高い位置でボールを奪うことは、どんなチームにも理想的な攻撃をもたらしてくれる。だからこそ、多くのチームが高い位置からのプレスを実行しているわけだが、必ずしもその努力が報われるわけではない。チーム全員の意思が統一され、さらに動きが統率されていなければ、たちまち守備網には穴が生じてしまうし、相手もそれをかいくぐるため工夫を凝らしてくるからだ。
しかし、この試合の前半、鹿島の守備の美しさは見事なものだった。名古屋の選手たちがどこにパスを出してもすぐさま複数人で囲めるバランスが、ボールの動きに合わせて維持されていた。そのため、苦し紛れに矢野貴章を頼ってロングボールを蹴るか、それができないときはなかなかパスの出しどころを探し出すことができずにいた。
先制点の場面もまさにそうだった。中盤でボールを保持したダニルソンがパスコースを探す。しかし、すぐには見つからずドリブルでボールを持ちだしたわずかな時間を大迫勇也は見逃さなかった。背後からすばやく寄せて体をぶつけると、屈強なフィジカルが特長なダニルソンが跳ね飛ばされてしまう。ボールを奪ってゴールに向かうと、大迫の前にはダニエルと増川隆洋のみ。そこにダヴィとジュニーニョが加わり数的優位をつくり、最後はジュニーニョが楢崎正剛の手の届かないコースに流し込み美しい形のショートカウンターで先制点を奪って見せたのである。
「連携がよくできている相手に対して、全員がチームのための守備意識を整えて実行しました。そのことは非常によかったと思います」
トニーニョ セレーゾ監督が満足げな表情で、チームの戦いぶりを讃えたのもうなずける内容で、鹿島が名古屋を上回った。
得点を決めたジュニーニョにとってもうれしい1日となった。ヤマザキナビスコ杯50試合出場を達成しただけでなく、歴代トップタイにならぶ26ゴール目をマーク。ダニエルを引きつけるだけでなく、シュートを打ちやすいところにパスを出してくれた大迫に対し「絶妙なボールが来た。決めるだけだった」と感謝を口にした。
日本に来て11年目のシーズンを過ごす35歳のベテランをセレーゾ監督は重宝している。
「まず経験がありますし、あとは技術がしっかりしています。さらにスピードも衰えていません」
そうした特長を最大限に生かせるポジションとして、従来のFWではなく左MFのポジションを与え、この日も何度となく突破を繰り返していた。
日本が大好きだと話す彼は、特にどんなときでも後押ししてくれるサポーターの姿勢を愛して止まない。この日の試合後、ゴール裏のサポーターからはかつてマジーニョなどに使われてチャントがジュニーニョの名前で歌い上げられた。
この勝利により鹿島はBグループ首位に。あと2試合で勝点2をあげれば決勝トーナメント進出が決まるという有利な位置に立つことに成功した。
「まだなにも勝ち取ったわけではない。僕らが目指すのは決勝の舞台です」
この日、殊勲のゴールをあげたベテランは、結果に満足せず気持ちを引き締めていた。
敗れた名古屋には手痛い結果だ。後半になってから望月嶺臣を投入、終盤には岩政大樹の退場もあって鹿島をゴール付近に押し込んだが得点には至らなかった。残り1試合で勝点6にとどまったため決勝トーナメント進出はかなり厳しい状況に。公式戦も3戦連続で勝利から遠ざかることとなった。
以上
2013.04.25 Reported by 田中滋
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