レアンドロ ドミンゲスの不在が続くチームに、追いうちを掛けるかのように、前節の横浜FM戦ではレアンドロが右ハムストリングを負傷、戦列を離れることになった。シーズン開幕前、柏の最大のストロングポイントになるはずだった“Wレアンドロ”を失い、今まさにチームは窮地に立たされている。
レアンドロの離脱を受けて、ネルシーニョ監督は「違う特徴を持った選手がいる。彼らが戦ってくれると信じている」と新たに起用する選手の活躍に期待を込めた。これまではレアンドロが1トップに入っていたが、工藤壮人を最前線に上げ、2シャドーには田中順也と太田徹郎が入ると見られる。
ネルシーニョ監督の言葉通り、“Wレアンドロ”とは違い、太田には太田の持ち味がある。派手なプレーは少ないものの、柏のアカデミー出身らしくゾーンの間に顔出し、ボールを引き出す術に長け、味方選手と絡みながら攻撃を仕掛けていくプレーを好む。キム チャンス、藤田優人の怪我に伴い、最近は右ウイングバックでの起用が目立っていたが、ようやく攻撃的な本来のポジションに戻ることで「右のウイングバックよりも攻撃に出られる。練習試合では点を取れたので、そのイメージを持って試合に臨む」と太田自身もモチベーションは高い。さらに、工藤と太田の年齢は1つ違い。太田が先輩で、ジュニアからユースまで長らく一緒にプレーしてきた間柄だ。「お互いにどういう選手か分かっている。徹郎がやりやすい状況を作っていきたい」と話す工藤。最近はやや淡泊さが目立った攻撃も、工藤と太田、子どもの頃から築き上げてきた連携がカンフル剤になる可能性も少なくはない。
確かにレアンドロの離脱は痛い。しかし今回起用される太田に加え、秋野央樹のような若手も「チームとっては痛いけど、僕たち若手にとってはチャンス」と話すように、試合に飢えていた選手たちがその気持ちを開放し、ピッチ上に反映できさえすれば、チームとしてこの非常事態を乗り越えることができる。
対する浦和とは、3月19日にヤマザキナビスコカップの開幕戦で対戦したばかり。その時は柏が2−1で逆転勝ちを収めているが、内容的にはどちらが勝ってもおかしくはない展開で、終始拮抗した試合となった。1カ月前の対戦では1トップに李忠成、2シャドーには原口元気と梅崎司が入った。ただ、最近はその時とはメンバー構成も異なってきており、興梠慎三がシャドーに入ることで、「よりスピーディーになる」(鈴木大輔)というのが柏側の見方だ。
また、前節の川崎F戦で負傷した槙野智章の欠場が濃厚。槙野を欠くことは、浦和にとっては痛手かもしれない。しかし3バックの一角に濱田水輝が入れば、逆に守備面ではより強固になるだろうし、槙野を欠くとはいえ、左サイドには原口と宇賀神友弥のコンビも十分強烈であるため、浦和の戦力がダウンすることにはつながらない。その証拠として、前節は同じポゼッションを志向する川崎Fと見応えのある勝負を繰り広げ、1−0で競り勝つことができている。
仮に浦和のサイド攻撃の圧力が普段よりも多少トーンダウンしたとしても、柏木陽介の縦パスから前線の3枚のワンタッチプレーによる連動した攻撃には、3月の対戦では相当苦しめられた。柏の守備陣は縦パスに食い付くところとスペースを消すところ、その判断を的確にした上で、さらに1対1の攻防で上回らなければ、浦和の攻撃を食い止めることは非常に難しくなるだろう。
そして、この試合はお互いに3−4−2−1のシステムを用いたミラーゲームになる。各局面で1対1が出来上がるため、それぞれがマッチアップした相手に対し主導権を握れなければ、そこからズレが生じて後手に回る可能性があることは双方に言えることだ。
ただ、このシステムには浦和に一日の長があり、しかも柏がレアンドロを欠くとなれば、浦和が攻め込む時間帯が増えると見るのが妥当。それでも「チャンスの作り方は、良い形ができている」(ネルシーニョ監督)というように、前節の横浜FM戦では押し込まれた中でもカウンターで押し返すシーンは何度もあった。問題は、ネルシーニョ監督も指摘する通り「最後までやり切って、決め切ること」ができるかどうかだ。
柏の現状は厳しく、非常事態には間違いない。だが、この“Wレアンドロ”を欠く中でも浦和という強敵相手に勝利を収めることができれば、ここからの連戦にも弾みがつくだろうし、停滞感に捉われていたチームは勢いを取り戻すはず。今回の対戦は、それだけの価値のあるビッグマッチだ。
以上
2014.04.25 Reported by 鈴木潤
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