「山雅のホームで勝つのは改めて難しいと感じた」。松本とのファーストレグを終えた神戸の安達亮監督はそんな感想をもらした。第36節の岐阜戦では、約2000人もの松本サポーターが敵地へ詰めかけたという。松本のアウェイでの勝利は現在、G大阪に次ぐ2位の10勝。プレーオフ出場圏まで勝点3差の7位につけているのも、この熱狂的なサポーターのバックアップが大きいのは言うまでもない。ノエスタに場所を移して行われるセカンドレグとはいえ、松本サポーターたちが作り出す雰囲気は“まるでホーム”になるだろう。
だが、神戸もホームでは今季14勝3分1敗という数字が示すように、サポーターの声援を力に変えてきた。リーグトップのホーム37得点という記録も大声援の賜物と言えるだろう。絶対的なホームアドバンテージを誇る神戸か、アウェイでも強い松本か。共に負けられない大一番は、試合前からかなりのヒートアップを見せそうな予感もある。
ファーストレグの第6節は、ホームの松本が船山貴之のゴールで先制するも、神戸がポポのスーパーゴール2発で逆転勝利。とはいえ、田代有三が「ポポが居なかったらヤバかったかも」と話していたように勝負は紙一重だった。正確なアーリークロスを持つ玉林睦実や前線で起点を作る船山貴之ら神戸を苦しめた選手は健在で、さらに右サイドハーフの阿部巧、シャドーの岩上祐三というピースをはめ込んだ松本のアタッカー陣は前回以上に強さを増した印象だ。直近9試合でわずか1敗という勢いも、この攻撃陣の活躍が大きい。敗れはしたものの、先週の天皇杯3回戦ではJ1の鳥栖を延長戦まで追いつめてもいる。松本はJ2クライマックスのビッグウェーブに乗っているといっても過言ではない。
一方の神戸は首位をキープしているものの、水戸戦のドローに続き、前節のアウェイ千葉戦に敗れるなど、ここにきてJ1昇格へブレーキが掛かってしまった。3位・京都との勝点差は9に縮まり、まだまだ予断を許さない状況に。先週の天皇杯では、その悪い流れを払拭したかったものの、C大阪に0−4と完敗。フラストレーションの溜まった神戸サポーターから大ブーイングも浴びせかけられた。神戸の安達監督は試合後に「大事なことはこの敗戦をリーグ戦に引きづらないこと。天皇杯でこのような敗戦をしたことで、もう一度チームをきちんと締め直せるかなと思います。いち早く切り替えてリーグ戦に照準を合わせていきたい」とコメントを残している。“良薬、口に苦し”ではないが、結果が出ていない直近3試合をいいカンフル剤にしたいところだ。
天皇杯の敗戦で見えて来た神戸の課題は“3人目の動き”。橋本英郎は「(森岡)亮太と(小川)慶治朗とか、2人の関係はできつつある。あとはそれに3人目がどう絡んでいけるかでしょうね」と言う。“ポポ・キャノン”に頼るのではなく、松本の守備網を完全に崩して勝点3を奪うこと。首位キープはもちろん、来季J1で戦うための“足がかり”をこの松本戦でつかみたい。
以上
2013.10.19 Reported by 白井邦彦
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