球際での激しいせめぎ合い。繰り返される選手同士の駆け引き。それを後押しするサポーターのチャントと歓声。やがて訪れるゴールの瞬間に向かって、スタジアムのボルテージは上がり、その瞬間に喜びを爆発させる。ピッチの上で戦う「おらが町のクラブ」の選手たちと同じ空間を共有し、ともに戦う凝縮された90分間は何物にも代えがたい。それこそがJリーグが提供する魅力のひとつだ。
だが、Jリーグの役割はそれだけではない。老若男女、スポーツが得意な人も、そうでない人も、サッカーという共通言語と、ひとつのボールを介してコミュニケーションを取り、性別も、年齢差も、互いの地位も立場も関係なく、心を通わせることができるのがスポーツの魅力のひとつ。それを積極的に提供するのもJリーグが持つ役割のひとつだ。チームの強化とスポーツ文化の振興(ホームタウン活動)。それが車の両輪のような関係を築くことこそが、Jリーグの存在意義だと言える。
そのホームタウン活動の一環として、アビスパ福岡では、3年前から地域で生活するシニア世代の方々の心身の健康に寄与することを目的として『シニア☆アビスパde健康教室〜元気いっぱいJリーグ観戦〜』を開催している。対象者は、福岡市在住の60歳以上の方、または60歳以上の方を含むグループ。スポーツをすることの楽しさを体験してもらうとともに、地元アビスパ福岡の試合を楽しんでもらうというものだ。
今年最初の教室は5月26日の岐阜戦開催日。レベルファイブスタジアムに併設されている体育館で行われた。まずは観戦に備えて、ホームタウン事業部のコーチから、ルールと観戦のポイントが分かりやすく説明される。そして、ひと段落が着いたところで会場に現れたのは、オズマール、笠川永太、畑本時央の3選手。約40名の参加者と一緒に、ボールを使った遊び感覚のゲームで体を動かしていく。選手が見せる素の表情と気さくな態度は、ピッチの上で見せる表情とは違う魅力にあふれるもの。みんながあっという間に笑顔になっていく。そして、最後はJリーグ観戦。ホームタウン事業部のコーチによる解説に耳を傾けながら声援を送る。西田剛の劇的な決勝ゴールには大きな歓声が上がった。
スポーツは特定の人たちのためにあるのではなく、誰もが気軽に楽しめるもの。それを伝えていくのもJリーグの役割だ。
以上
2013.06.07 Reported by 中倉一志
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