栃木と対戦した開幕戦はスコアこそ0−2だったが、攻守ともに精彩を欠いて完敗だった千葉。両サイドバックのレギュラー(米倉恒貴と高橋峻希)が抜けたとはいえ、鈴木淳体制2年目とあって昨季からのよりよい形での継続、それによる上積みが期待されての開幕戦だった。それだけに、目の前の現実と期待に満ちたイメージとの落差の大きさに落胆した千葉サポーターが多かったようだ。そんな千葉にとって今節は早くも正念場といえる。
昨季のJ2リーグ第38節(10月27日)から公式戦で勝利がない千葉が勝ちきれない要因の一つが、相手陣内にスペースがある時にそれを生かす有効な動きとパスがなく、相手がゴール前に引いた時に相手選手を引き出すなどして守備の穴を作るような動きの連係とパスワークがないため『1点』を取りきれないことにある。そこでカギになるのがダブルボランチだ。昨季終盤からのスタメンは、スペースを埋めてカバーする守備がうまい佐藤健太郎と、細かく動いて攻守でつなぎ役になる山口慶。山口慶はもともと相手の裏に飛び出そうとする意識があるほうだし、佐藤健太郎もまた試合によっては前に出るプレーを見せる。だが、フィニッシュにまで絡むような前線への飛び出しや相手の意表を突いて守備を崩すパスがコンスタントにできるかというと、残念ながら現時点では物足りなさがある。
相手にゴール前の守備を固められがちな千葉にとってはダブルボランチの攻撃参加が得点力アップのカギと思えるだけに、そのあたりを2月16日のちばぎんカップのあとに鈴木監督に聞いた。答えは「健太郎も慶も前に出て行くプレーはだいぶできてきているので」だったが、2人の出来が開幕戦のレベルのままでは今節も苦しい。前述のボランチに求めたい攻撃面だけを考えればプレースタイルから佐藤勇人に一日の長があるが、守備面を考慮しての現スタメンのはず。だが、その守備面も開幕戦の出来では厳しいものがあった。今節で対戦する岡山は、前線から連動した組織的な守備に加えて3バックがゴール前でしっかりと体を張る守りを見せ、攻撃はスピーディーで流動性に富んでいる。千葉はダブルボランチが攻守をコントロールできるかどうかが勝敗を分けそうだ。
今季は特に攻撃力アップに取り組む岡山が富山と対戦した開幕戦はスコアレスドローに。前半は前線の妹尾隆佑、押谷祐樹、新戦力の林容平がゴール前で連係よくスペースを使い、そこに両ウイングバックやボランチまで絡んで主導権を握った。そして、富山のGK水谷雄一の好守に阻まれたものの3回の決定機を作った。後半は富山がプレスを強めたこともあって主導権を失ったが、試合を通してのピンチは富山の決定力不足もあって無失点。結果は勝点1を得るにとどまったが、右ウイングバックに入った新戦力の鎌田翔雅(2010年シーズンは期限付き移籍で千葉に在籍)が積極果敢な突破を見せるなど収穫があった。
千葉は開幕戦の決定機3回は全て左サイドバックの中村太亮のクロスからだった。岡山は当然、その形への対策を講じるだろう。岡山のウイングバックが上がったあとのスペースをうまく突きたいが、岡山の堅守を崩すにはフィニッシュの形がサイド一辺倒では苦しい。中央を効果的に使って岡山を揺さぶれるかがポイントになるが、そこでもまた千葉のダブルボランチがカギとなる。もちろん重要なのは、ピッチに立った選手全員が自分が楽になるほうではなく味方が楽になるほうへ持っている力を出し尽くすこと。選手が支え合い、味方の良さを引き出すプレーを意識して実践すれば、千葉は開幕戦から変われるはずだ。
以上
2014.03.08 Reported by 赤沼圭子
J’s GOALニュース
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