松本新体制になってから２連勝している栃木。次に狙うのは、言うまでもなく３連勝だ。今節、対戦する松本には開幕戦で０−１と敗れており、その借りを返すには絶好のタイミングだと言える。ロングボールとセットプレー対策が、松本戦の勝敗の鍵を握ることになるのは明白。そこで、栃木はロングボール対策に重点を置き、今週のトレーンニングを行った。

「一番怖いのは、松本が共通意識を持っているところ。ロングボールを蹴った時に、『なんで蹴るんだよ』と思うのではなく、（ターゲットの）周囲の３、４人がセカンドボールに対して反応できるように神経を研ぎ澄ましている。それに対して、自分達はイメージを共有しないとやられると思います」

ぶれずに９０分、自分達のサッカーを愚直に貫ける。１１人が同じ絵を描ける点を西岡大輝は警戒している。だからこそ、周囲と連携してチャレンジ＆カバーを怠りなく遂行する必要性を感じている。そして、マッチアップすることになる塩沢勝吾に関しては、こう言及した。

「塩沢選手はヘディングが強いので勝てればいいけど、ゴールキックから塩沢選手に直接ゴールされることはない。そこは頭を使わないといけないですよね。わざと間合いをあけるとか、ヘディングをさせてセカンドボールを狙うとか。しっかり駆け引きをしたいですね」

塩沢には開幕戦で決勝ゴールを奪われているだけに、西岡には相手の起点を潰す作業を忠実に遂行してほしいところだ。また、相手が得意とするセットプレーでも、高さを封じることが求められる。松本は前節のＧ大阪戦で２ゴールを、いずれもセットプレーから得ている。今回もあの手この手でゴールを狙ってくるはずだ。それに対して栃木は、ＣＫの時にはマンツーマンで、ＦＫの時はゾーンで対応する。松本育夫監督が就任してからＣＫの守備はゾーンからマンツーマンに切り替わった。選手達は戦術変更に関してアレルギー反応を示すことなく、大半の選手が「やりやすい」と口にしている。福岡教育大と広島でもマンツーマンを経験している西岡もその一人だ。

「マンマークになってから、皆が責任を持ってマークに付けています。（競り合いで）負けたら話にならないので、タイトに体を寄せる必要がありますよね。僕自身は違和感がないし、どっちも（ゾーンもマンツーマンも）できるので問題ないと思っています」

マンツーマンを導入して間もないことから、マークを剥がされるなど不慣れな部分も散見されるが、選手達が意欲的に取り組んでいることで試合毎に精度は上がってきている。多彩なバリエーションを誇る松本のセットプレーを封じられれば、さらに自信がつくはずだ。ロングスローも含めて、まずは危険な位置でセットプレーを与えないことを心掛けたい。

「開幕戦でやられて個人的には悔しい思いをしたし、その後は何試合かスタメンから外された。強く行くことを意識して、しっかり戦いたいと思います」と菅和範が言葉に気合いを込めれば、西岡も「開幕戦は出ていないけど、今回勝てば『あの時、西岡を使っておけば良かった』となる。（セットプレーでは）いいボールが来ているのでゴールも狙いたいですね。でも、僕に与えられた仕事は無失点に抑えること。失点の確率を減らせるように頭を使いたい」と、クレバーな対応を意識しながらリベンジに燃えている。３連勝を果たして栃木に帰り、Ｇ大阪を万全の状態で迎えることができるのか。これまでにない強敵を最高の状態で迎え撃てるように、まずは松本に借りたままの借りをきっちりと返しておきたい。

以上

2013.09.28 Reported by 大塚秀毅