『ボールを支配する』のか、『ゲームを支配する』のか…
どちらもサッカーの戦術上重要なことだが、さりとて勝利の絶対的な条件ではない。
シュートの本数で得点が決まるわけでもなく、ポゼッション率で勝敗は決しない。
あくまでも、サッカーを語る上の要素であり、分析の手段としてとらえなければならない。
とはわかっていても、“やろうとしていることができているのか”という判断材料として、どうしても見たい数値である。
鳥栖は、前節のF東京戦で1得点をあげた。
放ったシュートは9本で、後半だけで6本を放った。CKは前後半で12本、FKは15本と敗れたとはいえ、F東京相手に攻めの形は見せていた。
手元の集計ではあるが、ロングスローは5本、クロスやロングフィードは30本を超えていた。
合計すると、50本以上のボールが前線に送られたことになる。
それでも85分に、右サイドDF丹羽竜平の逆サイドへのクロスに飛び込んだMF高橋義希のシュートに詰めたFW豊田陽平の1得点だけだった。
試合後に「相手(F東京)に読まれていたようだ…」と豊田陽平は振り返った。
この感覚は間違いないようで、マッシモ フィッカデンティ監督(F東京)は、「相手の強いところを利用することを考えた」とコメントしている。
おそらく、鳥栖が長短のパスを用いて前線にボールを入れてくることを想定しての守備の対応を指示していたに違いない。
リーグ戦が始まって6試合を消化した中で、対戦相手も様々な分析を行ってきているはず。
ならば、今節の鳥栖は、読まれている中をいかにして崩して得点するか…に尽きる。
対する甲府も、得点に泣かされている試合が多い。
第3節新潟に引き分けた後、第4節では横浜FMには勝ち、第5節は仙台に引き分け、第6節では清水に惜敗している。いずれの試合も、同数もしくは同数以上のシュートを放っているものの、勝ちきれない試合が多い。
FWクリスティアーノ、ジウシーニョの出来いかんに依存するところが多いので致し方ないところともいえる。
ならば、トップに誰を据えるのか、鳥栖のプレスを受ける前に前線のボールを送れるのか…攻守の切り替えに尽きる。
シュートの本数で得点が決まるわけでもなく、ポゼッション率で勝敗は決しないと前述した。
しかし、観ている側は、決めるべき人が決める瞬間を期待している。
豊田陽平は、日本代表候補キャンプから戻ってきたばかり。ワールドカップメンバー発表までは、否が応でも期待がかかる。
得点ランキングトップに並んでいるだけに、ここでアピールすることがメンバー選出に一番近いことは誰もがわかっておる。
あの豪快なヘディングを見てみたいと誰もが思っている。
MF金民友も、韓国代表を狙う一人である。自ら切り込んでのシュートは相手にとっても脅威。彼の存在も気にかかる。
そして、今季の鳥栖の最大の武器である左サイドからの攻撃。
DF安田理大も代表候補合宿に呼ばれた一人。「できるだけゴールに絡む」と加入会見で宣言したことを実践している。
相手に読まれていようとも、相手に構えられていようとも、そこを打ち崩さないと得点は生まれない。
鳥栖は上位争いに踏みとどまるためにも、甲府は下位から脱出するためにも負けられない一戦には違いない。
先制点が大きなウェイトを占める戦いとなりそうだ。
サッカーで一番パワーを使うのが得点である。
最終的に、得点が多い方が勝利者となるが、その得点がなかなか入らないのがサッカーなのである。
一度の好機に多くの得点が入るスポーツは、一発逆転の醍醐味はあるが、サッカーは一得点の積み重ねで勝敗が決まる。
得点に至るまでの過程を楽しむのもサッカーなのである。
シュート数やポゼッション率で勝敗が決まらないのがサッカーなのだから。
以上
2014.04.11 Reported by サカクラゲン
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