岡山も富山も、取り組んでいる攻撃力アップという課題に一定の自信を持って臨んだ開幕戦だった。90分間を通して激しく戦ったが、堅守が戦いのベースにある両チームは、互いにゴールを割らせないまま終わった。
富山のフォーメーションがほぼ予想どおりだったことに対して、意外だったのは岡山の右ワイドに鎌田翔雅が入ったこと。試合の2日前、「出場できたら、どんな選手よりも走って、泥臭く、見てる人には伝わらないような地道なプレーをしたい」と話していた鎌田の言葉は最終ラインを想定していたはずだったが、ワイドのポジションでそれを実践することになった。
それぞれのゴールを狙う形の象徴的シーンが見えるゲームのスタートだった。岡山はボランチが中心となって、左右に揺さぶりをかけながら押谷祐樹、妹尾隆佑、林容平という前線の3人と両ワイドが絡んでボールを前へと進めた。富山はボールを収める苔口卓也、広いエリアを走り回る中島翔哉、前線からボールを奪う白崎凌兵の前線3人が完成度の高い連係を見せた。
前半、攻守が目まぐるしく移り変わる中で、徐々に岡山がボールを握り始めた。印象的だったのは、周囲を見て必要なプレーを判断・選択する妹尾の大人の気配り。ドリブルのイメージが強いが、パスワークのアクセントとなり、19分には裏へのパスを通し、林がフリーでGK水谷雄一と対峙するシーンを作った。シュートコースを消しにかかる富山に対しても、岡山はパスを繋いで相手を崩すチャレンジを続け、何度も決定機を作りながら、GK水谷の好セーブにゴールを阻まれた。
富山は最終ラインをぎゅっと押し上げているため、効果的なパスが多かった印象だ。きっちりと前線にボールを収めながらシュートまで持ち込むが、正しいポジションから正しいアプローチを続ける竹田忠嗣をはじめとする岡山の最終ラインに阻まれる。36分には、セカンドボールを拾った中島が岡山の隙をついて角度のないシュートを打ち込むが、わずか左に逸れるなど、どちらも相手の組織だったディフェンスを突くことは至難の業だった。
後半はスタートからハイプレッシャーで富山が押した。どちらのチームの、誰が結果を出すことになるか、という期待の入り混じる緊迫感の中で、両チームとも突破口を開けないまま時間が過ぎて行く。岡山は、「コンディションはあまり良くないかもしれない」と話していた石原崇兆が交代で入り大歓声に迎えられ、仕掛けてスタジアムを湧かせる。富山は76分、自陣低い位置でボールを奪った白崎がドリブルでそのまま岡山ペナルティーエリア内まで持ち込んでシュート。わずか枠の外へ外れたが、苔口、中島のフリーランが可能にした富山の大きな見せ場のひとつだった。
無失点で終えられた安堵と誇り、決定機を決められなかった悔しさ、反省点が渦巻く結末だったが、これから続くシーズンへの「期待」が、「不安」を上回る好ゲームではあった。
以上
2014.03.03 Reported by 尾原千明
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