幹線道路はだんだんと乾いた道路が顔を出し、何となくではあるが、例年よりも雪溶けが進んでいるようにも感じる札幌市内。長かった冬も終わり、またJリーグがスタートする。2014年のJ2リーグ第2節。シーズン開幕戦となった前節を見事に白星で飾った札幌が、山形を迎えてホーム開幕戦を戦う。場所は札幌ドームだ。
札幌は前節、敵地で磐田と対戦。日本代表選手含め強力な戦力を抱え、J1昇格さらには優勝候補の筆頭とも目されている強敵との対戦だったが、これを0−1のスコアで勝利。シュート数が5本(札幌)対17本という押されがちな試合になりながら、チーム一丸となった粘り強い戦いを演じてみせた。
金星の立役者となったのは守備陣だろう。特に財前恵一監督が「急造」と評したDFラインは、怪我人が重なったなかでセンターバックに入った、右サイドバックが本職の小山内貴哉が積極的な守備で奮闘するなど、本当に粘り強く戦っていた。知名度のある選手が多い磐田の攻撃陣に対しても若い選手たちがまったく臆することなく戦えていたことは、あらためて賞賛に値する。
そして忘れてはならないのがGK金山隼樹の活躍だ。後半途中のPKを含め、数多くのシュートをストップして磐田の猛攻をシャットアウトしたセーブはもちろん見事だったが、今シーズンから加入のこの選手についてはキックの部分にも言及したい。押し込まれた状況から飛距離のあるロングキックで陣地を挽回し、守備陣に組織を立て直す時間を生み出す。あるいはパントキックにより一発で前線の内村圭宏にパスを通してカウンターの起点を作るプレーなどは、間違いなく磐田の攻撃を牽制していた。磐田があと一歩、決定機を作り出せなかった要因は、金山からのカウンターを警戒し、攻撃に人数をかけきれなかったところにもあるだろう。
そうして札幌は前半に砂川誠の“ワザあり”FKから挙げた虎の子の1点を守り切り、シーズン初戦を幸先良い形でスタート。「選手たちは最後まで体を張り、全員で掴み取った勝点3だと思う」と財前監督が発し、札幌は大きな手応えとともに続くホーム開幕戦へと挑む。
一方、開幕戦に続いて敵地に乗り込む山形の前節は、湘南と対戦して0−1で敗戦。前半途中にセットプレーから失点をすると、その後はアウェイながらも積極的に攻め込み、相手の倍近いシュートを放ちながらも無得点。残念ながらオープニングゲームで勝点を得るには至らなかった。
ただし、98年以来の山形監督就任となった石崎信弘監督は「残念な結果になったが、選手たちはやろうとしていることを随分ゲームのなかで出してくれたと思う」と前向きに振り返る。たしかに、敵地での開幕戦という緊張感のあるシチュエーションながらも、前述したようにチームはアグレッシブにボールを動かしてプレーしていたし、失点もセットプレーからの1点だけで流れのなかで崩されたわけではない。勝点を得られなかった部分は物足りないが、悲観すべきゲームでもないということなのだろう。
もちろん「攻撃のところでとくにボランチの位置から横と後ろへのパスがあまりにも多すぎたのではないかと。もっとあの位置から前にボールを運ぶ積極性が出てくれば、もっとよくなるのではないかと思う」(石崎監督)と明確な課題もある。湘南戦で見せた積極性をさらに増加させ、より具体的にしていくことが必要だということなのだろう。第二次石崎体制での初勝利に向け、開幕戦からどれだけ修正できているかがこの試合に向けてのポイントだ。
さて、そうしたチーム同士の対戦だが、焦点としてはホームの札幌がどういったメンバー構成、戦略で試合に入るかだろう。前述したように前節の札幌は負傷者が重なったことで急造のDFラインを組み、そのチームが磐田を完封した。勝った顔ぶれをいじらないのであれば、この試合も若い最終ラインをベースに粘り強い守備からリズムを作り、山形のアグレッシブな攻撃にフタをしていく形となるはず。ただし、負傷から完全復帰しつつある河合竜二や日高拓磨といった主力をスタートから起用するようであれば、違った戦い方になるかもしれない。そうした機微を山形側も見極めながら試合を進めるだろうから、まずは互いに慎重に相手の出方をうかがう展開になるのではないだろうか。
いずれにせよ、1点を争うタフなゲームになることは間違いないはずだ。熱戦が期待できそうである。
以上
2014.03.08 Reported by 斉藤宏則
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