先週、アウェイで横浜FCと戦った愛媛にとっては今節がホーム開幕戦。バックスタンドが新しくなり、芝の張替えも完了したニンジニアスタジアムで再びJ2の熱戦が繰り広げられる。
その愛媛は、選手たちもフレッシュだ。前節のリーグ開幕戦でスタメンに名を連ねた選手のうち、7人が新加入選手。中盤の4人以外、前と後ろの選手が全て入れ替わった格好だ。その横浜FC戦では林堂眞が退場となって出場停止になるなど、今節は選手の入れ替えは行われる。それでも、多くの選手がニンスタ初登場。その選手たちがリニューアルされたホームグラウンドでどんなパフォーマンスを披露してくれるのか。スコアレスドローに終わった前節、後半のほとんどの時間を10人で戦った愛媛は守備に専念せざるを得ず、特に攻撃陣は消化不良の感があるだけに、そのモヤモヤを払拭してくれるであろうパフォーマンスが今から楽しみだ。
一方で対戦相手となる水戸は前節、ホーム開幕戦で大分から今季初勝利を得たがその水戸も大分戦のスタメンでは多くの新戦力が躍動。さっそく吉田眞紀人と金聖基がコーナーキックから得点を挙げるなど、新しい力がチームの勝利に貢献した。愛媛の石丸清隆監督は「昨シーズンよりも高い位置からプレッシャーをかけてくる印象がある」と指摘をするが、FWの新戦力、馬場賢治らが前から労を惜しまずプレッシャーをかけていた姿は印象的。愛媛は今季も最終ラインからビルドアップしてゲームを組み立てるが、判断を誤れば即失点のピンチを迎えかねない。
それでも愛媛のキャプテン吉村圭司は「いい準備をして主導権を握りたい。ボールを動かして主導権を握り、フィニッシュで終わるいいイメージを持ちたい」と怯むことはない。さらに「今年の愛媛がどういうサッカーをするのか、ミスを恐れることなくプレーしたい」と積極的だ。また、新加入選手の原川力も「ビルドアップでスペースを見つけること、そしてもっとゴール前でボールを触りたい。水戸の守備は堅いけど、攻撃陣はそこをこじ開けてなんぼ。突破したい」とゴールへの意欲を見せる。石丸監督も「ホームだし、しかけのあるサッカー、ゴールを意識したサッカーを全体でやりたい」と語っているが、愛媛は前節以上にゴールに対して貪欲に向かっていけるか。チームの今季初ゴールを挙げるためには前線のバランスや距離感、そしてコミュニケーションをより意識していく必要があるだろう。
ただ、スコアレスドローに終わった前節も、攻守ともに愛媛の選手たちは今季のチームが持つ可能性を示してくれた。攻撃では原川や堀米勇輝が起点となり、守っては数的不利な状況でも全員がハードワーク。GK児玉剛を中心に、新しくなった最終ラインも最後まで体を張った。今節はその中で林堂を欠いても、昨季のディフェンスリーダー浦田延尚がいる。選手の層も厚くなった。そのポテンシャルは、原川も感じている。「いいサッカーをやっているし、それを表現できる技術のある選手もいる。上に行ける可能性があることを、これから証明していきたい」。
こうして、ギラギラした野心を持った若武者がいれば、「泥臭くても勝つ試合がしたい。開幕戦は高ぶるかもしれないけれど、いい緊張感に持っていきたい」と語る、愛媛で10年目を迎える関根永悟のようなベテランもいる。そう考えれば、楽しみが尽きない新生愛媛の2014シーズン。日曜の14時、いよいよニンスタで開幕戦のキックオフを告げる笛が鳴る。
以上
2014.03.08 Reported by 近藤義博
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