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【J2:第35節 徳島 vs 鳥取】レポート:小林監督の采配がゲームの流れを変えた一戦。徳島がドウグラスの2発で鳥取に逆転勝ち!(13.09.30)

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徳島は前半、鳥取が仕掛けてきた守りの策にどっぷりとはまり込んでしまった。高い位置ではボールを追わず全体がリトリートし、辻正男と久保裕一の2トップが始めるファーストディフェンスをハーフウェイライン付近に設定した鳥取の守備に、ボールを持たされる格好となり、攻撃は常に余計な時間をかけさせられたのである。また、柴崎晃誠と濱田武の両ボランチがボールの出し先としてサイドを選択せざるを得ないよう守られたことも徳島にとっては苦しかったと言えよう。タッチライン際へボールを繋がされたことによって展開は窮屈なものとなり、実際そうした状況からチームの攻めは幾度となく鳥取に断ち切られていた。
結果、最初の45分間を振り返ると、徳島は70%近いポゼッションを握っていたはずだが、放ったシュートは僅か1本だけ。その数字を見れば、徳島が如何にボールを保持しながら効果的な形を作れない難しい状態へ追いやられていたか分かるだろう。

しかももうひとつ厳しいことに、徳島はその前半で先制点も奪われてしまう。それまでの単発的なカウンターと違い、鳥取が落ち着いて中盤を構成してきた28分、実信憲明の鋭い縦パスを受けた久保に精度高いコントロールシュートを決められてしまったのだ。もちろんそのフィニッシュは決めた久保の技術を誉めるべきものであった。とは言え、鳥取の守りの策にリズムを消されていた徳島にとっては非常に嫌な流れの失点。事実「すごくきつかったなと思います」と小林伸二監督も試合後それについて語っていた。

しかし迎えた後半、その小林監督の采配がゲームを大きく動かす。
前半なかった中央バイタルへの侵入を51分、56分と続けて成功させ幾らか好転の兆しが見え始めたチームに、指揮官はドウグラスと那須川将大を続けて投入。すると送り込まれたその2人が期待に応えるようにこれ以上ない結果を出したのである。まず68分、チームの繋ぎを左タッチライン際で引き取った那須川が得意の左足で高さのあるクロスを入れると、逆サイドで待っていたのはドウグラス。背番号9は驚愕のジャンプから競り合うマーカーの頭ひとつ上へ出て、お手本のような叩き付けるヘディングで同点ゴールを決めた。さらにその6分後にも、2人のホットラインが輝きを放つ。再び左サイドでボールを受けた那須川がマーカーとの駆け引きの中で僅かなキックコースを作り出し、今度はライナー性のスピードクロスを鳥取のDFラインとGKの間へ。それをまたしてもドウグラスが頭で突き刺して見せたのだ。
「スタンバイの選手がゲームの勢いを付けてくれたということを考えると、彼らの質は高かったなと」と小林監督はその2人の働きに高い評価を与えていたが、戦況を読んで組織に必要なものを、鳥取のサイドへの寄せが緩くなってきた的確なタイミングでチームへ加えたその指揮官の采配が逆転への大きなポイントとなったのは間違いない。

こうしてスコアをひっくり返した徳島は、最近のホーム2戦で繰り返してしまった失敗(31節・京都戦、33節・山形戦とホームで続けてアディショナルタイムに同点弾を許した)を教訓に最後まで集中して戦い、3試合ぶりに勝点を3つ上乗せ。連続無敗が止まった前節の敗戦を引きずることなく、改めてまた前進の歩みを踏み出した。
とは言え、有効な打開策を見い出せなかった前半の戦い方が課題として残ったのも事実。今後いっそう激しさを増す昇格争いで生き残るためには、そのような厳しい状況を抜け出す工夫とアイデアがピッチ上の選手たちの中からも生み出されなければ。それを理解しているかのように、「ワンタッチとかパスを一人飛ばして3人目が絡んでいくといったようなコンビネーションを高めながら崩す工夫をしていきたい」と宮崎光平もさらなる成長を誓うコメントを残した。

さて、対し敗れた鳥取に関して述べると、1つの勝点も手に出来なかったのはやはり痛い。冒頭のような守りの策が上手くハマり、先手も取ったことで、勝機は十分にあったのだから。だが、徳島を突き放す2点目奪取のチャンスをあのように逃し続けては勝利の女神も微笑んでくれないだろう。特に後半の序盤、息を吹き返しそうな気配になってきていた徳島の歯車をもう一度狂わせられる好機は立て続けに二度あった。そのどちらかを得点に結び付けられていれば、両者の明暗をおそらく入れ替わっていたように思われる。
いずれにしても、鳥取としては残りの一戦一戦に全てを出し尽くすしかないはず。ミスターガイナーレ・実信は「残り試合もやることは変わりません。粘り強く、しっかりと守備を大切にし、隙があれば先に点を取って、追加点を決めるということを目指してやっていきます」と語っていたが、ホームで行われる次節・京都戦でチームはどれだけ闘志と意地を見せられるか。注目である。

以上

2013.09.30 Reported by 松下英樹
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