昨シーズン、激闘のＪ２・ＪＦＬ入れ替え戦を制し、悲願のＪ２昇格を果たした讃岐。
香川県初のＪリーグチームとして期待を集めるその讃岐が、いよいよ地元での開幕を迎える。しかも対戦相手は現日本代表選手を擁する名門の磐田。サッカー文化が根付いているとは言い難い香川でも、もちろん『ジュビロ磐田』の名前は知られておりファンならずとも注目する一戦。この戦いで、香川の地に新たなサッカーファンを増やすことが出来るかどうかを左右することにもなりそうだ。

讃岐はＪリーグ初戦となる２日の開幕岐阜戦に３−１で敗れた。ただ内容は決して悲観するものではなかった。スタメンのうち６人がＪリーグデビューだったにも関わらず臆することなく躍動し、北野誠監督も「いつも通りの入り方が出来た」と試合を振り返る。３失点を喫したものの、それについて北野監督はさほど問題視していない。「失点はミスからなので修正はいくらでもきく。それよりも点が取れなかったというのが問題」という北野監督の言葉に、４年ぶりのＪリーグ復帰で記念すべき讃岐のＪ初ゴールをあげた我那覇和樹も「この結果は決定力の差」とうなずく。

一方、Ｊ２で圧倒的な強さを誇るであろうと予想されていた磐田はホームでの開幕札幌戦で０−１というまさかの黒星スタートとなった。ＤＦに日本代表の駒野友一、伊野波雅彦、前線には松井大輔、ポポ、前田遼一といった豪華な顔ぶれを揃えるも、粘り強く守備を固めてきた札幌のゴールをこじあける事は出来なかった。相手キーパーのＰＫストップをはじめとした好セーブに阻まれてしまった感もあるが、やはり磐田の敗戦というのは驚きだ。札幌のシュート数５本に対し、磐田は１７本。試合後、山田大記が「こちらがシュートを打ちながらも、相手に１本を決められて負けてしまう。これがＪ２」と感想をもらした。事実、昨季のガンバ大阪も第５節まで１勝４分けと、開幕当初に思わぬ苦戦をしいられたのだ。『勝点９０でＪ２優勝』を目標に掲げる磐田に連敗は許されない。駒野、藤田義明は「切り替えていきたい」と今節を見据えた。

「ホームだから勝ちにこだわりたい」と話す北野監督は、３−４−３の布陣を採用する見込みだ。ボールに対して素早くプレッシャーをかけ、攻守の切り替えを高い位置で行う狙いがある。積極的な守備から、チームの持ち味である勢いのある攻撃をしかける考えだ。ただ、個の力で勝る磐田に１対１で戦いを挑むのは分が悪い。古巣との対決を心待ちにする西野泰正は「個人技が高い磐田に対して、時間とスペースを与えてしまうと好きにやられてしまうので、チームとして、コンパクトに自由にさせないことを意識しなきゃいけない。しっかりチームとして戦いたい」とチーム力の重要性を語る。厳しい戦いが予想されるが、札幌のように、チーム全体でのプレスとサイド攻撃などの約束ごとを徹底して遂行すれば讃岐にも勝機はあるだろう。

「一番注意したいのは前田のデスゴール」と冗談を飛ばしながら「磐田相手に勝ちたいという気持ちがすごくある。磐田ほどの相手なら割り切って出来るからおもしろくなるんじゃないかな。しっかり守って、うちの伝家の宝刀であるカウンターを打ち込みたい。勝ち試合を香川の人に見せたい」とホーム開幕の意気込みを語る北野監督。

地元を愛しサッカーで香川を盛り上げたいという信念のもと、就任４年でチームをＪ２に導いた指揮官。磐田を破れば、Ｊ昇格を果たした讃岐を支援する機運が一層盛り上がるのは間違いない。指揮官の思いを選手たちがピッチで体現してくれることを期待したい。

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2014.03.08 Reported by 中条さくら（オフィスひやあつ）