★【NON STOP J2】 -J2のススメ- 紹介選手一覧
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いまさら、よけいな説明など必要ないのではないだろうか。2000年アジアカップ、2006年ドイツ・ワールドカップでの活躍はじめ、日本代表では57試合出場23得点。2002年磐田在籍時にはJリーグ得点王、MVPを獲得し、アルゼンチン、ドイツ、韓国と海外でのプレー経験も豊富。『高原直泰』の名を聞けば、サッカーファンであれば誰しもがその顔と泥臭いプレースタイルがイメージできるのではないかというぐらい、実力と実績を兼ね備えた名選手である。
その彼の元には、昨季まで在籍した清水との契約解除後、海外クラブからもオファーが届いていたというが「海外でというよりは、国内でやりたいという気持ちが強かった」と、今シーズンはJ2の舞台を自らの戦場に選び、闘っている。
第17節を終えた時点で全試合出場、5得点という数字は、高原の実績からすれば特筆するものではないのかもしれない。だが、元日本代表エースの東京Vへの貢献度の大きさは計り知れないものがある。
2トップでコンビを組む常盤聡が「90分間の長い時間のなかで、“今するべきプレー”を本当にしっかり考えながらプレーしているなと思う。技術の高さは言うまでもなく、何気ないプレーをしっかりとこなす選手。ミスをするという印象がまったくない」と、語るなど、まず何よりも、そのプレーの質の高さにチームメイトたちが絶大な信頼を寄せている。高原本人が得点しなくても、状況に応じて中盤まで下がってボールを受け、展開したり、ゴール前で相手DF数人を引き連れることで味方をフリーにし、ゴールをお膳立てするなど、得点以外でのFWとしての重要な役割を果たしており、チームにとって欠くことのできない存在である。
また、試合中のピッチではもちろん、日頃の練習においても高原の存在は貴重であり、特に若い選手にもたらせる影響は大きい。ルーキーのDF楠美圭史は、なかなか出場機会が巡ってこないが、「毎日、相手チームとしてタカさん(高原)とマッチアップできることで、レベルの高い練習ができています」と、日々の充実感を口する。試合でも練習でも、気付いたことはハッキリと口に出し、時には声を荒げ、叱咤激励する高原。その姿勢に、飯尾一慶は「たぶん、自分がこれまで積んできたいろいろな経験を、下の若い選手たちに伝えたいんだと思います」強い責任感を感じ取っているという。
だが、若手に経験を伝えている一方で、「成長したい」という気持ちは、他のどの選手にも負けないほど強いのである。だからこそ、ここまでチームは6勝を挙げているが、一度も納得の表情を見せてはいない。試合後、常に聞かれるのは「まだまだ」「もっと質の高いものにしていかなければ」という、チームの、そして個々人のさらなる成長を求める言葉ばかりである。そして、この言葉は、三浦泰年監督はじめ、東京Vの選手たちの思いでもある。
今季、東京Vが目指しているのは、「それぞれの特長を最大限活かし合い、より大きな力を発揮するサッカー」である。その中で、「まだ、タカさんを生かしきれてない。タカさんが言っていることを、チーム全員が言われる前に当たり前にやれるようにならなければ」と、チームメイトたちは語っている。試合に出続けていることで、J1(清水)でプレーしていた昨季よりもコンディションははるかに充実していることは間違いない。「このチームで新しいものを掴み取りたい」。チームのひとつの歯車となり、周りを生かし、周りに生かされながら、さらなる成長を求めて走り続ける侍・高原直泰の姿を、2014 FIFAワールドカップブラジルに出場が決まったいまこそ、日本中のファンに見て欲しい。
以上
2013.06.07 Reported by 上岡真里江
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