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【J1:第2節 鹿島 vs 仙台】トニーニョセレーゾ監督(鹿島)記者会見コメント(14.03.08)

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●トニーニョセレーゾ監督(鹿島):
Q:遠藤選手が今日2ゴールを決めました。今季のパフォーマンスについてお話しをお願いします。また、土居選手ら若い選手が多いと思いますが、そういうチームのなかでの遠藤選手の役割をどう考えているか教えて下さい。
「まず、年齢的には選手として成熟していなくてはいけない時期に来ています。不可欠な戦力・地位にならなければいけない立場です。それは直接本人にも言いました。ここでできなければ、ある程度の一定のレベルで留まってしまう。それは僕ではなく自分自身で自信を身につけて取り組むことが重要だということです。僕は、彼はサッカーのセンスに関しては非常に高いと思っていますし、あの左足は、彼にしかできない技術を持っているし、視野は広い。あとは持っている技術や視野にプラスしてダイナミックさが必要ではないかと思います。それも90分間、ダイナミックに動き続けることです。確かに2戦連続でいい活躍はしていますし、2点取りましたけれど、後半のある時間はどこにいるんだと探すくらい、消える時間が試合中にありました。その消える時間をなくさないといけないと彼には言っています。ハーフというのは、ゲームを組み立てる役割があります。それなのに、試合中に5回、6回しかボールに触らないというのは、ハーフとしては戦力外を意味します。ハーフというのは90分を通じて10回、12回、15回、ボールに触らなければいけない役割であり、それが理想です。その2つのことを彼には求めています。キープ力、視野の広さ、左足の技術は彼にしか無い武器です。彼と一緒に取り組んでいるのは運動量を上げることです。今日も後半、2回、3回と連続して倒れていなくなっていく時間帯がありました。最後に点は決めましたけど、まだそうした部分があるので、しっかりコンディショニング的なものを上げればおそらくサッカー選手としての地位をJリーグの中で築けるのではないかと思います。

若い選手に対する影響力というところでは、非常に少ないのが問題だと思っています。試合数を見れば経験を積んでいるところがわかりますし、もう少しリーダーシップを持って欲しいというところがあります。それはグランド外だけでなくグランド内でも持って欲しい。言っているように、自分から消えてしまうところがあります。本当はチームが一番必要としているところで活躍しなければいけないのに、そのタイミングでいなくなってしまう。一定の時間帯、今日は行ったり来たりして、中盤はどこだ、ハーフはどこだ、という状態になってしまいました。その部分ではまだ物足りないところがありますし、選手としての成熟にも繋がっていく話だと思います。多少、ちょっと性格的に遠慮がちという人の良さもあって、言わないのか、若い選手に遠慮しているのか、ベテランに遠慮しているのかわからないですけど、そういったところがあるので、それは選手が成熟していく、勝負師になっていく過程の一つなので、どこかのタイミングで気がついてスイッチが入るようになるし、みなさんも僕が試合中に彼の名前だけを連呼していたのが聞こえていたかと思います。僕は、ちょっと表現が悪いかもしれませんが、ADのような役割をずっとし続けて彼が試合中に消えないようにしている状況です。呼びかけて、目覚めてくれ、という気持ちを託して叫び続けてるということを、彼がいつか理解して成熟してもらえたら、と思っています」

Q:今日の勝利でJ1通算400勝となりました。長年、ずっとアントラーズで指揮を執られてきた監督にとして節目の数字をどう捉えていますでしょうか。あと、もう少しで東日本大震災が起きた3月11日となります。今日の勝利をどう感じていますでしょうか?
「400勝したということで、1度目にここに来た時に、その勝利に貢献するようなことができて、出て行く際にはまた戻ってこれるような環境を最後までやり尽くしたと思います。クラブの中や全体から自分が好かれているということを感じます。人間誰しも、好かれているところで仕事をしていれば、自然とモチベーションが高まります。このクラブ自体が、僕の存在価値を感じさせてくれたクラブでもあります。ですので、僕もクラブに対して同じかそれ以上の気持ちを持っています。幸い、と言っていいかわからないですが、常務取締役の鈴木さんが、昔、一緒に仕事をした評価なのか、僕の人間性を含めてなのか、僕をまた呼び戻してくれたことに感謝しなければいけないですし、過去に築いたものがあって、また呼び戻してくれたのかもしれません。それは感謝したいと思います。ただ、前回指揮をとった時よりは、前回もチームを再建するという課題があったのですが、以前に比べると問題は山積みで、いろいろなことが解決できていません。昔は外国人枠をフルで使うことができましたが、今はそれを使えないところもあります。選手個の能力や状態も、昔いた若い選手に比べるとまだ指導しないといけない部分があります。個人的な能力は高いんですけど、プロレベルとしては練習を積み重ねないといけない部分がありますので、その時間がかかる中で、レベルを保たなければいけない部分もあります。後は、ビッグクラブゆえのサポーターも、スポンサーも待ってくれず、勝ち続けなければいけません。正直、余裕を持って試合を楽しんで、経験をつんで、勝っていければいいや、という感じで送り出したいんですけど、そういう余裕を持てないクラブであり、全員が勝つことに対する執念を持ってあらゆる部分で努力し続けるしかない、というのが現実的な話です。ただ、同時に、ここ数日か、数ヶ月の中でフロントが山積みになっている問題を一つひとつ、今のできる範囲の中で取り組んでくれています。数日かもしれないし、数ヶ月かかかるかもしれませんが、取り組んでくれていますので、僕はやれることを全身全霊を賭けてやっていきたいとおもいます。その先、どうなるかはわかりませんし、個のクラブの存続もわかりません。いまやれることを一生懸命やろう、という気持ちでいます。

被災したクラブ同士の質問については、残念というのか、幸いと言えばいいのかわかりませんが、その体験をしていないところがあります。心の痛みのところに関しては、正直に申し上げると、心の痛みを経験していません。ただ、映像やニュース、写真、当時僕もそのあとに来日して皆さんと触れあいましたけど、表情は非常に苦しいものがあり、人間が体験しなくてよいものだったと実感しました。非常に複雑というか、悲しい気持ちになりました。ただ、人間というのは生まれた時からいろいろな困難な状況を迎え、それを乗り越えるものだと考えています。生まれた時からいろいろな環境や病気にかかったことを乗り越えて成長していくわけです。生きていく間には、それぞれの国や文化の中であると思います。日本は戦争を経験し、その後国を再建し、世界に大きな影響力を持つ国になりました。2011年に亡くなられた方に関しては心が痛いし、悲しい気持ちになりますが、生きる権利を与えられた人たちは強くなって、生き続けて欲しいし、日本のことで尊敬するのは『結束』と『団結』です。そういった絆を強く持って生きていく、国をよくする、地域をよくする、社会をよくする、その組織や会社をよくする、というのが日本で感じられることです。それは世界のどこへ行ってもない文化というか習慣であって、それは世界が見習うべきことだと思いますし、自分自身も日本人と触れあって生きることはお金に換えられない素晴らしい経験をさせてもらっていると思います。このチャンスや経験をさせてもらった方々には感謝してもしきれない気持ちになります」

以上
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