J2第34節、京都と富山の一戦が鹿児島・鴨池で開催される。京都にとってはセカンドホームでの試合。シーズン前キャンプも鹿児島で行っており、大木武監督も「本当に感謝している」と鹿児島の地での戦いに意気込みを見せる。
京都は前節、千葉と対戦し、見事な逆転勝利を収めた。このゲームの前にもう一つのエピソードがある。実は、同じに日に関西ステップアップリーグのC大阪戦、そして、U−18もプレミアリーグがあった。千葉戦に帯同しない選手を中心に、ステップアップリーグを戦うにしても人数が足りない。そこで、U−18のプレミアリーグに帯同しない選手と共に戦うことになったのだ。そして結果はC大阪相手に1−0勝利。いわば、トップ、ユースの居残り組の試合、だが、一つになって戦った選手の頑張り。取材した記者の心を打つ様な試合だったという。これは、千葉戦直前のミーティングで、京都の選手にも伝えられ、そしてトップチームも千葉に鮮やかな逆転勝利。勝利がつながった瞬間だった。
天皇杯も含め公式戦3連勝。だが、千葉戦後、山瀬功治が「(相手が)上位でも下位でも自分たちにとっては関係ない。一つも落とせない試合が続きますけど、変わらないモチベーションで臨んでいきたい」とコメントしている様に、次の試合へと既に気持ちは整っている。
鹿児島開催なので、鹿児島県出身の中山博貴がメディアに出て今節のPRをしている。昨年末に右膝を手術し、まだ調子が完全に戻っていないが、個人的には、中山は京都の支柱的存在で素晴らしい選手だと思っている。
2011年度の京都が準優勝した天皇杯。その4回戦で京都は鹿島と対戦した。後半に入り、鹿島は小笠原光男を投入。後半23分ごろ、鹿島陣内から小笠原のワンタッチのパスで、鹿島は右サイドへ展開する。これを受け鹿島の前線が動き、2列目が飛び込み、そして最後は3列目の小笠原が走り込んでくる。鹿島の典型的な攻撃だ。「小笠原がフリー」と思った瞬間そのパスをカットしたのが中山だった。それでプレーが終わらない。京都は奪った後、右のドゥトラへ送ると、彼は鹿島ゴールライン際まで持ち込み、マイナスに送る。ゴール前に飛び込んできたのは、中山博貴。自陣ペナルティエリア近くで守備をした後、今度は攻撃に飛び出して来ていたのだ。このプレーは、ただただ感服だった。
前節の千葉戦、京都の逆転弾は、中村祐哉の見事なクロスに山瀬が豪快に決めたものだが、その起点は駒井善成の守備からだ。戻って守備をして、味方に渡ると、そこから飛び出してパスを受け、中村祐哉にスルーパスを送った。駒井は「シンプルなことがサッカーでは一番大事。日頃の練習からやっていること。昔は出来なかったけど、今はやれる様になってきたと思う。自分の、と言うよりもチームの成長でもあると思う」と口にした。京都はこういうプレーをするチームである。これだけがクローズアップされるのも困るが。攻守の切り替えと、他のチームもよく言うが、京都はそれをきちんとやろうとするし、やるのだ。中山は早くからこれを身に染み込ませた様に観える。
ただ、攻守の切り替えは富山も見事だ。いつも感心するのは、攻撃に切り替わった時に、絶対に前に走り出していること。京都が押込み、富山がボールを奪うと、サイドに展開する。その後、中央は必ず前に出る。長い距離を走るとマークが付きにくいので、フリーになる可能性も高い。富山はそれを必ずやってくる印象だ。昨年の西京極での対戦で、後半に富山は、そのサイド攻撃を2度繰り出し、京都のディフェンスラインを破っている。その時、守備に戻ってCKに逃れる守備を見せたのが中山博貴だった。攻めた富山も見事ならば、防いだ中山も負けてはいない。見応えのあるプレーだった。
その富山。ここ5試合は2分3敗。2分けは直近の2試合で、その前は3連敗。ケガ人も多く、3バック、4バックと人の配置を代えている。大木監督は「(フォーメーションも含め)掴めない部分がある。最近は下がる感じもあったが、ここのところの試合は前に出てきている」と相手の状況を推察していた。2引分けは無失点に抑えているだけに、しっかりした守備は富山の身上と考えていいだろう。
中心は、ソ・ヨンドク。前回対戦でも決められている。テクニックと大胆さを併せ持つ。木本敬介も仕掛けてくる選手だ。中盤の大西容平は富山イズムを存分に発揮し、攻守で走り切ってくる。
ゲームは、堅い感じの試合になりそうだ。だが、プレーの端々には互いに「やるべきことをやる」プレーが充満するのではないか。大木監督は「隙を作らず、隙を突かないと。まあ、正攻法もあるんだけどね」と口にしていたが、この言葉に大いに納得。富山相手に、こういう攻撃をするべきだ、というのは、こちらからは思い浮かばない。それよりも、京都のサッカーを最後まで出し切れるかが重要な気がする。
これまで、京都は富山相手に未勝利。これまで果たせなかったものをクリアすることは、自分たちの一歩として大いに重要だと思う。そういう意味でも今節、大いに期待したいゲームである。
以上
2013.09.21 Reported by 武田賢宗
J’s GOALニュース
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