最近の北九州の試合で、勝てば「八角のプレーが効いていた」、負ければ「八角が良くなかった」とよく聞く。今、サポーターの間での心配事は、勝ち負けと同じ様に、八角剛史の３枚の警告累積かも知れない。

リーグ戦も残り10試合となり、これからの試合で北九州にとって１試合たりとも欠かせない存在になった八角。先日１５０試合出場も果たした彼に、少し話を聞いて来ました。

Ｑ：先日１５０試合出場を果たしました。６シーズン目での達成でしたが、率直な感想は？
「ケガで10試合ぐらいしか出られなかったシーズンもあるので、もうちょっと早目に達成したかったのはあります。身近に３００、４００出てる人がいるので、それを考えると、まだまだだと思いますね」

Ｑ：以前、試合に出続けることが大切と話されていました。やっぱり、横浜ＦＣ時代の三浦知良選手の存在は大きかったですか？
「そうですね。やっぱり、あそこまでやっている方もいますし、いち選手として、シーズン通してやり続けられる強さっていうのは、自分の中でも自信にして行きたいです。出続けるのは、良い選手の条件の１つでもあるので、そういう面では今年は最後までやり切りたいと思っています」

Ｑ：10節の水戸戦からほぼフル出場ですが、一番気をつけていることは？
「ケガが多いと言われていたので、日頃のケアというのは一番に考えていますし、試合に出続けるというこだわりを持ち続ける意識が大事だと思いますね。コンディション管理の面では、昔から変えているつもりも無いので、今はそういう意識の方が大事だと感じます」

Ｑ：これから、どこまで出場数を伸ばしたいですか？
「もちろん２００出て、３００まで行きたいとは思いますけど、単純計算しても34歳になっていることになる。そのぐらいまで、現役でやれるレベルを維持しながら、そういう試合数を達成して行けたら良いですね。
自分の中で、まずプロで10年続けることを目標に考えていたし、10年やって、やっと一人前というか。大学から22歳でプロに入って、しっかり試合に出て10年やり続ける。そうすれば、周りの見方も変わって来ますし、自分の見方も変わって来る。その為にも、１５０は達成しましたが、これから１年１年が大事になって来ますね」

北九州の話を聞く時、彼はいつもサポーターが我慢をしているんじゃないかと気にしている。この日も「抑えているんですかね？」と、逆に質問をしてきた。明確な答えを返すことは出来なかったが、人間・八角剛史が垣間見える瞬間だ。

Ｑ：ずっと関東の方で生活されていて、北九州に来ることに不安はありませんでしたか？
「土地が変わればどうなんだろう、という気持ちは多少はありました。でも、海外に行く訳じゃないですからね（笑）。サッカーの勝負に来た訳ですから、そんなには気にはしませんでした」

Ｑ：実際住んで、北九州の印象は？
「プライベートでは、そんなに外を出ないんで……。これが小倉なんだって感じですかね（苦笑）」。

Ｑ：北九州のサポーターはどうですか？
「これだけメンバーが変わった中でも熱心に応援してくれていますし、そうやって応援してくださる方と、１年間一緒に戦えるのは嬉しいこと。もっと九州だから、応援とかヤジとか激しいのかなぁとは思ったんですけど、抑えているんですかね？　サポーターにとっても、来年再来年と当分上がれない訳ですけど、先を見据えたサッカーを、クラブがこの先もやれるようになれば、もっと一体感を持ってやって行けるんじゃないでしょうか」

Ｑ：残りのリーグ戦に向けて、まだ気の抜けない試合が続きますが？
「８月は３勝、９月も１勝（熊本戦）することができた。勝ちにこだわりながらも、自分たちのサッカーをやり続けることが、これからも大事になってくる。熊本戦は、内容的には全く良いサッカーが出来なかった。もう一回、自分たちからポジティブにアクションを起こせる様なサッカーをやりつつ、残り試合、一戦一戦大事に戦って行きたいです」

「八角のプレースタイルが好きなんですよね？」と私は良く言われるのだが、どちらかというと、話を聞く度に感じられる「人間・八角剛史」に惹かれている。試合に関して聞くと、厳しい言葉も時には聞かれていたが、最近は彼の口から発せられる言葉からも、チームの成長を感じることが多いのに気づく。残り10試合、チームのためにも、そして彼自身のためにも、八角には何としても試合に出続けて欲しい。

以上

2013.09.10 Reported by 坂本真