「結果的にこうして負けるのがサッカーの難しさであり、サッカーの醍醐味でもあると思うので。それが今日はガンバにとって悪い方向に出てしまったように思います」
試合後、ガンバ大阪のMF宇佐美貴史が語った言葉が試合のすべてを物語る。圧倒的にボールを支配し、殆どの時間を相手陣内でプレーしながらも1点が奪えなかったガンバ大阪と、立ち上がりすぐの時間帯から枚数をかけて低く布陣を敷き、無闇にG大阪が動かすボールに食いつかずにゴール前を固めつつ、わずかなチャンスを得点に結びつけた愛媛。どれだけワンサイドゲームになったとしても、ゴールを獲れなければ勝つことができない。そんな当たり前のことを改めて痛感した試合になった。
前半は特に、完全なるワンサイドゲームだった。開始3分に愛媛のMF東浩史に左サイドを攻略されてシュートを打たれたものの、以降はG大阪がペースを掴む。しかも「守備を我慢強くいこうというプランだった(愛媛・石丸清隆監督)」とはいえ、立ち上がりから、勢いの感じられる入り方をしたG大阪の迫力に圧倒されたのだろう。「思った以上にコンパクトさに欠けて、どんどんズルズルさがるだけの守備になってしまった」との石丸監督。その言葉通り、愛媛はラインを『下げて』というより、予想以上に『より下げさせられる』展開になってしまう。
その愛媛の守備にG大阪がいかに揺さぶりをかけ、堅守をこじあけるかに注目が集まったものの、ボールは動くものの個の動きは少なく。枚数をかけて砦を築いてきた愛媛の守備を切り崩すには至らない。加えて、前半だけでコーナーキックが6本、直接FKが4本というセットプレーでのチャンスもゴールに結びつけることが出来ず、G大阪としてはストレスの残る前半となる。
後半。愛媛は前半ほど守備一辺倒ということはなく、立ち上がりはややアグレッシブさを示したが、個のミスもあり、流れの中から攻撃を構築するには至らない。それでも我慢強く守備を徹底しながらカウンターでのチャンスを伺う意識が少しずつ感じられるようになる。これに対してG大阪は相変わらずゲームの主導権を握りながら攻勢に試合を運ぶものの、相手の守備ラインの前でボールが動くだけで、その守備を切り裂くような縦に速い攻撃の仕掛けがみられない。サイド攻撃も緩急をつけながらクロスボールを放り込むものの、ペナルティエリア内に侵入していく選手の迫力不足は否めず、焦れる時間帯が続く。
そんな中、先制点を挙げたのは愛媛だった。
68分、ゴールまで約25メートルの位置から得たフリーキックのチャンスにMF加藤大の蹴ったボールを右ポスト前でDFアライールが頭で合わせゴール。それまでの試合展開から見ても、まさに「これで獲るしかない」というような、数少ない決定機、しかもセットプレーでのチャンスをきっちりものにした愛媛が、待望の先制点をものにする。
結果、残りの時間帯は、ビハインドを負うG大阪の攻撃がより勢いづき、愛媛の守備はより堅く敷かれる展開になったが、G大阪は前線の顔ぶれを変えたり、MF遠藤を1ボランチにして前線の枚数を増やしたりと、まさに『手を変え、品を変え』の状況で好機を伺うものの、本当の意味での決定機は最後まで見出せず。集中力を切らすことなくG大阪の攻撃を無失点で乗り切った愛媛が勝利をものにした。
この結果を受け、16節の愛媛戦での勝利以降、首位の座を守り続けてきたG大阪は、奇しくも、今日の愛媛戦における敗戦で、再び神戸に首位の座を奪われることに。残り7試合。『昇格』に向けた厳しい戦いがまだまだ続きそうだ。
以上
2013.09.30 Reported by 高村美砂
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