岡山のこの試合に懸ける思いはキックオフ前、先発メンバーとベンチスタッフ、控え選手全員が組んだ円陣に見てとれた。サイドラインにかかる大きな円陣を見つめる客席からは拍手が湧き起こる。今月になって植田龍仁朗、近藤徹志が怪我で離脱した岡山の最終ラインは、前日夕方に行われた練習で竹田忠嗣が負傷し、さらに厳しい状態となった。それでも岡山はセーフティな戦いではなく、自分たちらしい戦い方を選んだ。
岡山の最終ラインは、3バック中央にキャプテンマークを巻いた後藤圭太、右に鎌田翔雅、左に田所諒という構成となった。前線の3枚は、久保裕一、荒田智之、林容平。北九州は左サイドハーフに前節ゴールの川島大地に代わって井上翔太が入った他は前節と同じメンバーで臨んだ。ゲームが落ち着き始める前半13分から、このゲームを象徴するシーンが両チームそれぞれにあった。岡山の染矢一樹のクロスのこぼれ球を拾った北九州は、原一樹が力強いドリブルで前線へと駆け上がる。原は右後方から走り込んできた星原健太にいったんボールを預け、星原が左サイドの小手川宏基にクロスを送る。小手川は右足を振り抜くが、シュートはわずか左に逸れた。
その2分後、岡山は前線に上がっていた後藤がボールを奪い、林容平がペナルティーエリア内でキープして荒田智之へ。これは荒田がシュートの形に持ち込めなかったが、岡山はラインを上げてディフェンダーも高い位置でボールに関わっていた。そんな息つく暇のない展開からゲームは、岡山がボールを持たされ、ブロックを作る北九州守備にボールの出しどころを見つけられないフェーズへと進んで行く。そして北九州は鋭く力強いカウンターを効率よく使い始める。
北九州の1点目は前半41分。岡山のポゼッションから前線へのボールを、岡山の左サイドで奪った北九州は、中盤にいた池元友樹がワンタッチで井上翔太に託す。井上がマークを引きつけて前線に上がる間に、池元と原の2人も岡山の守備を抜け出し、井上が理想的なパスを池元へ。池元はGK中林洋次をかわしてゴールに流し込んで先制。池元の3試合連続のゴールは、岡山がそれまでこらえていた所を崩し、絡んだ選手の巧さを際立たせた爽快なゴールだった。
後半開始2分には、鈴木修人の蹴ったフリーキックにニアで待っていた原が頭で合わせて、北九州が2点目を決める。重くのしかかる2失点の後、岡山は一昨日、練習にフル合流した石原崇兆を投入。久木田紳吾の右サイドの突破からのシュートや、染矢一樹のクロスから反撃の時間を作る。しかし後半18分、ゴールを決めたのは北九州だった。岡山の右サイドで奪ったボールを池元がひとりで前線へ持ち込み、ゴール右に突き刺す。「得意な形」と話す池元のゴールは、揃った岡山のDFラインを軽々と突破した。
柱谷幸一監督が試合後に話したとおり、「守備では前からプレスに行く時と、リトリートしてブロックを作る時と、攻撃はカウンターとポゼッションを使い分けるところが、みんなが同じ意識を持ってやれるようになって」おり、統制のとれた戦いを高い精度で行った。後藤は「0で抑えていれば点を取れたかもしれない」と話したが、前線の選手にとっては「俺たちが取っていれば失点は防げたかもしれない」となる。結果は北九州のクオリティの高いカウンター攻撃に屈することとなり、0−3というスコアは「完敗」という響きも帯びるが、岡山はこの試合に円陣を組んで臨み、ゴールを奪おうと戦って敗れたことは、記憶に刻まれる。このゲームで上田康太が前半、荒田智之に通したシンプルな縦パスも、後半、交代出場した石原崇兆が相手を引きつけ、サポートに走り、チャンスを作り出していたことも。
以上
2014.04.21 Reported by 尾原千明
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