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【J1:第29節 清水 vs 鳥栖】プレビュー:お互いのスタイルとプライドがぶつかり合う好対決。清水は自分たちのサッカーでアイスタでの連勝を伸ばせるか(13.10.19)

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ゴトビ監督が「Jリーグ対Kリーグの戦い」と表現した清水と鳥栖の戦い。対照的なスタイルを持つ両チームのゲームは、いつも非常にスリリングな展開になるが、どちらもまだJ1残留を確定できてない今回は、その濃密さや激しさがさらにヒートアップすることは間違いないだろう。

ただ、現在12位の清水としては、残留を確定することが目標ではない。残り6試合を全勝すれば勝点は56まで伸びるため、上位進出―あわよくばACL出場というところが今の目標になっている。とくにホームゲームは絶対に勝たなければならない。このところアイスタでは5月から公式戦9試合無敗(8勝1分)で、リーグ戦では4連勝中。そのうち3勝が逆転勝ちと、勝負強さを発揮している。残り3試合もすべて勝ち、連勝のまま締めくくることで、天皇杯や来季につなげたいという思いは非常に強い。
今節は、ラドンチッチと本田拓也という重要な2人が出場停止で苦しい状況だが、月曜日の天皇杯・金沢戦では竹内涼が多くのチャンスを演出するなど、バックアップも問題ない。センターフォワードには伊藤翔が入る可能性が高そうだが、相手のDFラインにプレッシャーをかけるという意味では伊藤のほうが機能するので、鳥栖の武器であるロングボールを蹴らせないという面でも期待できる。
その他にもイエローカードが3枚たまっている選手が4人いるが、センターバックとGKを除けば、今の清水は十分なバックアップが揃っていると言える。もちろん、パスをつないで自分たちがボールを支配するという面では、今回のメンバーでもほとんど遜色はないはずだ。

一方、鳥栖のほうは、夏場の快進撃の立役者となったGK林彰洋(清水から期限付き移籍中)が契約により出場できないが、その他は大きな問題がない見込み。現在16位の湘南とは勝点8差で、ここで勝点差を広げることができれば、残留の可能性はかなり高くなる。またアウェイということを考えれば、勝点1でも大きな価値があるので、守備に重点を置きつつ、絶対に勝ちたい清水に焦りが出たところでカウンターを狙うというプランを立てることができる。それは清水にとっては非常にイヤな戦い方でもある。
そうした前提を踏まえると、ポゼッションで清水が優位に立ったときに、清水がボールを「回している」という感覚になるのか、鳥栖が「回させている」という感覚になるのかが大きなポイントになるだろう。つまり、清水としてはボールを回して「相手を走らせて疲れさせるようにすることが大事」(八反田康平)という形に持ち込みたいところ。それに対して鳥栖は、守備のブロックを固めながらボールを回させ、自分たちは無駄な体力の消耗を抑えて、カウンターのチャンスに走力を一気に爆発させたいはず。
一見同じような展開だったとしても、どちらが自分たちの思惑通りに進められるかという部分で大きな違いが生まれるだろう。

また、ゴトビ監督が「ユンさん(尹晶煥監督)が、KリーグをJリーグに持って来た」(2人は韓国代表で一緒に戦ったことがある)と語った鳥栖のスタイルは、ハードワークとキック&ラッシュが基盤。日本代表FW豊田陽平の1トップにロングボールを入れ、鋭い出足でそのセカンドボールを拾って一気に攻め込むという攻撃パターンは、どのチームにとっても非常にイヤな形だ。
第5節にベアスタで対戦した際には、清水がそこへの対策を徹底して0−1で今季初勝利を挙げたが、今回もそれを徹底できるのか。前回よりも攻撃的に戦おうとする今回は、逆に鳥栖対策があいまいになる恐れもあるので、そこは大きな注目点となる。
さらに、「組織で(相手の守備を)破れへんときに、個人で破れる選手というのが必要やと思う。自分はそういうプレイヤーやから、チームが苦しいときに自分のドリブルやスピードで流れを変えたい」(村田和哉)というジョーカーの存在も、勝敗の行方に大きく影響することだろう。

対照的なスタイル同士だからこそ、見どころは非常に多く、お互いの持ち味も発揮しやすい戦い。終盤になると、優勝争いや残留争いばかりが注目されがちだが、この試合もサッカー的には非常に注目に値する好対決と言える。

以上

2013.10.18 Reported by 前島芳雄
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