを知り尽くしているので、目をつぶっても、ボールの音を聞いただけでどこで何をすればいいのか十分わかっているし、1対1で仕掛けられた時に何をすればいいのかもわかっている。サッカーはいろんな駆け引きがあるわけですが、そういったことを十分に発揮したと思います。逆に植田選手は、まだ19歳なんです。これは忘れてはいけないことです。だから、今後も成長していくわけです。中田選手がいま35歳でやっていることを、彼は徐々にできるようになっていくんです。それは今彼が一生懸命やっています。僕は監督として、今日最大の評価というのはイエローカードをもらったことです。CBでイエローカードをもらえないのでは話しになりません。やっぱりもらっていっていろんなことを学ぶわけです。どのようにすればもらうのか、もらわないのかというその駆け引きをやっている積極性を、僕は評価したいな、と思います」
Q:リーグ戦は中断期間に入りますが、ここまでのチームづくりの手応え、課題をお願いします。
「チームというのは1日で作りあげることはできないもので、少しずついろいろな部分を修正したり指導していかなければなりません。今日も平均年齢が24歳くらいのチームであり、まだ若いチームです。試合というのは、ボールを持って、蹴って、シュートすれば良いということではなく、その状況にするためにはいろいろな駆け引きがあります。まだ、幼い部分というか未経験な部分があります。一般的な見方をすれば、大勝できる試合だったのになぜできない、と言われるかもしれませんが、そんな簡単にサッカーを1フレーズで片付けられるかと言えばそんなことはありません。いろいろなことが90分の試合の中には存在していて、それを細部にわたって見れる人と見れない人というのはまったく話しの次元の土台が違うわけです。まだいろんな部分を、このW杯期間中で指導し続けて、若手だけでなくチーム全体がこのクラブに対する愛着と責務というものをもって取り組んで、新たなチームづくりをしていければと思います。若いから使うとか、ベテランだから使わないとか、そういう発言をしているわけではありません。常に競争の土台に立とうという気持ちを示しているものがピッチに立つ権利を得られる。そうでないものは権利を得られない。僕は、今シーズンで契約が終わるわけです。終わったところでクラブが判断します。どのような決断になろうと、一番はこのクラブの将来に繋がるような指導をし続けたいし、自分がやり続けられるのか別の指導者が来るのかわかりませんが、別の人が受け継いだときには恥のないメンバーが揃って、うまくスムーズに出来つつある再建ができるようになればな、と。ただ単に若いというだけではなく、競争力の高い、意識を持った選手を育てていきたいと思います。要は、勝負に対するこだわり、そのこだわりのなかで取り組まないといけない日々の練習があり、それを大切にする選手を育てていけたらと思います。そうすれば自ずと個人能力、チーム力に繋がります。それができれば、おそらく成功と言えると思います。結果的な成功ではなく、クラブとしての成功ではないかと思います。
たとえば、今日はボールポゼッションも良かったし、作ったチャンスも良かったと思います。決定力というところは低かったと思います。でも、1-0で勝っているからといって、戦術的な規律を守らず、なんでも前に行っていいい、ということではなく、チームの一員として戦う覚悟があるのかが重要です。1-0であろうと、2-0であろうと、戦術的な規律は、どの選手であろうと守らなければなりません」
以上
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