「これがJ1から来たチームなのか」
試合終了後に長崎サポーターは肩を落として、こうつぶやいた。
この試合は両チームが同じシステムで望むというミラーゲームで、さらには同じようなサッカースタイルを掲げているために、どちらがより持ち味を出せるかが見所となったが、結果的に湘南が躍動感溢れるサッカーを見せて完勝。長崎は球際の局面で湘南の圧倒的なパワーに屈した。
湘南が試合開始から長崎を圧倒した大きな理由は2つ。曹貴裁監督による長崎攻略の作戦とチームマネジメントだろう。
曹貴裁監督からすれば、作戦というよりも普段からやっていることの範疇に入るのだろうが、徹底してロングボールを駆使。ウェリントンを生かした空中戦は山口貴弘のいない長崎の急造DFラインを終始圧倒した。セカンドボールを拾い長崎にシュートの雨を降らせた。実は長崎も先週の練習の中で長いボールを使った練習も熱心に行っていたのだが、この日は自分たちがやろうとしていたことを見事に相手にやらせてしまった形となった。試合後にDFラインに入った古部健太は「センターバックをやるならば、もっと跳ね返す力が必要だと感じました」と振り返っている。ウェリントンが放ったシュートは0本だが、前線の存在感は抜群だった。
長崎は後半、佐藤洸一を入れて裏のスペースを狙う。割り切ったロングボールの攻撃を見せたが、「どうしても前がかりになってしまうとポジショニングの悪さから、ボールを奪えない、ファールをしてしまったりという悪循環」(高木琢也監督)となりゴールを奪えず、逆に湘南から80分過ぎに追加点を奪われてしまった。
もう、1点のチームマネジメントだが、この日は何より曹監督自身が燃えていた。試合後の会見で「ヨーロッパリーグのザルツブルク対アヤックスの試合を2試合とも見て、本当にその試合に強烈な感動を覚えました。それを湘南に置き換えたところ、技術も戦術ももしかしたら経験も足りないかも知れませんが、そういう走るエネルギーも負けてるなと思っています。前節山形との試合に勝ちましたが、後半少し守りに入ってしまうところもあったし、そういう所(ザルツブルク)に追いつくために練習したし、ただ勝つだけではなく全員にエネルギーを届けられるようにそんな試合をしなければならない。1−0で絶対下がるなという話をしていた。そのことがちょっとは選手にも入ったのかなと」と話していた。曹監督は「走る」というサッカーの本質を捉えたスタイルでヨーロッパを席巻するクラブを例に挙げて、チームをマネジメントしたのだ。自分たちのスタイルに似たヨーロッパの中堅クラブの躍進を見せられ、選手たちも自信となったに違いないだろう。
この日、初めてスタメン出場した長崎のボランチ井上裕大は試合後に「湘南は勢いのあるチームで、精神力もあるチームだと分かっていたのですが、飲まれてしまったというイメージです」と話す。長崎はキャンプでJ1相手に善戦を見せたが、リーグ戦はやっぱり違うものだ。ただし、「負けて得るものがあったと思わなければならない」と高木監督が言うよう、この敗戦を通じてチームは自らがやるべきことをもう一度再確認するチャンスを得たともいえる。昨季、アウェイで完敗した山形戦のような転機となる試合だったのかもしれない。
以上
2014.03.10 Reported by 植木修平
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