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【J1:第34節 川崎F vs 横浜FM】プレビュー:それぞれに勝利への想いがこもる大一番。川崎Fは、引退を表明した伊藤宏樹を勝利で送り出したい。(13.12.07)

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ホームでの自力優勝を逃した横浜FMにとっては改めて臨む大一番だが、ホーム川崎Fにとっても等々力でのリーグ最終戦。勝ってシーズンを終わりたいのは間違いない。更に言うと、「日程くん」の妙手というか、仕組まれたが如き33節の結果と34節の組み合わせもあり、他力本願ながらACL出場権を確保できる3位以内が見えてきた。と、川崎Fの勝利へのモチベーションは高く維持できる状況が揃う中、衝撃的な発表がなされた。12月4日のことだった。クラブから届いたリリースは伊藤宏樹の引退を伝えていた。

伊藤が川崎Fに加入した2001年というのは、クラブが苦境に立たされた年だった。前年の2000年は、初めて戦うJ1を最下位で終えており、サポーターの心はチームから離れていた。離れるならまだしも、対立するような感情さえあったとの証言があるほど。今の川崎Fからは想像もつかない世界がそこにはあったらしい。

そんな刺々しい2000年を経験した上で迎えた2001年が川崎Fにとって難しいシーズンになるのは必然的な流れだった。この2001年に川崎Fに加入した伊藤は、まさにどん底に沈むチームの中でそのキャリアをスタートさせる一方、彼自身の努力によって自らを成長させ、そして右肩上がりに進化するチームに貢献した。

話はそれるが、2001年の川崎Fの凋落ぶりを示すものとしてわかりやすいのが入場者数であろう。このシーズン、川崎Fのホームゲーム22試合での入場者数はわずかに83,240人。1試合あたり平均3,784人だった。J2最後のシーズンとなった2004年には22試合で201,264人が来場し、平均9,148人の観客を集めている事実からも2001年の難しさは明らか。だからこそ「有名な選手も入ってくるようになった」と伊藤は話し、チームが身につけた“ブランドイメージ”を素直に喜んだ。

2000年代のチームの躍進とともにプレーした、ある意味チームの歴史そのものだとも言える伊藤の引退表明を受け、選手たちはモチベーションを高めている。横浜FMの優勝だとかACL以前に、伊藤の引退セレモニーを勝利で迎えさせたい。そういう思いでチームはまとまりを見せている。例えば、監督としてJクラブを率いて手にした初ゴールを伊藤に決めてもらった風間八宏監督は、そのゴールについて「覚えています」と口にしつつ17本のパスを繋いだ末のゴールについて「あのゴールで、(ゴールへの)イメージが一つできたからね」とその意義を語る。

また、今季加入したばかりの山本真希は「あんなに綺麗にボールを取る選手は初めて見たので、すごいなと思いましたし、(引退について)聞いた時にはびっくりしました。1年しかやってませんが、花を添えられるように、気持よく勝ってね、セレモニーをやって欲しいですね。交代出場するようなことがあれば1分でも長く出て欲しいですし、できれば引退も撤回してほしいですね(笑)」と話していた。

ただ、やはり伊藤について語る際に最も適切なのが中村憲剛であろう。伊藤から事前に一人だけ引退について聞かされていたという中村は「寂しいのもあるし、11年一緒でした。いて当たり前でした。01年に、フロンターレがどん底の時期から入ってきて、ミスターフロンターレという存在だった。オレから言わせれば」とその引退を悔やむ。山本同様「日本で一番綺麗にボールを取るDFだと、未だに思っています」と話す中村は、この横浜FM戦について「どこが相手でも、ホーム最終戦は勝たなければならない。うちとしてはね。これだけのシチュエーションになることはなかなかないけど、うちはホームで勝つことを目指して、最後、うちらしさを出して、勝ちたい」と力を込めた。

伊藤引退の花道を勝利で飾る相手として、横浜FMは十分であろう。J1首位の横浜FMは、この試合で勝利すれば優勝できるという立場にある。今季はまだ連敗がないだけに、ぜひとも勝利でシーズンを締めくくり、同じ神奈川県を拠点とするライバルチームの敵地で優勝の凱歌を上げたいところだろう。

そんなチームをけん引するのは、並み居るベテラン勢。まず攻撃面で違いを出せるのが、ご存知中村俊輔である。セットプレーキッカーとしての活躍はもちろんのこと、流れの中での攻撃の起点として、少々のプレスもものともしない落ち着きで試合に緩急をつけ、危険なスペースに縦パスを通せる選手だ。これに反応するベテランがFWのマルキーニョスや、左SBのドゥトラといった選手である。守備では中澤佑二の奮闘が目立つ。対人の強さに加え、鋭い危機察知能力を利用して、相手チームの攻撃の芽を摘み続けられる選手だ。

彼らベテラン勢の献身的な働きを土台にした横浜FMの基本戦術が、前線からの激しいプレスである。サイドの兵藤慎剛や齋藤学が入れたスイッチに反応するマルキーニョスのプレスによって相手ボールを囲い込み、マイボールにするのである。川崎FはGKを起点としてマイボールを繋ぎ前に進んでいくという試合の組み立てを見せるが、そんな川崎Fの戦いはまさに横浜FMのようなプレスを仕掛けるチームにとって格好の戦い方であり、彼らは高い位置でのボール奪取を狙ってくるだろう。また、シーズン最終戦だということもあり、横浜FMの選手たちは力の限りピッチ上を走り続けるはず。90分の内に一度でも川崎F陣内深い位置のボールを引っ掛けることができれば、そこからのショートカウンターで一気にゴールを陥れる場面も考えられる。もちろん川崎Fは、そんなプレスを外すべく練習を積んできている。そういう意味で、川崎Fが横浜FMのプレスを外せるのかどうかは見どころの一つとなる。

なお、横浜FMは23節の日産スタジアムでの浦和戦で3得点を決めて以降、10試合連続で2点以上得点できないでいる。得点の内訳は、1得点が6試合。無得点が4試合。得点力に陰りが見えているだけに、横浜FMとすれば先制してそのまま逃げ切りを図りたい試合だと言えるだろう。

ちなみに川崎Fは、24節以降の10試合で無得点は2試合のみ。1得点が2試合。2得点は4試合で、3得点も2試合ある。33試合を終えての総得点64点は、浦和とともにリーグ首位タイの数字であり、攻撃力がチームの特徴となっている。なお、川崎Fの得点源は得点王争いの先頭を走る26得点の大久保嘉人である。勝点とは違い、1試合で何点でも畳み掛けられるという不確定性はあるが、2位につける川又堅碁とは4得点差がついており、個人タイトルを逸する可能性は低い。大久保が得点王のタイトルを手にするとすれば、川崎Fの選手としては2007年のジュニーニョ以来の記録となる。父を亡くした今季、どうしても欲しいと話していたタイトルなだけに、勝利の喜びに花を添えて欲しいところだ。

勝てば優勝の横浜FMに対し、川崎FのACL出場権は、あくまでも他会場の結果次第である。そんな状況を理解する井川祐輔は「宏樹さんのために戦うことがACLにつながると思う」と述べ、伊藤を勝利で送り出す事を第一に考えると話していた。「いい花道をみんなで作れるようにしたいですね」との井川の言葉をぜひ現実のものにしてほしいと思う。

以上

2013.12.06 Reported by 江藤高志
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