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【J2日記】熊本:ベンチの軍神(14.04.15)

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ベンチの最後方、選手達が腰掛ける椅子の後ろに鎮座する

熱い思いでクラブをサポートする(株)磯崎工務店の磯崎博文社長。おなじみの帽子も大事そうに見せてくださった

県産木材を使った家を建てていることもあり、クラブのエンブレム等を作って退団する選手等にプレゼントしているという

熊本のベンチには、昨季途中から心強い存在が加わっている。特に立ち上がって指示を出しもしないし動き回ることもないので、おそらくスタンドからやスカパー!の中継画面を通してはなかなか見つけにくいのだが、どっしりと鎮座して戦況を見守る様は実にたのもしい。熊本城を築いた武将・加藤清正をモチーフにした、高さ約30cmの銅像がそれだ。

スポンサーである株式会社磯崎工務店(本社:熊本市東区月出、磯崎博文社長)からクラブに寄贈されたもので、熊本城の反り返った石垣「武者返し」を模した台座もあるらしいが、高さが1mほどあってあまりに大きいため、銅像だけがベンチに入ることになった。
「昨季中盤の勝てない時期に、“何でもいいからチームが浮上するきっかけなることはないか”と考えたのがきっかけでね。熊本で武運にあやかるなら加藤清正公だということで、仕事で関わりのあるサッシメーカーの鋳物職人さんにお願いして造ってもらったんです。自分でも何か手をかけたいから、水性ペンキで私が塗装したんですよ」と磯崎社長。「銅像は制作費も高いし、そんなものを贈ってもあまり意味はないんじゃないか」という反対意見も周囲にはあったと笑うが、「チームを支えたいという思いを形にするのは大切なこと」と決断。その姿勢は、「施主の思いを家という形に仕上げる」同社の仕事に通じるが、社長の思いはそこに留まらない。

同社がロアッソ熊本を支援するようになったのは2008年から。社長自らチームを運営するアスリートクラブ熊本へ電話をして、応援を申し出た。「スポンサーになる、というのもどういうことかよくわからなくて、最初はとにかく、応援させてくれということから始めたんです。担当の営業マンもいきなり『お金を出してください』というのは言いにくかったのか、最初は『チケットを買ってください』ということでしたね(笑)。弊社の場合、スポンサーになったからと言って家の注文が一気に増えるわけじゃありません。でも、“子どもたちに夢を、県民に元気を、熊本に活力を”というクラブ理念にとにかく共感した」(磯崎社長)。
以降、毎年サンクスマッチに協賛しているほか、社長の出身地でもある天草市でのサッカー教室等にも協力。「大きな会社ではないから、できるしこ(できる分だけ)」と言うが、「チームへの思いの強さは、ほかのスポンサーさんに負けない自負があります」と話すだけあって、ホームゲームの現地観戦を1度も欠かしたことがない。また、「スポンサーになって経営が傾いた、なんて言われるのはダメだから」と、今まで以上に社業にも力が入るようになったとのこと。

そんな磯崎社長には、1つの目標がある。それは、ロアッソ熊本を支援しているスポンサー同士が交流できる会を作り、ともに高め合っていくことだ。
「ロアッソの成長とともに自分が成長するのが理想ですし、それを追求できるチームだと思っているんです。スポンサー企業同士が、ロアッソ熊本というクラブを媒介として繋がりを深め、みんなが元気にならないといけない。そしてみんなで、熊本県全体を元気にしていきたいんです」
サンクスマッチに協賛した際の始球式では、赤いプーマ製のカウボーイハットを被り、ラボーナでキックインする姿がおなじみで、スタンドからも大きな喝采を浴びるが、それも「ほかの人と同じことをやってもおもしろくないし、ほかの誰にもできないことをやって、楽しんで、喜んでもらうほうがやりがいもある」という磯崎社長の思いの表れだ。

銅像の顔をじっくり見ていると、その表情にもそうした強い思いが込められているような気がしてくる。チームが生まれて10年。クラブ理念は確かに、地元で受け入れられてきたようだ。

以上

2014.04.15 Reported by 井芹貴志
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