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【J1:第27節 仙台 vs 横浜FM】レポート:バランスは最後まで崩れず。スコアも勝点も平等に与えられたスコアレスドロー(13.09.29)

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スコアは0対0、勝点は1ずつ。ついでにシュート数5対5と少ない者同士。拮抗して、均衡したゲームだった。

この試合のプレビューでも多くの選手が「固い試合」を予想していたことに触れた。実際の試合で、その固さを攻略するための努力も見られた。試合後に鎌田次郎が開口一番「固い試合でした」と言ったように、予想以上に両チームが、組織的な守備力の高さを見せつけた。

とにかく、バランスが崩れない。たとえば横浜FMは対人能力に強さを見せる栗原勇蔵・中澤佑二の両センターバックの前で、ボランチの富澤清太郎と中町公祐が守備時にいい距離感を保った。「最初は相手2トップにボールが入ったところで収まったものの、比較的対応できたと思います」とは中町。試合の流れの中で、間伸びさせず、かつ相手を捕まえられる距離をつかみ、ここを核にしてボール保持者を囲み、奪い取る。攻撃に移ればこの中町がサイドに流れて数的優位を作り、仙台の守備を崩そうと試みた。
「サイドで数的優位を作られることもあったけれど、自分も出てしまうと(渡辺)広大が一人になってしまうので、声をかけ合ってサイドの選手に頑張ってもらうなどした」と鎌田が振り返ったように、仙台は仙台で全体のバランスをうまく取りながら横浜FMに対応。マルキーニョスと齋藤学を欠く横浜FMで最も注意が必要な中村俊輔に対しても、角田誠と富田晋伍の両ボランチのうち1人が必ずチャレンジにいって、簡単にはベストの状態でボールをさばかせなかった。
「組織でいい守備ができたと思いますし、個人的には中村選手から数回ボールを奪うことができました。でも個人的な勝負よりも、チームとして勝ちたかった」。守備で好プレーを見せ続けた角田だが、最後まで相手を崩せなかったことを反省した。自身、終盤には攻撃参加の回数を増やし、攻撃にもう一押しを加えようと試みたが、相手のバランスは崩せなかった。

バランスを崩すヒントは公式記録上の不均衡な数字の中にあることはあった。たとえばセットプレー。しかし…横浜FMはCK(仙台1、横浜FM5)を、左利きの中村がゴールに向かって蹴る右で多く獲得したが、セットプレーも研究熱心な仙台の前に跳ね返された。仙台は直接・間接FK(仙台直接16、間接6、横浜FM直接12、間接5)で相手を上回ったものの、多くはターゲット役にボールが至る前に横浜FMに先に触られた。最後の最後に唯一のCKをもぎ取り、仙台サポーターの大声援の前でチャンスを迎えたが、実らなかった。
選手交代も均衡を破る一手段ではあったが、つばぜり合いが続いたため、両監督ともあまり前がかりになる交代を選択できなかった。自陣ゴール前で誰かが派手に転倒するとか、余程ひどいパスミスからシュートに持ちこまれるとか、犬がピッチに乱入するとか、そういう不意の事態でもない限りこの均衡は崩れなかっただろう。それくらい守備の緊張感が持続したまま、90分は終わった。

フットボール最大の楽しみはゴールシーンにある。そのためゴールシーンがなかったこの試合は、そこを期待する方にとっては物足りない部分もあったかもしれない。
しかしそのゴールをいかにして守るかというテーマの奥深さ、駆け引きの妙、そして戦術の最小単位である1対1の攻防といった楽しみは、十分味わえる試合だった。
ユアテックスタジアム仙台に訪れた17,849人の方、テレビでこの試合を視聴した方、そしてこのレポートを読んでいる皆さんから、そういった魅力が周りに伝わっていけば幸いである。

以上

2013.09.29 Reported by 板垣晴朗
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